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3章:異世界と日本との二重生活の始まり
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どうしよう、と考えていると、領主様の隣に座っていた女性から自己紹介をされた。領主様の妻のイザベラ様というらしい。
「松田から、能力が危険という事しか聞いていないのですけれど、この世界での事は全力でサポートいたしますし、あの子の傍にいてくれるだけでいいのです。ほんとうに、ほんとうにそれだけでいいのです。お願いします」
と、頼み込まれると…断るのが苦手な日本人気質からか、わかりましたと答えてしまっていた。
「しばらくはこの世界にいる間は松田を着けよう。その世界ならではの暗号などもあるだろうしね」
という事で、日本で暗号をいくつか作っておいて、来る時は日時を合わせて決まった部屋へと転移する事になった。そこで暗号があっていなければすぐに日本へ戻っていいとの事。そこまでしなくてもと思ったけど、もし何かよからぬ輩に遭遇して、二度と来ないと言われない為にもと言われてしまった。
…でも、こうして召喚されてる時点でどうなのと思わなくもないのだけれど。
そうして…これからキルギスさんを呼ぶからと松田さんと二人きりにされてお茶を用意された。これからどうしようとかキルギスさんと会うのかとか色々ぐるぐると考えていると、ふっと急に視界が暗転した。
「…まっくら」
一面真っ暗だけど、丸テーブルにカフェセット、その場がライトで照らされているという状況にパニックになった。そのテーブルに座った状態で私だけいるのだけれど、立とうとしても立てない。ひたすらきょろきょろとあたりをみまわす事はできるけど、変化はないしなんだろこれ?
『…る…き…えるー?』
と、不意に聞こえた声は、ゆったりと落ち着いた、ソプラノボイス。
『あ、つながった。よかったぁ』
「えっと…」
思わずそう呟いたら、目の前に女性が座っていた。白い肌、綺麗な金髪でゆるやかなウェーブが掛かった女性。若々しくて、綺麗な人。
「ごめんね、ちょっと私の世界で…えーと、あなたの世界だとイレギュラーっていうのかな、いや、アクシデントかなぁ。あなたが…日本で生きて行きたいのもわかってるけど、お願いしたくて強制的に意識をつないだの」
そう言って、お茶を勧められて口にすると、その女性が話し始めた。
その女性は神様なのだと自己紹介した。基本放置な神様だけど、ときどき思い付きでやらかして、その尻ぬぐいを現地の人がやってくれるのだとか。世界が停滞してるなー異世界から呼ぼう、というかんじで気楽に変化を起こしてトラブってる。
しかも手を加えて少しの間はみてるけど、軌道にのったら放置しちゃうらしく、爆発して国消滅しててもあれー?なんか変なことなってる。でもまあ今はよくなってるしいいかー。と、はた迷惑な事をしているのだとか。
「悪いとは思ってるのよ~でも、ずーっと見てられるわけじゃないから仕方ないのよね~」
放置する期間は神様感覚なので、長い時もあればそうでもないときもある。それでもなんとかしちゃう人達だから、振り回されはするけれど、世界は何とかなっていたのだという。
「神と言っても、全知全能って訳でもないのよ~だから色々良くするために手を尽くしたんだけどね」
ギフトは世界をずっと見ていられないからとランダム付与にしたがゆえにバランスブレーカーになり、しかもそれが上位神にバレたらしくおこられちゃったてへぺろ。と、綺麗な人がやると様になるんだなぁと、違う所へ意識が飛んだ。
けれどその間にも話されて、魔王が発生しそうだから助けてとお願いされたのだけれど…
「助けてと言われましても」
「だからね、その魔王っていうのが…えーと、貴女が召喚された理由の男性の事なのよ~」
「はい?」
どうやらこの神様は私に分かりやすい様に、魔王と勇者として話してくれたのだけれど…
「キルギスさんが、勇者であり魔王?」
「能力的にそうだというだけなんだけどね~英雄とかでもいいし、暴君とか狂犯者とかでもいいんだけど」
国一つなくなったのは、怒りから能力が爆発したからで、意図して怒りの向け先を決めてしまえば、その個人や組織を壊して回る犯罪者になるのだという。
「その可能性があるんですか?」
「そうなのよ~今回はたまたま見てた時だから助かったわ~」
だからお願いと言われたので、条件を付けて了承することにした。
