11 / 108
1章:癒しを求めたはずが
11
しおりを挟む
またドライな対応なのかと思っていましたが…あれね。丁寧な対応というか、なんていったらいいのか…うん、そうそう、旅行に行った時のホテルとかそういう対応。
ただ…これは、キルギスさんが連れて来たからという理由もある、らしい。
ちょっとね、部屋に案内してくれた女性に…こう、おもわずぽろっと言ってしまったら困った顔で笑って教えてくれた。
機関という、ある意味身分やら地位とは隔絶されるべき組織だけど、だからといってその土地を治める領主のご子息に対して何も思わない訳ではない、らしい。
「全く…ええ、ぜんっぜん、ふつーに同僚…友達として接しても問題ございません。ございませんが、それでもやはりこの領地に住む者としては」
だから、そのキルギスさんが保護した私に対しても丁寧になるのだとか。
「じゃあ、他の保護された人は…」
「しっかりきちんと丁寧に対応しますよ? ただ…保護した人の状況とかも様々ございますので」
恐怖心から接するのに慎重にならなければいけないとか、後は…まあ、保護されて当たり前という態度の人には、どうしても冷たく接してしまったりとかあるらしく、色々大変なんです…と、ぼやく。
まあ、人間だものね。それはしょうがない。うん。
案内は勿論それらを説明してくれた女性は、スーザンさんという名前なんだけど、年齢が若い様な、私と同じような、それにしては落ち着いているような…と、イメージがコロコロ変わる人だけど、しっかりと面倒みてもらってます。お茶とかお菓子とかも用意してくれるんだよ…至れり尽くせりだよ。
ということで…夕食です。食堂です。スーザンさんと一緒に来たけど、この食堂は注文形式らしい。とはいえおかずというかメインというか…肉、魚、日替わりの3種類から選べて、ご飯やパンも選べるらしい。もちろん量も。肉体労働な人と、小食な女性では違うもんね…
何気に麺類も種類が豊富なのだとか。いろんな世界から来る人が、食べたいからと開発するそうで。そんな麺類が日替わりで主に出るらしいけど、今日は野菜たっぷりの煮物だった。最近煮物食べてないなーと思ってそれにしてしまったけど。
「あ。醤油味…」
その煮物を食べれば、しょうゆ味の煮物だった。色は確かに茶色っぽい色だったけど、世界が違うし同じとは限らないから期待してなかったけど…すごいおいしい。
「いろんな所からいろんな人や物が落ちて来るからね。料理もたくさんの種類があるわよ。急に知らない場所に来てしまった事を不運だとは思わないで、多少は楽しんでもらえると嬉しいわ」
「はい。そうします」
旅行にでも来たと思えばいいのよね、うん。
「明日、スキルや適性を調べるとは伺ってるけど…少しは遊べるといいのだけれど…あ、キルギスさん、こっち」
と、食堂にキルギスさんも来たらしい。もう一人と一緒に来たみたいだけど…手続きをしてくれた人かな。キルギスさんは手を軽く上げたと思ったら、なにかその人に言われてこちらへと来た。
「所長はいいんですか?」
「私の分も持って行くからとっとと行けと言われたんだ。…料理は口に合ったか?」
あの人所長だったのか。それにしては手続きする時に居丈高じゃないというか、すごく柔らかい雰囲気だったけど。
「は、はい。故郷の味付けだったので驚きましたが」
「そうだろうな。貴女の同郷の者もそう言ってたくさんおかわりしていた」
所長に対してそんな事を考えつつ答えれば、そう言って笑うキルギスさん。…初めて屈託なく笑った顔を見たような。今まで、困ったような笑い方ばかりだったから…ちょっと、その笑顔にどきっとしたのは…気のせいにしたい。
ただ…これは、キルギスさんが連れて来たからという理由もある、らしい。
ちょっとね、部屋に案内してくれた女性に…こう、おもわずぽろっと言ってしまったら困った顔で笑って教えてくれた。
機関という、ある意味身分やら地位とは隔絶されるべき組織だけど、だからといってその土地を治める領主のご子息に対して何も思わない訳ではない、らしい。
「全く…ええ、ぜんっぜん、ふつーに同僚…友達として接しても問題ございません。ございませんが、それでもやはりこの領地に住む者としては」
だから、そのキルギスさんが保護した私に対しても丁寧になるのだとか。
「じゃあ、他の保護された人は…」
「しっかりきちんと丁寧に対応しますよ? ただ…保護した人の状況とかも様々ございますので」
恐怖心から接するのに慎重にならなければいけないとか、後は…まあ、保護されて当たり前という態度の人には、どうしても冷たく接してしまったりとかあるらしく、色々大変なんです…と、ぼやく。
まあ、人間だものね。それはしょうがない。うん。
案内は勿論それらを説明してくれた女性は、スーザンさんという名前なんだけど、年齢が若い様な、私と同じような、それにしては落ち着いているような…と、イメージがコロコロ変わる人だけど、しっかりと面倒みてもらってます。お茶とかお菓子とかも用意してくれるんだよ…至れり尽くせりだよ。
ということで…夕食です。食堂です。スーザンさんと一緒に来たけど、この食堂は注文形式らしい。とはいえおかずというかメインというか…肉、魚、日替わりの3種類から選べて、ご飯やパンも選べるらしい。もちろん量も。肉体労働な人と、小食な女性では違うもんね…
何気に麺類も種類が豊富なのだとか。いろんな世界から来る人が、食べたいからと開発するそうで。そんな麺類が日替わりで主に出るらしいけど、今日は野菜たっぷりの煮物だった。最近煮物食べてないなーと思ってそれにしてしまったけど。
「あ。醤油味…」
その煮物を食べれば、しょうゆ味の煮物だった。色は確かに茶色っぽい色だったけど、世界が違うし同じとは限らないから期待してなかったけど…すごいおいしい。
「いろんな所からいろんな人や物が落ちて来るからね。料理もたくさんの種類があるわよ。急に知らない場所に来てしまった事を不運だとは思わないで、多少は楽しんでもらえると嬉しいわ」
「はい。そうします」
旅行にでも来たと思えばいいのよね、うん。
「明日、スキルや適性を調べるとは伺ってるけど…少しは遊べるといいのだけれど…あ、キルギスさん、こっち」
と、食堂にキルギスさんも来たらしい。もう一人と一緒に来たみたいだけど…手続きをしてくれた人かな。キルギスさんは手を軽く上げたと思ったら、なにかその人に言われてこちらへと来た。
「所長はいいんですか?」
「私の分も持って行くからとっとと行けと言われたんだ。…料理は口に合ったか?」
あの人所長だったのか。それにしては手続きする時に居丈高じゃないというか、すごく柔らかい雰囲気だったけど。
「は、はい。故郷の味付けだったので驚きましたが」
「そうだろうな。貴女の同郷の者もそう言ってたくさんおかわりしていた」
所長に対してそんな事を考えつつ答えれば、そう言って笑うキルギスさん。…初めて屈託なく笑った顔を見たような。今まで、困ったような笑い方ばかりだったから…ちょっと、その笑顔にどきっとしたのは…気のせいにしたい。
194
お気に入りに追加
534
あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。
櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。
ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。
気付けば豪華な広間。
着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。
どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。
え?この状況って、シュール過ぎない?
戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。
現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。
そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!?
実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。
完結しました。

