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1章:癒しを求めたはずが

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 嫌な事から逃げ出したい…うん、あの子から逃げたいとは思ってたけど、すでに寿退社してるし忙しいらしくて疎遠になってるし。嫌な事…まあ、なかよしね~なんて言ってた他の人はちょっとモヤっとするけど、それは私も波風立てたくないから嫌なのだと、止めて欲しいと言ってないのが悪いんだし。
 だからと言って逃げたいか、と言われると…うーん。特に私生活で問題がある訳でもないし。

「すでに問題は解決してますし、特には」
「そうか…魂の片割れに関しては、その相手の元に落ちて来るらしいから除外できるとして、能力に関しては…少し引っかかる事が…」

 引っかかる事?なんだろうと思って聞けば、リュックが一緒にこの世界へ来た事らしい。

「それの何が問題なんですか?」
「その、貴女の同郷の者から聞いたのですが…鉄の玉を飛ばしたり、戦闘、機…や、何かそういう武器というか、危険な物があると言っていた」

 確かにこの世界の文明がどういう物か分からないけど、魔法とかあるみたいだし、どうとでも出来そうなんだけど。そう伝えれば、それだけではないようで。

「もし、科学と魔法が結びついたらどうなるか分からないんだ。それを創り出してしまったら、解析できるようになるまで…」

 言葉を濁されたけど、あれよね…うん、蹂躙されたり支配されたり…よね。何気にその同郷…日本人が、それで無双しているのだと言う。

「無双って…それはいいんですか?」
「この世界に合わせて程度を下げさせてそれなんだ。最初、魔法が使えると知って、無詠唱で水を出されたからな…」

 無詠唱。チートの一つだよね。キルギスさんは、薪に火をつける時にぶつぶつ言ってたけど。

「無詠唱は出来ない物なんですか?」
「日々詠唱を短くしようと研究に研究を重ねている機関がある、と言えば理解して貰えるかと」
「………」
「すぐに無詠唱では魔法を発動させるなと言い含めて、呪文を覚えさせたよ…」

 それでも威力が強い、と嘆く。魔法はイメージ力だ!の方なのか、火は酸素が~なのか、どっちだ。もし会えるのなら聞いてみたい。
 と、ふと気が付いた。名前をよばないのはなんでなんだろうと。

「その、昨日から同郷の、と言いますが…その人の名前はなんていうんですか?」
「あ、ああ…それは相手に確認取ってからでないといけないんだ。先ほどの逃げ出したい、という理由からで」

 あー…DMから逃げたは良いけど、役所にお願いしていてもばれてしまったとかそういう…アレかな。なので、もしそういう理由があるなら、周知はするらしい。
 とはいっても、そうそう世界を飛び越えてまで追いかけられるものではないから安心して欲しいと言われた。逃げるために世界を飛び越えるのはOKだけど、執念で追いかけようとするのはOUTらしい。線引きが良く分からないけど。

「逃げたい、に関しては本人の話から断定はできるけど、他の事に関しては…そうだったのかもしれないという後付けだったり、たまたま偶然だったりするからな」

 うん、良く分からないけどそういう事らしい。
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