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1章:癒しを求めたはずが

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 デザート、というか…この世界の果物美味しい。味がしっかりしてるし、甘さが足りないとかそういう物足りないものはないというか。ただ世界各地のフルーツを切って売ってるだけなのに、その屋台の前から動けなくなったほど。
 屋台の人は、そういう人を良く相手するのか、次々とあれは?これは?と、切ってくれた。甘みが強すぎて、砂糖か!?というほど甘い物とか、酸味が強烈な物もあったけど、クリーミーでまろやかな甘さの果物を差し出された。酸味が中和されておいしかったわよ…

「でも、いろんな物切ってくれましたけど…大丈夫なんですか?」
「心配しなくても、ほら」

 そう、一口大に切ってくれた果物たち。でもその余った果物はどうするんだろう。他にも買ってる人はいるけど全部消費される程じゃないから、廃棄になったらもったいないし悪いなと思って聞けば。屋台は恰幅の良いおばさんなんだけど、息子さん、かな?切って中途半端に余った果物を持って行く。

「他の屋台でジュースにしたり、プムで包んだりしてデザートにしたりするから問題ないよ」

 なるほど、他の屋台で使うのか。連携とれててすごいなあ。でも、プムってなんだろうと思っていると、キルギスさんは後で屋台へ連れて行ってくれると言う。

「元は果物の行商をしていてねぇ。屋台にも卸していたんだけど、果物がどんな味か分からないっていう話があったとかで、うちも屋台をやるようになったんだよ」

 おいしいからお店を出してるんだろうけど、知らないものは不安だもんねぇ。
 要望があったけど、やっぱり切ったはいいけど全部売れるか分からないからと悩んでいたら、そういう物をきちんと買い取るから、とお願いされたのだとか。

「うちもそうやって果物に慣れ親しんでもらえれば、屋台の連中以外にも売れるからねぇ」

 売り上げが上がったと言って笑う。なんかいいなぁ。そういう、助け合い…とは違うけど、win-winの関係って。



 果物の屋台で果物を楽しんだ後、屋台のおばさんが言っていたプムで包んだデザートの屋台へ向かった。うん、クレープ程薄くないけど、ホットケーキよりは薄い生地だけど、クレープでした。色々食べたいからと小さめにして貰ったけど、クリーム少なめにして果物たっぷり入ってた。キルギスさんが、私が気に入った果物の名前を言って頼んでた。なんて出来た人なんだ…!
 その他にも、クリームとカットフルーツを一緒に薄切りパンでサンドした物も食べた。クリームは、カスタードクリームっぽかったけど、良い香りがしておいしかった。
 寒天か、ゼラチンがあるのか、ミルクゼリーもあって、その上に果物がたくさん飾られてた。色とりどりの果物がまるで宝石の様に見えて食べてみれば…酸味が強い果物が主でミルクゼリーと一緒に食べるといいのだと教わったけど、なるほど食べ方難しいな…ミルクゼリー単体だとすっごく濃厚で甘い。それを酸味がある果物で上手く中和…いや、逆か?ともかく、こう、量のバランスがね。

「無理なら言ってくれればいいからな」

 なかなかに量のバランスをとるのが難しくて困っている様に見えたのだろう。キルギスさんにそう言われたけど…正解を引いた時の楽しさもあったので、言わないでおいた。
 それにしても甘いものは別腹とはいえ…珍しいものばかりで食べ過ぎてしまった。他にも見るかというキルギスさんにもうお腹いっぱいで入らないと言って、機関へと戻る事にした。

 私が食べていた物で特に反応が良かった物を、キルギスさんがいつのまにか購入してマジックバックへと収納していたらしい。王都へ向かう道中の休憩中に出されて驚いていたら、気に入ってたようだからといい笑顔で言われてなんて出来る男…!と感動してしまったわよ。
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