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5章:2つの結婚式
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式場は、日本でのイメージとにたようなもので、祭壇があって神父様がいて、列席者が並んで…という様式。神父様の前まで、キルギスさんの腕に腕を絡めて歩く。
参列者のみんなに見せる為に、ゆっくりと一歩一歩歩くのも決まりなのだそうで、キルギスさんにエスコートされるがままに歩く。でもこれ、ベールがないし向こうが見るってことは私も見えるって訳で、恥ずかしい。
パン屋の職人は勿論、販売を手伝ってくれている職人の弟子も来てくれてる。職人は結構がっちりとした3,40代位の人で強面だけど、レシピから上手く作り出せる力量は本当に助かる。お店をオープンするまでに二人で四苦八苦して色々試して作ったっけ。キルギスさんももちろんいたけどね。本当に嬉しそうに職人がにこにこしてる。笑ってると強面が和らぐんだよね、結構子供っぽいかも。
松田さんは相変わらずにやにやしてるし、隣のルシーさんがキラキラした目で笑ってくれているので相殺ね。ルシーさんありがとう。後でお礼を言おう。
スーザンさんに所長さん、他にもちらほら見たことがある人達がいるけど、機関の人かな。スーザンさんと所長さんは良い笑顔なんだけど…機関の他の人たちは笑顔もあるけどなんだかほっとしたようにも見えるのは、そんなにキルギスさんが怖かったんだろうか。後で差し入れでも持って行った方がいいのかな?
そしてキルギスさんのご両親は、お義母様は笑顔なんだけど…お義父様が泣いててぎょっとした。ちょっとだけくいっと腕を引かれて、キルギスさんの顔を見てしまったけれど、困った様に笑う。これはもしや他のご兄弟の結婚式でもそうなのかな。いや、でも男親が泣くのって娘さんが嫁入りする時の様な…
あ、でもそうか、
「キルギス=フェンデル、ユカ=タカナシ。神の名代として祝福を。末永く命果てるまで共に在る事を」
「はい、私キルギスは末永く命果てるまで共に在る事を誓います」
「はい、私ユカは末永く命果てるまで共に在る事を誓います」
これはこの世界式の誓いの言葉。少し変わってるなぁと事前に聞いて驚いた、んだけど…私が誓った後で、ひらり、と落ちて来た白い花びら?え?と思って顔を上げれば…
「白いバラ、と青い…花?」
そう、バラが…花びらだけではなく短めだけど茎までついたものが重力を無視してふわふわと会場一面に降り注いでる。あと青というか水色っぽい花もだけど…まさか松田さんが魔法で何かしてるのかと思って見てみれば、松田さんも呆然と見回してるし、みんなざわざわしてる。
「キルギスさん、これって誰かがやってるんですか?」
「いや、知らない。しかもこんな…」
と、二人とも訳が分からず呆然としていたら、なんかすすり泣く音が聞こえて…その元である神父様を見れば、ぼろっぼろに泣いてるけどもめっちゃ笑顔で、怖いよ!?
「失礼いたしました。これは神の祝福であると聖典に書かれておりまして。めったにある事ではないので感動してしまいました。お二人の門出を神が祝福してくださったようです。この花はバラとオキシペタラムですが、皆様それぞれ目に留めた物を1輪ずつお持ちするとよいでしょう。幸せが訪れると聖典に書かれておりますので」
おお…まさかのあの女神の仕出かしなのか!でも…綺麗だし、感謝しておこう。神父様がみんなに勧めて花を選んでもらっているけど私達はどうしよう?とキルギスさんと目を合わせてしまう。
「お二方には1輪ずつとは言わず、お好きなだけ…それこそ全部でも構いません、どうぞお持ちください」
「ありがとうございます。ただ…これは」
キルギスさんがお礼を言って、会場内を見回すけど…足の踏み場もないくらいどっさりあるんだけど。みんな踏まない様に気を付けつつ、手に取ってるし。
「気になった物だけ、貰っていきましょうか」
「そうだな。なんなら教会の方もどうぞ。ユカ、機関にも少しいいか?」
「そうですね。いらっしゃっていない方にも渡るようにしましょうか」
ちょっとこの状況に、緊張していた気持ちがあっという間に気の抜けた状況に。まぁでもみんなも喜んでいるみたいだし、ある意味神様流ブーケトス、しかも広範囲だと思っておこう。
