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3章:異世界と日本との二重生活の始まり

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 釣った魚は男性陣が捌くなりそのまま串に刺すなりして、焚火で焼く事に。女性陣はお米を炊く事になりました。パンを焼く事もあるらしいけど、捏ねるのが大変だから今日はお米で。ということらしい。
 お米を炊くのは日本でもよく使う飯盒炊飯でした。これは松田さんが制作依頼をしてつくったそうで、ルシーさんの道具屋でもあつかってるという。

「どうしてこんな作り方しかしないのか、飯盒炊飯ってないのかと聞かれて困ってしまいまして。絵に描いて貰いましたがそのような道具がないと判明したので、すぐに制作したみたいです」

 こんな作り方、というのは鍋やフライパンで煮ていた為に、リゾットのようなものしかなかったのだとか。一応、自宅の竈では炊けるけど、旅先ではそういうものだという先入観があったらしい。
 こういう物で使いやすい物を流通させるのも手かなぁ。キルギスさんならこの世界に持ち込んだら危険そうな物を教えてくれそうだし、後で聞いてみよう。

 そうして食事を摂った後は、周りも薄暗くなっていたのでコテージに戻ることに。お茶をいれてテーブルで皆で話をするけど…

「高梨さんはキャンプの時はどうしてるの?」
「ただ火を眺めてるとか、スマホやタブレットで時間つぶしたりしてますけど…早く寝て翌朝散策したりとかですかね。でも一人だと片付けも時間かかりますし、朝食の準備をするにも火起こしに時間かかったりすることもありますし」

 松田さんに聞かれて答えるけど、その時の状態によるとしか言えないのよね。煮物焼物なんかすれば洗い物も増えるし、余った料理や食材は保存容器に入れて車に入れておかないといけないしね。

「そういえば、こっちではゲームとかしたりしないんですか?」

 カードゲームなんかは日本でも気軽にできるし聞いてみれば、あることはあるらしい。

「ただ、あっちみたいに均一の形状っていうのがなかなか難しいらしくてねぇ」

 カードの特徴を覚えて、とか自分が使い込んだカードで、とか色々問題もあるらしい。なので、カードゲームより盤面遊戯の方が多いとか。

「あとはあっちで言う人狼ゲームとか、言葉遊び…っていうのかな、キーワードから答えをあてるとかそういうやつね。そっちの方が簡単だから好まれてるね」

 道具はいらないし。という松田さん。確かに荷物を余り持てない旅ならそうなるか。

「あとはまあ、獣がよく出る所だと見張りの問題があるから早めに寝て睡眠時間を長くとる、とかね」

 どちらかというとそっちの方が割合が大きいらしい。うーむ、やっぱりそうなるか。

「ここはきちんと整備されてるし、心配ない。ゲーム関連も確か置いてあるはずだから探してこよう」

 キルギスさんがそう言ってどこかへと向かうとスーザンさんが貴族向けの施設でもあるので常備しているのだという。

「お酒を持ち込んでゆっくりしたり、かけ事をする方もいるようですが…大体が家族で来ますからお遊びですね」

 金銭ではなくお菓子や欲しがっている物を報酬としたりするらしい。うん、健全でいいわね。
 すぐに戻って来たキルギスさんだけど、その板は円形になっていて、カラフルな棒がある?

「これは…陣取りゲームに近いかな。参加人数は…6色あるから6人かな」
「そうだな。2人から6人でできるようになっているから、人数は余り考えなくていいから助かるんだ」

 ルールの説明をしながら松田さんとキルギスさんでやってくれるそうで、白熱した戦いが始まる…かもしれない?
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