キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ

文字の大きさ
上 下
91 / 108
4章:偽装結婚を提案されました

91

しおりを挟む
 そんなこんなで着々とリュリュクスで生活する基盤を作りつつ、日本での会社へ退職届けを出す事に。松田さんとも話をして、退職理由は言葉を濁す、どうしても聞かれたら他にやりたい事があるとかで逃げて、しつこいなら結婚することを話す、という事にした。
 一応上司に退職届を出すのがセオリーだけど、人事部に出す事にした。何故って、そんなに関わりがないから、理由を聞かれない可能性に掛けたのよ。結果としては、人事部では聞かれなかったけど、後日課長と部長に聞かれたわよ…でもまあ、今は結構個人情報とかハラスメントとか厳しいから…他にやりたい事があって…と濁したら、納得はしていなかったけれど詰められる事はなかったから助かった。

「で、どうするの?あっちに入り浸る?毎日キルギスさんといちゃいちゃする?」
「…松田さん…?」
「あ、ごめん。調子に乗りました」

 松田さんはこうやってからかってくるからイラっとするのよね…でもなんか一応は心配してくれてるのか向こうの情報も貰えるし、憎めないんだけどね…

「でも、まあ…こっちにいると生活費掛かっちゃうし、あっちでの収入も安定させたいので
入りびたる事にはなりますね」
「じゃあ、悪くなる物だけさっさと消費するか…高梨さんのインベントリに突っ込んでおくのがいいかな。時間停止なんでしょ?」
「そうですね。でも後…一週間は働かないといけないので」
「あれ、一週間でいいの?」
「実は有給消化が残ってまして」

 そういうと、あー…と困った顔をする松田さん。異世界で主に活動していて会社に入って働いたことがないから有給という存在を知ってはいたけど忘れていたのだと言う。
 実を言うと私も忘れていて、退職届をだして2週間で退職しようとしてたら有給の事を言われて、引継ぎは一週間もあれば十分だし、あとは有給消化するだけだからいかなくていいから助かるけど。

「じゃあ、どうする?うちの両親の挨拶」
「そうですね…引継ぎ問題なく終わって有給消化期間になればいけますけど…」
「じゃあ一か月後位に…って、住む場所どうする?いきなり海外にいくより俺の…旧旅館兼住居に移動した方が楽なのかな」

 あー…確かに。松田さんが急遽相談場所として部屋を借りてくれたけど、絶対家賃高いよね。どうせ北海道に行くなら、引っ越しをした後で顔合わせの方が後々楽かもしれないという話になった。確かにね、松田さん同様に向こうでの生活が主になるなら住居はなくても良いくらいだし。

「旅館だったから部屋はあるんだけど、ただごめん、部屋にお風呂もトイレもないんだよね。古い旅館だから、共同のものはあるんだけど…一応廃業した時に綺麗にして使ってない状態だからちょっと掃除すれば使えるとは思うけど」
「ああ、そういう…機関のお風呂を使わせてもらいますし、トイレも確か部屋にあったはずなので…転移します」
「うん、ごめん。一応後で使えるか確認するよ。俺もほぼあっちで入ってるけど、流石に俺が使ってる風呂は嫌でしょ」

 家族で住んでいた住居のお風呂だもんね。松田さんに対しては、安全枠という認識になってしまったので貞操の危険というのは考えたことないんだけど…いや、向こうでルシーさんとのいちゃいちゃを見てればね。しかも私の事をほんとにそういう目で見られたことないし、どっちかというとキルギスさんとくっつけようっていう気満々ですしね…
 それはともかくとして、他人の使ってるお風呂って気を遣うし、機関のお風呂も嫌じゃないから何とかなるとは思う。その辺りもどうするか考えないとなぁ。
しおりを挟む
新作はじめました。過去作の主人公の男二人がなんかいちゃいちゃするやつです。片方女として転生してますけども。↓↓↓
TS転生∞:何度も生まれ変わり、能力を求められるのは

あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。

櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。 ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。 気付けば豪華な広間。 着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。 どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。 え?この状況って、シュール過ぎない? 戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。 現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。 そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!? 実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。 完結しました。

【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。  天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。  学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。

【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない

櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。  手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。 大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。 成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで? 歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった! 出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。 騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる? 5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。 ハッピーエンドです。 完結しています。 小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。

【完結】夜会で借り物競争をしたら、イケメン王子に借りられました。

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のセラフィーナには生まれつき前世の記憶があったが、覚えているのはくだらないことばかり。 そのどうでもいい知識が一番重宝されるのが、余興好きの国王が主催する夜会だった。 毎年余興の企画を頼まれるセラフィーナが今回提案したのは、なんと「借り物競争」。 もちろん生まれて初めての借り物競争に参加をする貴族たちだったが、夜会は大いに盛り上がり……。 気付けばセラフィーナはイケメン王太子、アレクシスに借りられて、共にゴールにたどり着いていた。 果たしてアレクシスの引いたカードに書かれていた内容とは? 意味もなく異世界転生したセラフィーナが、特に使命や運命に翻弄されることもなく、王太子と結ばれるお話。 とにかくツッコミどころ満載のゆるい、ハッピーエンドの短編なので、気軽に読んでいただければ嬉しいです。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。 小説家になろう様への投稿時から、タイトルを『借り物(人)競争』からただの『借り物競争』へ変更いたしました。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【コミカライズ発売中】無敵のシスコン三兄弟は、断罪を力技で回避する。

櫻野くるみ
恋愛
地味な侯爵令嬢のエミリーには、「麗しのシスコン三兄弟」と呼ばれる兄たちと弟がいる。 才能溢れる彼らがエミリーを溺愛していることは有名なのにも関わらず、エミリーのポンコツ婚約者は夜会で婚約破棄と断罪を目論む……。 敵にもならないポンコツな婚約者相手に、力技であっという間に断罪を回避した上、断罪返しまで行い、重すぎる溺愛を見せつける三兄弟のお話。 新たな婚約者候補も…。 ざまぁは少しだけです。 短編 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。 一迅社様より、アンソロジーコミック「婚約破棄されましたが、幸せに暮らしておりますわ!」第8巻が2/28に発売されました。 かしい葵先生にコミカライズしていただきましたので、よろしくお願いいたします。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

処理中です...