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3章:異世界と日本との二重生活の始まり

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 一通りコテージの中を見て回り、リビングに戻ればにやにやとした面々に出迎えられましたよ。くっそう。

「さて、ではこの後はどうしようか。湖に出かけるか?」

 すでにお茶も用意されていて、椅子に座っていただきながら相談する。

「俺は釣りして魚用意しとくよ。ルシーちゃんもする?」
「そうですね…火や具材の用意はそれほど掛かりませんがどうしましょう?」
「それは私がやっておきます。キルギスさんはタカナシさんのサポートをお願いします」
「サポートか…ユカは何がしたい?散策でもいいし、釣りも興味あったようだから、釣りでもいいが」

 と、どんどん役割が決まっていくけど、キルギスさんに聞かれて釣りをしたいと答える。散策しても一周回るのに時間も掛かりそうだし、湖で視界は開けてるしね。釣りはやったことないからね。話を聞くに、生餌だとちょっと抵抗あるような事を聞いたけど、ここはどうなんだろう。

「餌ってどういう物を使うんですか?」
「あー生餌だけど…高梨さん釣りってしたことある?」
「ないですね」
「そしたらキルギスさん、餌付けお願い~」

 ああ、やっぱりそうなるのか…ルアーとか、そういう疑似餌みたいな物があるのかと聞けば、あることはあるらしいけど…

「旅とかそういう場合って糸と針だけ携帯してて、その場の木の枝とかで何とかしたりするのが一般的だからねぇ。村とか、漁業、っていうのかな。そういう目的でなら疑似餌使ったりするみたいだけどね」

 生餌を探すのも一々面倒だし、ということらしい。旅とかで少しだけお腹を満たす位ならば、その場調達の方が荷物も少なくなるので生餌を使うのだとか。
 やっぱり荷物少なくがモットーなのか。


 という事で、お茶で喉を潤したら釣りの開始です。とはいえ、道具は男性が用意してくれて、ただ釣り糸を垂らすだけですが。
 最初に釣り糸の投げ方というのだろうか。教わったけど、あまり上から投げるようにするのはコントロールというか、針がどこを通るのかわからなくて怖かったので、振り子の原理でただ離すだけという方法です。
 余り遠くまで行かないので、小魚になるとは言われたけど…初心者ならそれ位の方がいいらしい。あまり大きい魚だと、重たくて糸が切れたり取れたりするらしいので。


 そうして、切株の椅子に座って1時間程経過すると、3匹だけだけど、手のひらより少し大きい魚が釣れました。ビギナーズラックなのか、ここは釣れやすいのか…

「お。高梨さんまぁまぁ釣れたみたいだね~どう?楽しい?」
「魚がかかった時の手に来る感触が結構びっくりしますけど…景色を眺めながらのんびりできますし、楽しいです」

 松田さんが様子を見に来て聞かれたので、素直に答えておく。キルギスさんは隣にしっかり座ってますよ。色々日本の仕事の事とか、趣味の事とか話しながらね。聞かれて答えるだけだと癪なので、キルギスさんはどうなのかと返すと色々しゃべってくれるし…魚がかかった時は横からアドバイスの声をかけてくれるしなんなら魚も針からとってくれますよ。めっちゃ至れり尽くせりです。

 まあ、その話をしてるおかげで、キルギスさんの好きな食べ物・飲み物とか、休日はどう過ごしてるかとか…最近では私が好きそうなお店を探してるから一緒に行こうと誘われたりしましたけどね。
 どうしてこんな平凡な女が気に入ったのやら。
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