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5章:2つの結婚式

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 そんなこんなで、次回リュリュクスへと来る時はギルドへ納品する事と、お店をやるならどうするかを考える為に機関で相談する事に。
 そうして今日その相談の為に来たのだけれど、キルギスさんは勿論、スーザンさんにルシーさん、松田さんまでいた。

「なんで松田さんまでいるんですか」
「なんか楽しそうだし一応ね」

 楽しそうってなんだ楽しそうって。そう思ったけど、全員にお茶が配られて、テーブルに大きい紙が広げられる。

「ユカの世界のパンをこちらで再現して店を開こうと思うんだが…松田、何か問題はあるか?」
「こっちの世界の物を使うっていう前提はあるけど、似たような物はあるし、意外と食材の種なんかも落ちて来てるし大丈夫じゃないかな。どうせキルギスさんが職人に声かけた時点で、レシピの出どころが落ち人ってことは分かるだろうし」
「そうね、因みにどの職人に声かけるのかしら」
「まずは両親に相談してみようと思う。家か、領主館か…その辺りでいい人がいれば安心かと」
「出店するとして、場所も考えないとですね」

 と、それぞれ意見を出してくれる。職人さんはそうよね、キルギスさんつながりの方が安心よね。一応機関の職人さんでも大丈夫みたいなんだけど、出来そうな人がいないんだとか。それじゃあしょうがない。
 出店の場所もそうよね。ルシーさんが、うちの近所なら様子見れるけど人通り少ないからなぁ。と、しょんぼりしちゃってる。

「ルシーちゃんの言ううちの道具屋の近所もありだと思うよ~総菜パンなんかでがっつり系ならハンターも買っていく可能性あるし、うちに来たやつに声かければいいから人通りすくないけどそれはそれで呼び込み次第かな。あと意外と甘い物好きなのいるし。でもケーキ屋に行くの恥ずかしいっていう奴もいるからさ」
「あら。そうなの?じゃあ試食を置かせてもらうとかもアリかしら」

 松田さんの言葉から思いついて言えば、それもありかもといい反応だ。ルシーさんのマジックバックは、時間停止はあるけれど少量らしくて余り使い道がないのだという。それでも馬車の四分の一程は詰めるから遠出する時は食料を入れていくらしいけれど、街にいる時は空いてるからと問題ないと言ってくれる。

「後はそうだね。ちょっと見栄えのいい…パイとかなら領主館にホールで届けてもいいんじゃないの?」
「え、でもそういうのってこっちにもありそうなんですけど…ないんですか?」
「あるけど、宣伝?というか菓子パンの名前とか覚えてないんだよねぇ」

 そう言ってあはは。と笑う。まあ、そうよね…見た目だけで選んで名前まで覚えてるかって言うと、ね。じゃあ見た目いい物を持っていくか。

「パン屋巡りと並行してレシピと相談ね…」
「そうだねぇ。俺の仕事の方は年末じゃなければ急がないし、あっちに丸投げでもいい訳だし、そっち重点的にしていいよ。ほっといて収入になるもの増やしとくと楽になるしさ~」
「ほっといていいとはいかないと思うけど…まあ一理あるわね」

 松田さんのおかげで野草薬草でもそこそこ稼げてるし、なんならキャンプ道具の燻製機の売り上げもあるから安定して来てるしね。
 なんだかんだで上手く行ってるんだけど、大丈夫かなと不安になったりする。パン屋さんが大コケしない事を願うしかない。
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