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公爵に報告(ヒロイン35と連動)
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執事を連れて歩いていると、グランシュネル公爵様と一緒に、というか、私達と一緒に王都から移動していた兵に、二度見されました。そりゃそうでしょう。戦闘がどれくらいかかるのかにもよりますが、そこからここまでの距離を考えればね。戦闘に時間をかけていないという事も理由の一つですが…魔術ブーストがあれば、アレくらいの距離は…10分もあればなんとでも。あとは、直線距離で来ますからね。林を迂回したりとか、川の橋を利用なんて、する訳ないじゃないですか。
「ちゃんと門から入ったんでしょうね」
「…忘れてました」
「まったく…」
そういえばそういうの忘れてましたね。王都では気にもされていないので。
一応、近くにいた兵に、グランシュネル公爵様に会いたいと言って先ぶれを出してもらい、今執務室へと案内されています。しかし…いくら止めるのが面倒になったからって、薬を使うとは。
「少し休まれて、回復なさっているといいんですが(意訳:薬抜けた?)」
「どうでしょうね。あれから10分から20分程なので」
薬を使ってからそれ位、と。怪しい所ではありますが…まあ、安静にしていれば問題ないでしょう。脳の中枢神経というか…平衡感覚というか…そこら辺を狂わせる物なので、立っているとどうしてもめまいがしてしまうんですよね。座れば身体が固定されますから、多少は違うはず。
それに、飲ませたのではなく、嗅がせたというのなら、そこまで長く効くモノではないですし。
「失礼します。ラクシュ=ノア=ディベル様をお連れしました」
と、案内してくれた兵がドアをノックして声を掛ければ、執事…いや、家長ですかね。年齢も高めで白髪が混じっていますし、雰囲気的にも堂々としたものです。思わずちらりと傍に控える執事を見れば、特に変化はないですが…まあ…うち、ですしね。戦闘狂がこうまでおとなしくなっている現状に満足するしかない。
「どうぞ。主人はまだお加減がよくありませんので」
「ええ、大丈夫ですよ。ご心配をおかけしてしまいましたね」
と、社交辞令を言っておく。あれくらいの人数、一人で捌けなくては、ルーヴェリア様をお守りする事なんてできないんですけれどね。まあ…大変ではあるので、使えるモノは使いますが。あとは体裁。そう、体裁ですよ。
中に入れば、正面に執務の机がある。奥にもソファなどの応接セットがありますが、そちらではなく執務机に座っていたのは…派兵を考えていたんでしょうかね。
「座ったままで申し訳ないが、怪我などは」
「問題ありませんよ。こちらこそ、ご心配おかけしました」
「…そうか…兵を向かわせようとしたのだが…その者が」
「ただの賊であればいいんですが、いくら公爵様と私という貴族が2人通るとはいえ…賊があそこまで人数をそろえるとはおもえません。そうなるときちんと取り調べねばいけませんんし…一人も逃せないので…コレの言い分の方が正しいです」
至極もっともな言い訳って大切ですよね。
「しかし、あの人数でよく無事で…他の者で、負傷者は…」
「おりませんのでご安心ください」
「は?」
「ルーヴェリア様をお守りする人員を多少使ってはおりますが…あれくらいで負傷していては、ルーヴェリア様に叱られてしまいます」
おい、執事。公爵に聞こえないからって、怒る事あるのかとか言うんじゃありません。確かに我が君は何かヘマした所で怒りはしませんけれど。
「そうか。…それならよかった。では、」
と、公爵が話していると、ぱたぱたと足音が聞こえる。ああ、なんて可愛らしい足音なのか。ばん、と勢いよく開いた扉に、少し驚きましたが。公爵も思わずといった風に黙ってしまいましたね。
「お父様、ラクシュ様が」
けれど、続けて呼ばれた自分の名に---どくり、と…嫌に自分の心音が耳に響いた。
「ちゃんと門から入ったんでしょうね」
「…忘れてました」
「まったく…」
そういえばそういうの忘れてましたね。王都では気にもされていないので。
一応、近くにいた兵に、グランシュネル公爵様に会いたいと言って先ぶれを出してもらい、今執務室へと案内されています。しかし…いくら止めるのが面倒になったからって、薬を使うとは。
「少し休まれて、回復なさっているといいんですが(意訳:薬抜けた?)」
「どうでしょうね。あれから10分から20分程なので」
薬を使ってからそれ位、と。怪しい所ではありますが…まあ、安静にしていれば問題ないでしょう。脳の中枢神経というか…平衡感覚というか…そこら辺を狂わせる物なので、立っているとどうしてもめまいがしてしまうんですよね。座れば身体が固定されますから、多少は違うはず。
それに、飲ませたのではなく、嗅がせたというのなら、そこまで長く効くモノではないですし。
「失礼します。ラクシュ=ノア=ディベル様をお連れしました」
と、案内してくれた兵がドアをノックして声を掛ければ、執事…いや、家長ですかね。年齢も高めで白髪が混じっていますし、雰囲気的にも堂々としたものです。思わずちらりと傍に控える執事を見れば、特に変化はないですが…まあ…うち、ですしね。戦闘狂がこうまでおとなしくなっている現状に満足するしかない。
「どうぞ。主人はまだお加減がよくありませんので」
「ええ、大丈夫ですよ。ご心配をおかけしてしまいましたね」
と、社交辞令を言っておく。あれくらいの人数、一人で捌けなくては、ルーヴェリア様をお守りする事なんてできないんですけれどね。まあ…大変ではあるので、使えるモノは使いますが。あとは体裁。そう、体裁ですよ。
中に入れば、正面に執務の机がある。奥にもソファなどの応接セットがありますが、そちらではなく執務机に座っていたのは…派兵を考えていたんでしょうかね。
「座ったままで申し訳ないが、怪我などは」
「問題ありませんよ。こちらこそ、ご心配おかけしました」
「…そうか…兵を向かわせようとしたのだが…その者が」
「ただの賊であればいいんですが、いくら公爵様と私という貴族が2人通るとはいえ…賊があそこまで人数をそろえるとはおもえません。そうなるときちんと取り調べねばいけませんんし…一人も逃せないので…コレの言い分の方が正しいです」
至極もっともな言い訳って大切ですよね。
「しかし、あの人数でよく無事で…他の者で、負傷者は…」
「おりませんのでご安心ください」
「は?」
「ルーヴェリア様をお守りする人員を多少使ってはおりますが…あれくらいで負傷していては、ルーヴェリア様に叱られてしまいます」
おい、執事。公爵に聞こえないからって、怒る事あるのかとか言うんじゃありません。確かに我が君は何かヘマした所で怒りはしませんけれど。
「そうか。…それならよかった。では、」
と、公爵が話していると、ぱたぱたと足音が聞こえる。ああ、なんて可愛らしい足音なのか。ばん、と勢いよく開いた扉に、少し驚きましたが。公爵も思わずといった風に黙ってしまいましたね。
「お父様、ラクシュ様が」
けれど、続けて呼ばれた自分の名に---どくり、と…嫌に自分の心音が耳に響いた。
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