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イヤリングの意味

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 王太子様に、プロポーズが済んでいるのかと確認されましたが。

「それらをすっ飛ばして、ルーヴェリア様が結婚と言い出しまして」
「だってそうしないとお前」
「あーはいはい。ルーヴェリアは黙っていなさい。用意は済んでいるのかい?」
「耳飾りを頼んではいますが、出来上がってますかね。おまえ、確認したいことがあります。今すぐ来なさい」

 ルーヴェリア様が口を挟むと話が進まない事がままあるので、王太子様に黙る様に言われてますね。プロポーズの用意は一応してありますが…作る手が早いと言っても、どうでしょうねぇ。確認するために、そのイヤリングを頼んだ者に来るように命令します。パーティーには…来てましたかね。まあ、この邸宅から遠くはないので、時間が掛かったとしても来るでしょうし。

「これが、先ほど王太子様がおっしゃった、一族を手足の様に、というやつですね。声を届けられるといいますか…」

 ネルア嬢が困惑していたようなので、そう伝えれば何となくは納得していただけたようです。
 と。どうやらパーティーに参加していたようで、ノックがされましたので開ければ、職人のそいつがいました。部屋に入り、箱を丁寧な所作で差し出してきます。

「お求めになられる可能性を考えまして、昨夜中に仕立て上げました。ご確認を」
「ん。我が君が無茶ぶりしてきましたが…優秀な者を持てて幸せですねぇ」

 そっと開かれた箱の中身を確認すれば、意図したデザインのイヤリング。つくりも丁寧に、しっかりと作られたものだと分かる。急いだのか、元々想定していたのか分かりませんが。

「ありがとうございます」
「何か欲しい物があれば言いなさい」

 事が上手く進められそうなので、気をよくして褒美をくれてやることにしますが…

「他にもアクセサリーを作らせていただければ十分でございます」
「分かりました。ではまた後程」

 まあ、そうですよね。普通のアクセサリーはもちろん、魔術道具も手掛けてますので…何か頼みましょう。という事で。

「流石にここまでは想定していませんでしたが、私の一族は、私の意を酌んで動きます。そうでなくては、務まりませんし」
「ある意味お前の一族からしたら、お前が王だものね」
「確かにそう、なりますかね。ですので、私の妻である貴女も同じように使えますよ。ええ、下僕ですね。女王様になれますよ」

 そう言うと、ネルア嬢は固まってしまいましたが…嫌ですか?女王様。人をこき使うの、貴族なら好きな人多いんですが…そういう性格はしてらっしゃらない、と。そうですか。

「今ここに各家の上位揃っているだろう?どうせだから、アレについて意見を聞いてはどうだい?拒否する様なやつはいないと思うけれど」
「…おそらく、この髪色で察しているかと」

 王太子様にそう言われますが…一族の者は、私の意図を察しますからねぇ。

「そう?まあ確かに両家の両親も揃っているし、サインを貰おうか。ちょっと書類を整えるから用意してもらえるかい。その間にプロポーズしておくように」

 と言って、自身の筆頭を呼んで出ていきましたが…さて。ルーヴェリア様に文句の一つでも言いませんと。

「色々考えていたのに、全部ぶち壊しですねぇ」
「え、何、考えてたの!?そりゃ悪かったな」
「あんたもぐだぐだでしたが…まさか根に持ってこうしたとかじゃないですよね」
「俺にそんな頭ある訳ないだろうが」

 どうして自分がおばかだと、堂々と宣言するんですか。もう本当に頭が痛い。放置でいいですね、放置で。

「…では、ネルア嬢。余計な人もいますが、柱とでも思っていていいので」
「いえ、あの、大切な主なのでは」

 そうやって雑な扱いをすれば、ネルア嬢はおろおろとしますが。

「主という以前に、親友だし、こいつがそういう風に俺を扱うのも慣れてる」
「え…」

 余りにもおばかなので、面倒になるとそういう扱いを日常的にもするもので。ネルア嬢が掛けている椅子へ行き、跪く。

「仕事柄、不自由をさせるかもしれません。ですので、幸せにしますとは言えませんが…不幸にはさせません。結婚、していただけますね?」

 ネルア嬢も大切ですが、譲れないもの。ひどい事を言っているとは分かってますが、それを含めて了承していただきたい。

「はい」
「よかった。ありがとうございます。では、耳飾りを付けますね。これはルーヴェリア様の騎士という意味合いも有ります。万が一私が動けない場合、貴女が指揮権を有せる様に」

 そう、このイヤリングは、それを示す為の物でもあるのですよ。
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