女神様の仕出かしで、豪華でなごやかな結婚式となったのはすごくうれしい。
参列者のみんなに見せる為に、ゆっくりと一歩一歩歩くのも決まりなのだそうで、キルギスさんにエスコートされるがままに歩く。でもこれ、ベールがないし向こうが見るってことは私も見えるって訳で、恥ずかしい。
パン屋の職人は勿論、販売を手伝ってくれている職人の弟子も来てくれてる。職人は結構がっちりとした3,40代位の人で強面だけど、レシピから上手く作り出せる力量は本当に助かる。お店をオープンするまでに二人で四苦八苦して色々試して作ったっけ。キルギスさんももちろんいたけどね。本当に嬉しそうに職人がにこにこしてる。笑ってると強面が和らぐんだよね、結構子供っぽいかも。
松田さんは相変わらずにやにやしてるし、隣のルシーさんがキラキラした目で笑ってくれているので相殺ね。ルシーさんありがとう。後でお礼を言おう。
スーザンさんに所長さん、他にもちらほら見たことがある人達がいるけど、機関の人かな。スーザンさんと所長さんは良い笑顔なんだけど…機関の他の人たちは笑顔もあるけどなんだかほっとしたようにも見えるのは、そんなにキルギスさんが怖かったんだろうか。後で差し入れでも持って行った方がいいのかな?
そしてキルギスさんのご両親は、お義母様は笑顔なんだけど…お義父様が泣いててぎょっとした。ちょっとだけくいっと腕を引かれて、キルギスさんの顔を見てしまったけれど、困った様に笑う。これはもしや他のご兄弟の結婚式でもそうなのかな。いや、でも男親が泣くのって娘さんが嫁入りする時の様な…
あ、でもそうか、
「キルギス=フェンデル、ユカ=タカナシ。神の名代として祝福を。末永く命果てるまで共に在る事を」
「はい、私キルギスは末永く命果てるまで共に在る事を誓います」
「はい、私ユカは末永く命果てるまで共に在る事を誓います」
これはこの世界式の誓いの言葉。少し変わってるなぁと事前に聞いて驚いた、んだけど…私が誓った後で、ひらり、と落ちて来た白い花びら?え?と思って顔を上げれば…
「白いバラ、と青い…花?」
そう、バラが…花びらだけではなく短めだけど茎までついたものが重力を無視してふわふわと会場一面に降り注いでる。あと青というか水色っぽい花もだけど…まさか松田さんが魔法で何かしてるのかと思って見てみれば、松田さんも呆然と見回してるし、みんなざわざわしてる。
「キルギスさん、これって誰かがやってるんですか?」
「いや、知らない。しかもこんな…」
と、二人とも訳が分からず呆然としていたら、なんかすすり泣く音が聞こえて…その元である神父様を見れば、ぼろっぼろに泣いてるけどもめっちゃ笑顔で、怖いよ!?
「失礼いたしました。これは神の祝福であると聖典に書かれておりまして。めったにある事ではないので感動してしまいました。お二人の門出を神が祝福してくださったようです。この花はバラとオキシペタラムですが、皆様それぞれ目に留めた物を1輪ずつお持ちするとよいでしょう。幸せが訪れると聖典に書かれておりますので」
おお…まさかのあの女神の仕出かしなのか!でも…綺麗だし、感謝しておこう。神父様がみんなに勧めて花を選んでもらっているけど私達はどうしよう?とキルギスさんと目を合わせてしまう。
「お二方には1輪ずつとは言わず、お好きなだけ…それこそ全部でも構いません、どうぞお持ちください」
「ありがとうございます。ただ…これは」
キルギスさんがお礼を言って、会場内を見回すけど…足の踏み場もないくらいどっさりあるんだけど。みんな踏まない様に気を付けつつ、手に取ってるし。
「気になった物だけ、貰っていきましょうか」
「そうだな。なんなら教会の方もどうぞ。ユカ、機関にも少しいいか?」
「そうですね。いらっしゃっていない方にも渡るようにしましょうか」
ちょっとこの状況に、緊張していた気持ちがあっという間に気の抜けた状況に。まぁでもみんなも喜んでいるみたいだし、ある意味神様流ブーケトス、しかも広範囲だと思っておこう。
女神様の仕出かしで、豪華でなごやかな結婚式となったのはすごくうれしい。
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