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3章:異世界と日本との二重生活の始まり

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 さて。日が明けて、昨日言われたように指定時間5分前に唱えて…びっくりした。だって、すでにキルギスさんも松田さんもソファに座って待っていたから。

「よく来てくれたね、さあ、座って」

 しかも、キルギスさんの様子が一晩で…ものすんごくきらっきらした顔に変わってるんですけど!?変化すごくない!?ていうかまぶしい!イケメンの笑顔まぶしすぎる!
 ソファから一瞬で私の傍に来て、手を取られてソファに座らされるとか、なに、このスキル…!

「無事に転移できたみたいでよかったよ。イメージ力が邪魔する時があるからね~」

 松田さんはかるーく笑いながらそう言うけど、え、何それ怖い。しかもすでに防音の結界を張ってあるのだという。準備万端ね…

「本当は領主様達もいた方がいいんだけど、決めてからがいいかなって。高梨さんが上司とか、偉い人とかに嫌だってちゃんと言えるかわからないからね」
「…嫌だって言ってたのに強引に連れてこられた場合はどこへ訴えればいいんですか」
「あはは…それはごめんって」

 あ。松田さんは笑ってるけど、キルギスさんの目が死んだ。やめよう、この話は。

「それはそれとして…やっぱり安全なのは領主様の秘書官なんですか?」
「一番はね。奥様も領主館や家の…人事っていうのかな。そんな感じの仕事だから、そっちでもいいけど…奥様の場合、高確率でお茶会が発生するからね。貴族婦人達の井戸端会議って言えばかわいいけど、あれも政治の話が盛り込まれるからねぇ」

 怖いよ~貴族女性の会話は。そういって、目をそらして笑う。あーまあ…分からなくはない、かなぁ…想像して私も遠い目になってしまった。
 ごほん、と咳払いして場を戻したのは、キルギスさんだ。

「うちじゃなくても他にあるだろう、松田の…あの店でもいいし、機関でもいいし…安全な場所はあるぞ」
「うちの店もいいけど、不特定多数が利用するよ。まあ、ハンターで毎回利用してくれるお得意さんには悪い奴いないけど…店だからね、不正なこととかしないかぎり、あんまり強く拒否できないし。あまりにもひどく言い寄られたら別だけどさ」

 できるとしても俺がいる時だけかな~と、松田さんが言う。お店かぁ。どんな商品を取り扱ってるかわからないけど、お店の店員もいいなぁ。

「そもそも能力が余りにも強力すぎて話が飛びすぎてるが…機関である程度は教育が望ましいか。それからどうするか決めよう」
「あー…それもそうだね。能力ヤバすぎで安全策考えなきゃって突っ走っちゃった。でもそうすると、キルギスさんが教育係になるのかな」
「そう、なるな。あとは居ないときは…スーザンに頼む事にするし、所長もつけよう」
「え、それ大丈夫なの?」
「ただ横にいるだけでいい。書類仕事の必要性もあるが…それなら執務室に机を用意してもいいだろう」

 所長の執務室に机…いや、まあ、あの所長さん、ふんわりしてるから怖い印象ないけども。でもいいのかそれ。企業秘密…というか機密情報とかないの?大丈夫?

「大丈夫じゃないかな。…たぶん」

 うぉい!たぶんって言ったよ、キルギスさん!?

「所長に確認してからにしてください」
「そうだね、そうするよ」

 なんだろう、身の振り方考えないとなぁ。この二人に任せてると気が付いたら…とかありそう。
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