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間話 ???

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 ここは何処かな?

 確か家で宿題をやって布団をひいて寝たところまでは覚えているけれど、その後のことが思い出せない。
 少なくともこんな周りが木々に囲まれた森に来た覚えはないのに……
 ならどうしてこんなところで座っているのかな?

 考えても思いつかないし、このままジッと座っていてもしょうがないから立ち上がる。
 服装は学校指定のシャツとブレザー、スカートだけど、学校の課外活動?
 いやいや、そんな予定なかったと思うけど……

 知り合いがいないかと森の中を歩いて探し回るが誰もいない。
 それ以前にこんな森見たこともない。
 沢山木があるせいか薄暗いし草むらは何かガサゴソと動いてる気がする。

 ここは本当に日本なのかな?
 なんか外国の森みたい。

 暗くなる前に家まで帰りたいな。

 とりあえず森から抜けたいし真っ直ぐ進んで行こうか。
 そう思いひたすら真っ直ぐ進む。すると草むらから1匹の犬が……

 私の体より大きい犬が出てきた。

 !!?

 何あれ!? 犬? あんな大きな犬見たことないよ。
 それより気づかれたら一口で食べられてしまいそう。

 まだ気づかれていないのでこっそりと後ろに……

 ポキっ。

 気づかずに木の枝を踏んでしまう。その音で犬はこちらに気づいてしまった。

「わぁぁぁぁぁ」

 襲われそうになるので叫びながら逃げる。

 目を瞑りながら逃げていたのでわからなかったが、いつの間にか逃げ切れていたみたい。

「はぁ、はぁ」

 疲れた。こんな大きな犬地球にいるわけないよ。
 じゃあここは地球以外? 他所の世界?
 なんでこんな所に……?
 やはり考えてもわからない。とりあえず人のいる場所を目指そう。元の世界に戻る方法が見つかるかもしれない。





 暫く歩き続けると直ぐ近くから人の声が聞こえた。

 もしかして近くの町の人かも……

 たださっきの犬のこともあるので隠れて様子を見ることにする。


「今日はウルフとボア、あとゴップルの実が幾つか取れたな」

「思ったより大量だな。一度町に帰るか?」

「そうだな、それより……」

 いたのは男の二人組だった。狩の成果を確認していたのかな?
 それより目に付くのは男の人の頭の上に犬の耳みたいなものがついている。更にお尻のとこには尻尾らしきものまで……

 その男の人の内の一人が話を途切ってこちらを見ている。

「そこのやつ、いるのはわかっているぞ!」

 隠れて見ているのに気づかれていたみたい。
 このまま隠れていたら襲われそうなので姿を見せて素直に町までの道を聞くことにする。

「怪しいものじゃないです。道に迷ってしまいまして町までの道を教えてもらえると助かります」

 男の人は私の姿を見て何やら話し合っている。今度はヒソヒソと小声で話していたのでこちらまで聞こえなかった。

「いいだろう。ただし、道中は俺が監視する。それでいいか?」

 やっぱり会ってすぐの人は信用出来ないよね。私も信用出来ないから隠れて見ていたわけだし……

「はい、それで構いません」

 とりあえず町に着くことを優先しよう。





 森を抜けたすぐ側に村はあった。ただその村はどう見ても日本には見えない。
 やはり異世界に来てしまったみたい。

「ここが俺たちの村、コップル村だ!」

 そう言って村の中に案内される。
 村の人達も何かしらの動物の耳と尻尾をつけていた。
 もしかしてと思ったけれど、ここは獣人の村なんだ。

 そのまま一番大きな家に連れて行かれた。

「ばあちゃん、人間が居たから連れてきたぞ!」

 男の人がばあちゃんと呼んだその人はかなりの高齢なのだろう。顔にはいくつもの皺があり、髪も白かった。
 もっとも髪はこういう種族と言われたらそれまでなのだが……

「ようこそ、コップル村へ。儂はここの長老をしておるオーバリア・イクスノアじゃ。」

 オーバ……。とりあえずおばちゃんでいいかな?

「早速じゃがお主はこの世界のものではないじゃろ? その服の素材、この世界では手に入らないものに見える」

 そうなのかな? 制服の素材なんて気にしたことないよ。

「ならお主はこの世界に勇者として召喚されたものじゃな」

 勇者? 私が……?

「ならどこの国の勇者なのじゃ?」

「どこの国も何もこの世界のこと何一つわからないのにわかるわけないじゃないですか?」

 それに今の状況は私よりこのおばちゃんの方が詳しそうなのだけど……

「なら最初に召喚された国は何処なのじゃ?」

 最初に召喚された……? あの森が国だったの?

「ならここの人たちに会ったあの森がそうですけど……」

「ヨーギの森か? ならお主は通常とは違うイレギュラーなのか? 普通は何処かの国に召喚されるはずなのじゃが、まぁよい。お主のことも多少はわかった。気が済むまでここで暮らすといい。儂の家なら部屋も空いておるからな」

 思わず泊まるとこの確保が出来る。

「ばあちゃんいいのか?」
「こいつは誰かもわからないやつだぞ!」

 森から案内してくれた男の人達がおばちゃんに再確認をとっている。
 まぁ見ず知らずの人にいきなり泊まっていけと言ってるのだから心配もするだろう。
 ましてこの村の長老だ。何かあってからでは遅いのだから……

「儂が決めたことだ!! お主もそれでいいか?」

 少し男の人に怒鳴りつけるとこちらを向き、確認をとってくる。
 コクコクと首を縦にふる。あんな怒声を聞かされて断る勇気はなかった。

「そう言えばお主の名前を聞いていなかったな。名前はなんというのじゃ?」

「私は……」





 食事も頂き、ベッドも貸してもらえた。森の中で目が覚めた時はどうなるかと思ったけれど、いい人がいてくれて良かった。
 今日は歩き回って疲れていたのでベッドに寝転がるとすぐに意識がなくなった。




『あのロリ神め! 無理やり勇者を割り込ませてきたせいで一人全然違う場所に飛んでしまったじゃないか!』

 んっ、何か黒いモヤモヤが喋っている気がする。

『おっ、ようやく我と話せるようになったみたいだな! 我はお主をこの世界に飛ばした神だ!』

 頭に直接訴えてきているような感じだが、夢の中ならありえるのかな? 黒いモヤモヤが神様を名乗っているし……

『お主には魔王を倒して貰いたい。幸い獣人の国にいるお主が一番魔王に近いのでな」

 魔王……確かに悪者なのかもしれない。でも直接会ってみない事には倒さないといけない程悪い人かわからない。なら私の答えはNOだ!
 そう口に出そうとするが声が出ない。夢の中は声が出せないのか?

『拒否するとお主は元の世界に帰れなくなるがいいのか?」

 このモヤモヤは私の頭の中が読めるらしい。
 今度は脅迫してきた。そこまでするという事はこのモヤモヤあまりいい神様ではなさそう。
 元に戻る方法は自分で探して行くしいいよ、と頭で強く思う。

『我の言う事が聞けない勇者などいらぬ! 我の加護、前の世界の不幸な記憶と引き換えに能力を与えるものだが、お主は外させてもらう! 最弱の能力で嘆くがいい!」

 ふははははっ。

 その笑い声と共にモヤモヤが消えていき、ここで私の目が覚めた。

「えっ!?」

 目が覚めたと同時に思い出す地球での出来事。

 ベッドから起きて学校に行き、帰ってくると父と母と弟の3人が血を流して倒れていた。

 その部分の記憶が鮮明に思い出される。私は元の地球に戻っても居場所がないんだ……

 そう思うと涙を流してしまう。
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