もうね、さっきからお願いされっぱなしで疲れたっていうのもあるし…心配事がなくなるのであれば…まあ、あの異世界を楽しんでもいいかなと思っちゃったのよね。
「松田から、能力が危険という事しか聞いていないのですけれど、この世界での事は全力でサポートいたしますし、あの子の傍にいてくれるだけでいいのです。ほんとうに、ほんとうにそれだけでいいのです。お願いします」
と、頼み込まれると…断るのが苦手な日本人気質からか、わかりましたと答えてしまっていた。
「しばらくはこの世界にいる間は松田を着けよう。その世界ならではの暗号などもあるだろうしね」
という事で、日本で暗号をいくつか作っておいて、来る時は日時を合わせて決まった部屋へと転移する事になった。そこで暗号があっていなければすぐに日本へ戻っていいとの事。そこまでしなくてもと思ったけど、もし何かよからぬ輩に遭遇して、二度と来ないと言われない為にもと言われてしまった。
…でも、こうして召喚されてる時点でどうなのと思わなくもないのだけれど。
そうして…これからキルギスさんを呼ぶからと松田さんと二人きりにされてお茶を用意された。これからどうしようとかキルギスさんと会うのかとか色々ぐるぐると考えていると、ふっと急に視界が暗転した。
「…まっくら」
一面真っ暗だけど、丸テーブルにカフェセット、その場がライトで照らされているという状況にパニックになった。そのテーブルに座った状態で私だけいるのだけれど、立とうとしても立てない。ひたすらきょろきょろとあたりをみまわす事はできるけど、変化はないしなんだろこれ?
『…る…き…えるー?』
と、不意に聞こえた声は、ゆったりと落ち着いた、ソプラノボイス。
『あ、つながった。よかったぁ』
「えっと…」
思わずそう呟いたら、目の前に女性が座っていた。白い肌、綺麗な金髪でゆるやかなウェーブが掛かった女性。若々しくて、綺麗な人。
「ごめんね、ちょっと私の世界で…えーと、あなたの世界だとイレギュラーっていうのかな、いや、アクシデントかなぁ。あなたが…日本で生きて行きたいのもわかってるけど、お願いしたくて強制的に意識をつないだの」
そう言って、お茶を勧められて口にすると、その女性が話し始めた。
その女性は神様なのだと自己紹介した。基本放置な神様だけど、ときどき思い付きでやらかして、その尻ぬぐいを現地の人がやってくれるのだとか。世界が停滞してるなー異世界から呼ぼう、というかんじで気楽に変化を起こしてトラブってる。
しかも手を加えて少しの間はみてるけど、軌道にのったら放置しちゃうらしく、爆発して国消滅しててもあれー?なんか変なことなってる。でもまあ今はよくなってるしいいかー。と、はた迷惑な事をしているのだとか。
「悪いとは思ってるのよ~でも、ずーっと見てられるわけじゃないから仕方ないのよね~」
放置する期間は神様感覚なので、長い時もあればそうでもないときもある。それでもなんとかしちゃう人達だから、振り回されはするけれど、世界は何とかなっていたのだという。
「神と言っても、全知全能って訳でもないのよ~だから色々良くするために手を尽くしたんだけどね」
ギフトは世界をずっと見ていられないからとランダム付与にしたがゆえにバランスブレーカーになり、しかもそれが上位神にバレたらしくおこられちゃったてへぺろ。と、綺麗な人がやると様になるんだなぁと、違う所へ意識が飛んだ。
けれどその間にも話されて、魔王が発生しそうだから助けてとお願いされたのだけれど…
「助けてと言われましても」
「だからね、その魔王っていうのが…えーと、貴女が召喚された理由の男性の事なのよ~」
「はい?」
どうやらこの神様は私に分かりやすい様に、魔王と勇者として話してくれたのだけれど…
「キルギスさんが、勇者であり魔王?」
「能力的にそうだというだけなんだけどね~英雄とかでもいいし、暴君とか狂犯者とかでもいいんだけど」
国一つなくなったのは、怒りから能力が爆発したからで、意図して怒りの向け先を決めてしまえば、その個人や組織を壊して回る犯罪者になるのだという。
「その可能性があるんですか?」
「そうなのよ~今回はたまたま見てた時だから助かったわ~」
だからお願いと言われたので、条件を付けて了承することにした。
もうね、さっきからお願いされっぱなしで疲れたっていうのもあるし…心配事がなくなるのであれば…まあ、あの異世界を楽しんでもいいかなと思っちゃったのよね。
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