【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました
成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。
天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。
学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。

【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない
櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。
手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。
大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。
成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで?
歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった!
出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。
騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる?
5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。
ハッピーエンドです。
完結しています。
小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。

【完結】夜会で借り物競争をしたら、イケメン王子に借りられました。
櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のセラフィーナには生まれつき前世の記憶があったが、覚えているのはくだらないことばかり。
そのどうでもいい知識が一番重宝されるのが、余興好きの国王が主催する夜会だった。
毎年余興の企画を頼まれるセラフィーナが今回提案したのは、なんと「借り物競争」。
もちろん生まれて初めての借り物競争に参加をする貴族たちだったが、夜会は大いに盛り上がり……。
気付けばセラフィーナはイケメン王太子、アレクシスに借りられて、共にゴールにたどり着いていた。
果たしてアレクシスの引いたカードに書かれていた内容とは?
意味もなく異世界転生したセラフィーナが、特に使命や運命に翻弄されることもなく、王太子と結ばれるお話。
とにかくツッコミどころ満載のゆるい、ハッピーエンドの短編なので、気軽に読んでいただければ嬉しいです。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
小説家になろう様への投稿時から、タイトルを『借り物(人)競争』からただの『借り物競争』へ変更いたしました。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。

【コミカライズ発売中】無敵のシスコン三兄弟は、断罪を力技で回避する。
櫻野くるみ
恋愛
地味な侯爵令嬢のエミリーには、「麗しのシスコン三兄弟」と呼ばれる兄たちと弟がいる。
才能溢れる彼らがエミリーを溺愛していることは有名なのにも関わらず、エミリーのポンコツ婚約者は夜会で婚約破棄と断罪を目論む……。
敵にもならないポンコツな婚約者相手に、力技であっという間に断罪を回避した上、断罪返しまで行い、重すぎる溺愛を見せつける三兄弟のお話。
新たな婚約者候補も…。
ざまぁは少しだけです。
短編
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
一迅社様より、アンソロジーコミック「婚約破棄されましたが、幸せに暮らしておりますわ!」第8巻が2/28に発売されました。
かしい葵先生にコミカライズしていただきましたので、よろしくお願いいたします。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる