まるで裏稼業の騎士様にでろっでろに甘やかされる話

新条 カイ

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終話:結婚式をして、それから

150:完結

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「ところでルーヴェリア様」

 朝。いつもの様に、朝食の席へとつく。ルーヴェリア様は勿論、ジョセフィーヌ様達にも挨拶をして。けれど…ちょっと、文句を言いたいので、ルーヴェリア様へと声を掛ける。それが分かるのか、あー…と、うろたえたような顔をする。

「あいつから聞いた。昨夜会ったんだろ。我慢できなくて、って暴露された時は、殴ってやろうかと」
「殴ったのですか!?」
「してないしてない、まって、そんな怒らないで。あいつの殺気が気持ち悪い」

 思わず立ち上がってしまったわ。ルーヴェリア様は、首の後ろをさすっているけれど。

「あいつの、とは…」
「姿見せないだけで、多分そこらへんにいる。このやりとりも見聞きしてるだろうからな」

 そこら辺、と言って、天井を示されたわ。確かに…そう出来る事は以前聞いたし見たけれど。ルーヴェリア様はそう言って、名を呼ぶなよ。と言う。
 昨夜のラクシュ様の話と先ほどのルーヴェリア様の話からすると…

「では、あの状態をごまかす為に、所用で使うからとおっしゃられたのですか」
「それは、すまん。だが…そもそもあいつがそう言いだしたんだぞ。ネルア嬢が心配するだろうからごまかせって。俺が怒られるのおかしくない?」
「…怒っては、いませんよ」

 確かにラクシュ様に頼まれて、ごまかしただけですわね。ええ、怒っている訳ではないですよ。ただ、あの状態を隠そうとなさるから。

「いや、もう、さぁ…俺そういうの苦手なのに、表に出られないからって説明されるし、俺が見てる前でやるし、なんなの、ほんと」
「え?」
「知らない所で怪我するんじゃないと言ったが、だからと言って自傷見せるってどうなの」

 …え、見たの?

「だから言っただろ。あいつの愛は重いって」

 そんなの、分かる訳がないわよ。




 そうして…時々は夜、部屋に来てくれたけれど、変わらずに左耳は見せてくれない。それでも…会えないのだと、いないのだと思っているよりは、気分が楽で。ただ、見られているかもしれないと思うと、ちょっと…もやっとするというか。
 でも、一月ほどしたら、きちんと治ったらしい。

「ほら、綺麗に治ったでしょう?」

 と、夜にやってきたラクシュ様に見せられました。うっすらと赤く線が走ってますが、確かに治っている…と言っていいのかしら。怪我の状態を見てないのだけれど。
 ただ…その耳に揺れる指輪。

「こんな事、しなくても…」

 その怪我が治るまで会えなかったし…愛を疑った事なんて、なかった。結婚してからは、だけれど。

「私がそうしたかったから、いいんですよ。ただ、ここまで治るのに時間が掛かるとは思っていなくて。一週間もあれば治ると思ったんですけどね」

 くすくすと笑うラクシュ様だけれど、笑いごとではないわよ。

「まあ、そんな事より…薬の効果も抜けたでしょうし…子供、作りましょうね」
「え?」
「幸いにも、今日辺り、排卵日のはずですので」

 ちょっと、なんでそういう事をラクシュ様に言われるのよ!?

「何日かずれたとしても、問題ありませんよ。毎日すればいいだけですので」

 一週間位すればどこかで当たるでしょうし。とか、言わないで欲しい。

「今更、子供産みたくないとか、言わないですよね?」
「い、言いません」

 とろりと溶けた顔とか、久しぶりすぎて、もう、ね…




 そうして、たくさんの子を産んだ。その子達は、ラクシュ様がやる裏のお仕事をする子もいれば、普通の…料理とか、彫金とか、そういったお仕事に就く子もいた。
 第一子の男の子が、ジョセフィーヌ様の第一子の男の子と乳兄弟として育ったけれど、その子は高魔力持ちで…ただ、父親であるルーヴェリア様に似たのか剣が得意で、魔法剣士としてギルドに所属している。時々魔物を倒したという名声が聞こえて来たそんな時は、ルーヴェリア様が笑う。
 わたくしの子は、そんな魔物退治にくっついて行って、しっかりとお世話をしているらしい。お世話に関しては完璧なのに、裏のお仕事というのかしら。そういうのは苦手な子だけれど、なぜかラクシュ様の認識を薄くする、というのかしら。それだけが得意で、それが魔物にも通用するらしいのよ。だから、食事や身の回りのお世話をして不自由なく活動できると感謝されるみたいね。時々周りになにか言われる様だけれど、主がそれでいいと笑うから、と困ったように言ってたわね。

「ネルア」
「はい、ラクシュ様」

 相変わらず、夜、背後から声を掛けて来るラクシュ様。流石に…もう、慣れたけれど。

「今日はお菓子の本ですか。何を、誰に、作るのです」
「これを、あなたと子供達に」

 ドライフルーツを混ぜ込んだ、ただのクッキー。それでも。

「楽しみにしてますね」

 そう言って、笑ってくれる。ただ…

「いの一番に食べさせてください」

 子供にさえ嫉妬するラクシュ様は、少々困ってしまうわ。
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感想 3

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みんなの感想(3件)

