上 下
68 / 108
3章:異世界と日本との二重生活の始まり

68

しおりを挟む
 支払方法の実践は問題なくできた。金種とか金額さえ覚えてしまえばなんとでもなるしね。問題があるとすれば、ぼったくりにあわないかどうか…これは相場をしっかり覚える必要があるから、しばらくは誰かと買い物に行ったりした方がいいとは言われたわね。
 誰かといわれても、知り合いが限られてる現状だけど。

 お茶をしながら、今後も実践を行いつつ世界に慣れていくらしいけど、次回どうするか、という話になった。

「その、この世界のアクセサリーや服等も買いに行くか?この間両親に強引に決められていたが、自分の好きな服を選びたいものだろ?」
「それは、」
「まあ、いいですね。次回はそうしましょう!」

 そこまで必要性を感じなかったので断ろうとしたら、スーザンさんにそう決められてしまった。なんだかものすんごくきらきらした目をしてるんだけど、なんだろう。何か企んでない??

「お店のチョイスは私が…いえ、ルシーさんにもお願いします。なので、お二人でお買い物デートしてきてください」
「!!」

 ちょっと、デートって言った…!スーザンさん!!!

「…それもいいな。買わなくてもいいし見てるだけでも楽しいだろう?気に入った物があれば買えばいい」
「え、あ…はい。そうします」

 キルギスさんは特にデートという言葉に反応するでもなく、しれっとそう言って来る。気にしてるの私だけですか!?

「ただ、相場を知って欲しいから、値段は伝えるが…支払いは気にしなくていい。私が持つ」
「…ありがとうございます」

 うん、未だにこの世界での給与的なものはないのよね。これもなんか気になるから、ちょっとは収入元考えなきゃなぁ。いくら機関がそういうサポートをしてくれるとはいえ、ずっとという訳ではないだろうし。
 と、そのあたりも相談してみることにした。

「あの、もしこの世界で金銭を頂く…働くとしたら、どういう仕事がおすすめですか?」
「そうだね、教会で調べたスキルでランクが高い物を選ぶといい。世界は違うが、応用が利くらしいからな」
「スキル、ですか…えっと、ここで言っても大丈夫ですか?」
「スキル名ではなく、こういう事に強い、という様な感じで濁してもらえれば」

 ふむ。魔法が得意とか、計算が得意とかなら問題なさそうかな。おすすめ職業もあるけど…確か秘書っぽいのがあったけど、これを言ったらキルギスさんのご両親のお仕事を手伝う事になりそうだからやめておこう。

「魔法と計算が得意なのと…あと、おすすめ職業で商人もあったんですが…これはマジックバックを持ってるからですかね」
「商人か。そうだね、その理由からというのもありそうだが…相場なんかを覚えれば計算が得意という事だし…どうだろう、スーザン」
「女性なので仕入れであちこちやり取りする時や移動する事を考えるとちょっと。護衛をつけるにしても、こっちの世界の人間だと馬車で一緒に移動するしかないですし…」

 ああ、そうか。身の安全を考えないといけないのか。ルシーさんも馬車で移動して買い付けしてた時に襲われたんだっけ?一歩外に出たらすぐ危険という訳じゃないだろうけど、日本人特有の油断はどうしても抜けないだろうし。
 後はまあ、私のスキルで日本の物を持ち込んで販売するのもいいんだろうけど…能力バレない様にしないとだしなぁ。うーん。どうしよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。  天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。  学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。

石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。 いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。 前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。 ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

嫌われ黒領主の旦那様~侯爵家の三男に一途に愛されていました~

めもぐあい
恋愛
 イスティリア王国では忌み嫌われる黒髪黒目を持ったクローディアは、ハイド伯爵領の領主だった父が亡くなってから叔父一家に虐げられ生きてきた。  成人間近のある日、突然叔父夫妻が逮捕されたことで、なんとかハイド伯爵となったクローディア。  だが、今度は家令が横領していたことを知る。証拠を押さえ追及すると、逆上した家令はクローディアに襲いかかった。  そこに、天使の様な美しい男が現れ、クローディアは助けられる。   ユージーンと名乗った男は、そのまま伯爵家で雇ってほしいと願い出るが――

義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます

富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。 5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。 15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。 初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。 よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

処理中です...