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1章:癒しを求めたはずが

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 そんな謎技術を聞きながらも、食事を済ませて街へと到着。日が暮れ始めたかな、っていう時間だからまだ街の様子も分かる。どの町も時間が時間だからか、賑わっていた。
 街には必ず機関の施設が完備されているそうで、そこで夕食と寝床を借りて、翌日朝に出発という事を繰り返した。
 余り時間もなかったから、施設しか使わなかったけど…あくまで事務的に接する人とか、キルギスさんが有望株なのか、誤解しない様にと釘を刺して来る人とか(驚く事に男性も)もいたけど、まあこんなものか…と、やり過ごしていた。
 うーん。落ちて来た人を囲い込むっていう話からすると、いい所を見せて定住させようって考えるものじゃないのか…?いや、帰るって言ってるんだから、逆にこれはこれで正しいのか?と、もやもやする。
 そうそう、この3日間で、もし山の中で遭難した時になんとかなるように、生活魔法の水を出す方法と、鑑定魔法だけ教えて貰いました。飲み水と食べられる物さえわかればなんとかなる!

 それはさておき、王都へ到着しました。さすが王都、王様とかが住んでいるだろうお城が遠くから見てもでっかい。
 行政とかそういうのも一緒に入っているから大きくならざるを得ないのだと苦笑してたけど。
 とはいえ…貴族に囲いこみされたら困るという理由から、門の近くに施設と送り返す為の部屋があるのだそう。

「急いで帰りたいというのであれば、すぐにでも出来るように手続きをするんだが…」
「こっちに来た時に戻れるって聞きましたので、特には…」
「それなら、施設に到着報告をしたら、街の屋台へ行ってみるか?」
「え、いいんですか?」

 そう言うと、構わないと返事が返って来た。てっきりさっさと帰る事になるかなぁと思ってたんだけど。他の街でも、ほんとに事務的というか、街を見回ったりとかもなかったから。
 まさか何も見どころがなかったとか…?いやいや、いくら小さな町でも、こう、特有の料理とか、風景とか、あるでしょ…?
 確かに、大きい街の方が、色々種類とか揃ってて楽しそうだけど、それだけじゃないでしょう?
 まあ、今更言っても仕方ない。


 という事で、承認を得て街へと繰り出しましたが…屋台というよりは、オープンカフェというか、そんな感じ。
 店の間口が広くて、客席がそのまま通路に出てる

「その店の味やメニューが好きで来る地元の人間なんかは、奥まった所で酒を飲みながらとか、デザートまでゆっくり楽しみながらとかで、長時間居る人向けで、屋台みたいにいろんな店を楽しむ場合は、外で食べたりするんだ。だから、そういう場合は注文と支払いをカウンターで済ませてから座るんだ。勿論、持ち込みも可能だが、きちんと店の料理も注文するのは暗黙の了解だな」

 と、説明されましたが、まあそれは、ねぇ。フードコートみたいな場所とは違うよね。
 でも、そういうちょっと緩い感じなのはいいなぁ。

「私のおすすめの店をいくつか紹介してもいいんだが…肉ばかりだったから、魚や麺類にするか?」

 確かに。焼いた物ばかりではなく、シチューや煮物もあったけど、肉ばっかりだったわね。
 ふと、そう言えば麺類ってどういう物があるんだろう?と思った。うどんとパスタがあるのは知ってるけど…日本ならそばもあるし…パスタだけではなく、グラタンに使うようなものとか、ラビオリとか、種類があってもいいと思うの。

「麺類って、どういう物があるのか見てみたいんですが」
「どういう…ああ、そうだな。それなら一度商店に行こうか。専門店があるんだ」

 おお。専門店。こんな、王都の専門店ならそれこそなんでも揃いそう。

「商店がある場所も、この時間だから混雑しているだろう。はぐれない様に、また手を繋いでもいいか?」
「は、はい…分かりました」

 おおう…また手つなぎか。うれしいような、恥ずかしい様な。
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