れんげ
2021.03.03 れんげ

続編、甘々で楽しませていただいてます。
前世の倫理観もなんとか織り込んで結婚に至れて安心しました。
結婚前の話だと溺愛と言うより突然嵐に巻き込まれた感じのが強くて、森のクマさんの歌並みに矛盾に満ちた存在な印象のラクシュ様だったので溺愛に至る理由が分からなくてネルアさん同様謎のが強かったです。
あと、暗部の王様の性質上、浮気しないって言っても仕事の都合で浮気じゃない拷問で関係持ったり、やっぱり婚外子を苗床で調達してもネルアさんには分からないようにやれそうだなと心配になったりしました。
ネルアさんが浮気するか無体されたら嫌でしょ?血の雨でしょ?とかラクシュ様の女性問題は今後もハラハラしそうです。

ルーヴェリア様同様に溺愛ってより狂愛、異世界人の魂か独特の波長?オーラにマタタビみたいにメロメロなのかな?と読んでる考察です。
ルーヴェリア様、異世界人の前世の記憶は近しい人には公開してるんですか?
ネルアさんがポロっとルーヴェリア様にバレる言動をして前世話で盛り上がったりする日が来るんでしょうか?(о´∀`о)
日本食?作ってとルーヴェリア様に強請られてラクシュ様が嫉妬したりとか色々妄想するのも楽しいです。
更新楽しみにしてます。
メロメロなラクシュ様を今後も楽しみにしてます。
お体に気をつけて頑張って下さい。

2021.03.04 新条 カイ

れんげ様

こちらでも感想ありがとうございます!
ネタバレとか考えていたら承認返信まで時間が掛かりました。すみません><;

言える事と言えば…
ネルアが浮気>ないない。ラクシュ様に疑われて問い詰められても、逆にラクシュ様への愛を惚気ます(ラクシュ様相手に)「ネルア、○○という男と懇意にしていると聞いたのですが」「え、○○様ですか?」「その男の事、好きなんですか?」「え?好き?…好き…(ぽやん)」「…ネルア。まさか本当にその男を好きなんですか」「え、ちがいますわ」「では、なぜ赤くなったのですか」「あ…それは、だって…(もじもじ)」「ネルア」「その、だって、わたくし、ラクシュ様より好きな人なんて…」「ああ、ねるあ…」と、ここまで30秒も掛からなかったですね、はい。


ネルアが無体>メイド軍団に勝てるような強者を私が用意するはずがないので(ぁ)万が一にもどこかの国の皇子がお忍びで来ていてひとめぼれ>ラクシュ様の妻なのでやんわりお断り>いやいやそんな事言って実は(ry)>王様王太子様が出て来る事が容易に想像できるので。それでも引かないなら、よし戦争…に、ならないんだよなぁ。ラクシュ様の一族が出て来ちゃうので。

あとちょっと私の頭が知らないうちに馬鹿やらかしてたら申し訳ないんですが、ルーヴェリア様は転生者でもなんでもない、はず、です。はい。三男のスタンフォード様の妻が魂だけ引っ張ってきてホムンクルスに入ってて、後はネルアだけなはず。ただ、スタンフォード様、この話の段階では11歳なのでまだまだ先の話ですね。
それにラクシュ様は、ルーヴェリア様とネルアが仲良くしてても、ご褒美にしかならないので…うっとり(18禁の顔)しながら眺めてるだけですね。…どこまで行ったら怒るんだろうかラクシュ様…という状態です。

感想返信が〆られなくなる罠が発動しそうなので、この辺で失礼します。まだまだ続くのでよろしくお願いします。

解除
忍足なお
2021.02.09 忍足なお

たびたび失礼いたします。
ここ数日、めちゃくちゃ甘い展開が続いていて、幸せいっぱいです!
ありがとうございます( *´艸`)

苗床問題、ネルアちゃん的にはラクシュ様が他の女性と肉体関係をもつことをどう思うんだろう、って実はずっと気になってました。
この話、今回ラクシュ様が口をすべらせましたが、本来ネルアちゃん知らないまま異母兄弟が増えてたのではと思うとちょっと怖い・・・笑
一応、嫌だということを伝えてはいますが、実際するのかしないのかの明言はないので、今後も気になります。

裏の事情で知らない部分が少しずつネルアちゃんに明かされつつ、溺愛シーンも増えてきていて、ますます続きが楽しみです。
毎日本当にありがとうございます( ;∀;)

2021.02.10 新条 カイ

忍足なお様
またまた感想ありがとうございます!
実は苗床問題、何故にラクシュさんがぽろりしたのかよくわかっていない筆者です。兄たちの子を養子にという話を入れていたはずなのに、何故か消え去っていましたし。
何故だと、頭を抱えています(;´・ω・)ですのでこの先どっちに転ぶのかはその時の電波状況に任せますのでお待ちいただけると幸いです。(*'▽')

解除
忍足なお
2021.02.02 忍足なお

はじめまして!
できれば~と殺しメイン~を拝読したのですが、ヒロインに溺愛というより、王子への敬愛のが強い印象でしたので、もっとヒロインとのいちゃいちゃが読みたいなと思っていたところ、こちらの作品を発見しました。
さっそく初夜からはじまってますし、キスシーンもありますし、前作より甘さが増していてとても嬉しいです。
更新ペースがはやくて幸せですが、ご無理なさらずにこれからも楽しませてくださいませ。
応援しております!

2021.02.02 新条 カイ

忍足なお様
感想ありがとうございます!どちらも読んでいただいてありがとうございます。ほんとそうですよね、第二王子への敬愛濃すぎですよね。第二部で挽回出来ればと思います!

更新ペースはちょっと失速します。すみません(><;)ただ、追っかけ更新の【殺しメインの護衛騎士~】が終われば一日2話か3話位は更新できるかなぁという所ですので、楽しんでいただければ幸いです。(*‘ω‘ *)

解除

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