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1章:癒しを求めたはずが

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 異世界の屋台を満喫して戻れば、14時位だった。キルギスさんは機関の入口、というか受付でスーザンさんへ私を引き渡すと、

「今日の夕食は遅めでも問題ないし、量も調節できるから、無理はしなくていい」
「夕食…」
「意外と食べ過ぎて、夕食がはいらないという者や、ああいう場所だとゆっくりと色んな店で長時間食べたりして…夕方位までいた者もいるのでね」

 あー分かる…どちらかというとお酒あるとそうなっちゃうけど、流石に今の状況だとお酒飲むのもちょっと。弱くはないけど、ザルと言われる程ではないし、飲まない方がいいかなと考えたから。
 キルギスさんのその話にお礼を言って、様子を見て決めると答える。

 部屋へと着くと、すっきりするというお茶を淹れてくれるスーザンさん。

「どうです?楽しめました?」
「いろんな屋台があったので、ちょっと心残りはありますが」

 楽しかったです。と答えれば、よかったと笑う。それにしても…

「キルギスさんが付いていてくれたからかもしれませんが、この世界の人は丁寧というか、優しいというか…この領地の人柄でしょうか」

 お国柄とか、あるとかないとかよく言われるけど、そこの所どうなんだろうか。

「そうねぇ。キルギスさんがいるのが大きいわね。でもまあ、確かにこの領地はおおらかな人が集まっているかしら」

 代々領主がおおらかで、良心的な方なのだとか。とはいえ、それだけでは発展させる事が出来ないので、締める所は締める、らしいけど。
 にこにこ笑顔で、柔らかい口調で、すっぱりきっぱり言うらしい。そして…迷いがないのだとか。

「迷いがない、ですか」
「何か決め事をする前に、そりゃ協議とか色々するみたいなんだけどね。災害なんかの決め事なんか打ち出す時は早いわよー。ここの領主一家は、結構裁量持てるらしくて…」

 領主が何か視察や用事でいない時に何かあったとしても、全て人命第一で動くらしく、補佐官として残った人員で動くから早い。その為の訓練や、マニュアルの様な物もあるらしい。
 命さえあればなんとでもなる。それが口癖…だそうで。

「随分と…潔いというか」

 漢らしいというか。ある意味脳筋…

「そんな領主に感化されるのでしょうね。深く考えないという訳でもないんでしょうけど、おおらかにもなるわよねぇ」

 だからといって、犯罪に寛容な訳ではないようで、駄目な物は駄目だときっちりしているらしい。だからなのかな、キルギスさんも言ってたけど、異世界転移した人が悪用される前に囲い込むって言ってたもんね。

「貴女の同郷の人は、この世界は生きやすい様で、生き難いって言ってたけど。私としてはこの世界のいい所も悪い所も気に入ってもらいたいと思ってる」

 生きやすい様で、生き難い…まだ少ししかこの世界を見てないけれど、生活環境以外にも何か問題あるのかな。ちょっと、その同郷の人の話を聞いてみたいと思ってしまった。
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