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間話 響境也

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 優達の姿が見えなくなるくらい歩くと草むらの陰にかくれて手に持っていた魔族を置く。

「おい、起きろ!」

 心臓部を刺した魔族のユキウスに対して声をかける。普通の人なら死んでいるだろうが魔族なら別だ。魔石も砕いていないし光属性を込めた訳でもない。
 暫く歩いていた間に傷口はもう完全に治っていた。

「いたたたっ。いくら勇者のパーティに信用されるためだからって心臓部に槍を刺すことはないだろ!」

 ユキウスは抗議してくるが、あれぐらいしないと信用されないだろう。

「別にいいだろ。死んでないんだし……」

「死ななくても痛みはあるんだよ! 一度殺すぞ!」

 殺気を出してくるユキウス。先ほどあっさりやられたのをわすれたのだろうか?

「まぁやるなら相手をしてやるが死んでも知らんぞ!」

 ユキウスと向かい合うと槍をそちら側に向ける。

「止めろ! そんなことしてる場合じゃないだろ! 仲間同士で数を減らしてどうする?」

 間に入って止めてきたのはグレオラだ。わざわざ臭い演技をさせた上、こんなところに呼び出すなんて面倒くさいやつだな。

「おい、響! 今面倒くさそうとか思っただろ。お前は顔に出やすい。気をつけろ!」

 また説教だ。何かにつけて説教。こちら側についたのは間違いだったかもしれんな。俺も普通に旅をしていれば優みたいにロリっ子達に慕われて楽しい暮らしが出来たかもしれないのに……

「なら俺はここで止めてもいいか? 正直今は少女達と戯れる方が俺の中での優先順位は高いのだが……」

 やれやれといった感じでグレオラが話しかけてくる。俺がこれを言ったのももう何回になるかわからないくらい言っていたからだ。

「何度も言うが邪神様が復活し、力をもらえた後なら人など思いのままだぞ! 今一人二人手に入れるか後から纏めていっぱい手に入れるかどちらがいい?」

 これも何度も聞いていることだ。ロリハーレムになる方がいいと思ったが今一人もロリっ子が居ないのは正直悲しい。

「それはわかっている。だからこそ協力しているんだ。それより次は何をすればいい?」

 この話は決着がついたことはないので早々に話題を変える。話を終わらしてロリと戯れる時間が欲しいからな。

「次はセレティア王国に行ってもらう。ただあそこの王は疑り深いので封印水晶は壊せないだろう。なので最弱勇者に付き従い、魔王に会って信用を築いておけ! そして光の勇者が魔王を襲ったタイミングで隙を見て魔王と光の勇者を殺せ!」

 魔王国にも偵察の魔族がいるらしく、そのものの報告で魔王と優が親しいことがわかったらしい。ならそこから信用されていき隙をつくる。それが今回の作戦らしい。

「わかった。なら早速行くぞ! 準備に取り掛からないとな」




 こんな奴らと長いこといるのは苦痛なだけなので早々に話を切り上げ、近くの村に向かう。

 そこの村でロリっ子と追いかけっこをしたり、何故かそこの警備兵に追いかけられたりして暫く過ごし、頃合いを見計らって優が言っていたセレティア王国に向かうことにする。


 セレティア王国ではやはり王様が優秀らしく、疑われていたが、優が信用してくれていたおかげで助かった。その優達は魔王国に向かうらしい。これは後で優に俺も共に行っていいか聞かないとな。

 その後相変わらずロリっ子を引き連れている優にそのコツを尋ねるとあんまり力を見せすぎるのも良くないらしい。
 あれ? 邪神様を復活させ力を貰えたらロリハーレムができると言われて力を見せるようにしてたのに……
 その後色々とコツみたいなのを教えてもらい、さらに共に魔王国に行くことも優の方から提案してくれた。

 ただ今の俺は何を信用していいかわからなくなった。
 とりあえず気晴らしに行くか。
 次の日は一日中空いてたので気の済むまでロリっ子と戯れることにした。

 その次の日、魔王国に転移すると魔王や色々な少女を紹介されるがロリとは言えない体型をしていたので俺の食指は動かなかった。
 やっぱりティナちゃんくらいの子がいいな。

 紹介された内の一人がやたらと俺に興味を持ったらしい。普段からつきまとうようになり、力を見せて欲しいとせっついてくるようになったので、しょうがなく模擬試合を行う。
 勇者に興味を持ち、普段から鍛えていたらしいので少し強かったが本気を出すまでもなかった。

 その後成り行きで1週間後に優と試合することになる。この決闘空間なら強いとこを思う存分見せられるからいいな。
 実際この外でやるとグロ映像並みの光景になってしまうし……

 1週間後の優の試合は少女ミリーナより苦戦させられた。最弱だったのに知らない間にここまで力をつけていたのか? 少し本気を出してしまい、優は暫く動けなくなったみたいだ。



 それから1月後、神城がここまでやってきたらしい。城の兵として侵入していた仲間からそう情報を仕入れ、俺は準備を整える。直ぐには攻めてこないだろうという予想は外れ、馬鹿正直に情報収集もせずに攻めてきたらしい。同じ勇者ながらあきれてしまう。

 魔王から転移魔方陣にティナちゃんたちを避難させるように言われるので部屋まで連れていき、俺は様子を見てくるからと言い、先ほどの部屋に戻った。
 戻るときはなるべく急ぐ。そうしないと肝心な時に間に合わない恐れがある。

 戻ってきたときはすでに勝負がつきそうだった。最後は魔王がかろうじて立っていたので神城は負けたらしい。
 そして神城は動けないようなので先に魔王を背後から刺す。当然光魔術をこめているので復活することはない。

 いきなり背後から刺されたので驚いた顔をしていたがもうすぐ死ぬ者に話す義理もない。

 その後、神城の近くに歩いていく。神城はかなり怖がっていたがこれも命令なのだ。
 神城も魔王と同じように刺した。

 同じ地球人を刺したのに案外何も感じないものなんだな。


 あんまり長居しててもつかまるだけなので二人を刺した後そのまま部屋を出ていく。
 脱出の道はあらかじめ魔王城に潜伏していた邪心信仰者が案内してくれるようだ。
 もっと追撃はあるかと思ったが潜伏者がうまいこと誘導してくれたみたいでほとんどなかった。
 これで俺のハーレム計画に一歩近づけただろう。
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