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結婚式準備
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大体は、手紙で聞いてる。とそう言うスタンフォード様だけれど、その魔石がいくら女神級だと分かっていても、認識の違いがあっては上手く行かないから、という事らしい。
ラクシュ様は、特に箱や布に包むでもなく、ポケットに入れてらっしゃるからすごく不安になるのだけれど、それを見たスタンフォード様も、特に取り扱いを指摘することなく、ただその石を見ている。
「ふぅん…結構無茶な守りを設定するなとは思ったんだが、細部を調整すればなんとかなるな。兄上、ああ、ガルヴァンヌ兄上の都合は?」
「今朝は少々都合が悪いようですが、お昼すぎになれば空くとおっしゃっていましたよ」
「なら、預かっていいか。明日には仕上げられると思う」
え、明日?そんなにすぐできるものなの?
「ある程度はすでに出来上がっているからな。発動の精度や範囲の設定で上手く行かなかった、らしい」
そこを何とか出来れば、いい守りになるのにと王太子様が零していたそうで。
「ラクシュ様、範囲とか、わたくし、わからないのですが」
「ネルアの場合、ジョセフィーヌ様達や子供達も傍にいる事を考慮しまして、その辺りも入ってます」
「…聞いてしまってもよろしかったのでしょうか」
「構いませんよ。ネルアだけ守ったとしても、周りの…ネルアが大切にしている人たちに犠牲が出たら、貴女が気に病むでしょうし、知っていれば安心でしょう?」
確かに、それはそうね。ジョセフィーヌ様達とも仲良くさせていただいて、良くお出かけもするもの。お出かけ先で何かあっても、これがあれば気持ちも違うわね。もちろん、レイ達もいるから大丈夫だとは思うけれど、でもレイ達も怪我とかしてほしくないもの。
◆◇◆スタンフォード視点◆◇◆
聞いて呆れる。守りの範囲に関して、ルーヴェリア兄上も入れている癖に。もうほんと、こいつルーヴェリア兄上と結婚でもすればいいのに。まあ、そんな事出来ないし、そんな気はないだろうが。
ガルヴァンヌ兄上からこいつが結婚したと手紙で知らせて来た時には、ルーヴェリア兄上を狂っているのではないかと思う程に大切にしているこいつが結婚とか、なに寝ぼけた事言ってるんだと思ったものだが…本当に愛しているらしいな。なんだあの顔。
ともかく…ガルヴァンヌ兄上から手紙で、結婚式の日程と、この魔石に関しての相談という手紙が来た時には驚いたもんだ。王家で所有している国宝級の魔石と同等のモノに、ガルヴァンヌ兄上が得意とする、反撃型の防御陣を組み込みたいと。しかも、その防御する対象に上がった名前の羅列に、意味が分からなかった。
所有者がこいつという事で、ルーヴェリア兄上が入っているのは良いとして、こいつの妻に、ルーヴェリア兄上の妻達5人と、その子供達、とか…まだ生まれてもいないそれらまで組み込むのは骨が折れるんだが。最悪生まれる度に調整が必要かもしれないが、それはそれで勉強になるからいいか。
「さて。それでは…このままこちらで少々お茶を楽しんでいてください。こいつ、しつけしなおしてきます」
「そいつがいたからといって、どうにかなる問題じゃない気がするが」
「どうにか出来るはずなんですがね。まあいいです。詳細をお聞かせする訳にはまいりませんので」
俺の筆頭であるシルヴが助けてという目で見て来るが、そっと目を逸らす。この当主をどうにか出来るのは俺でなく、ルーヴェリア兄上しかいない。その肝心なルーヴェリア兄上は、ほどほどにしろよー。なんて、気楽な感じで手を振ってるからな。
ルーヴェリア兄上は兄上で、この当主のやる事成す事、全肯定だからな…時々怒ったりするらしいが。
襟首をつかまれて、ずるずると引きずられていくそれを視界に入れない様にして、お茶を飲む。本当に、シルヴがあのうるさい女どもをなんとかできるのであれば、教育しなおしてくれるならして欲しいしな。
「で、お前、ちゃんと食べてるの?なんかまた頬痩せてるんだが」
「…食べてる」
「ほんとか?んー…」
「ちょ、何するんですか」
「やっぱり痩せてるなぁ。成長期だろうに、以前より細いって、なに」
二の腕を掴まれてそれを確認されるとは…!確かに研究が楽しいのもあるから食事がおろそかになってしまうのもある。その他に食べる意欲がないんだから、どうしても食べる回数が減ってしまうから。
「ほら、これ食え。ちょっとクリーム系と、ナッツ系持ってこさせろ」
「用意してございますので、少々お待ちを」
「ちょ、あにう、むぐ」
だからなんでそうやって口にクッキーを突っ込んでくるんだ!
ラクシュ様は、特に箱や布に包むでもなく、ポケットに入れてらっしゃるからすごく不安になるのだけれど、それを見たスタンフォード様も、特に取り扱いを指摘することなく、ただその石を見ている。
「ふぅん…結構無茶な守りを設定するなとは思ったんだが、細部を調整すればなんとかなるな。兄上、ああ、ガルヴァンヌ兄上の都合は?」
「今朝は少々都合が悪いようですが、お昼すぎになれば空くとおっしゃっていましたよ」
「なら、預かっていいか。明日には仕上げられると思う」
え、明日?そんなにすぐできるものなの?
「ある程度はすでに出来上がっているからな。発動の精度や範囲の設定で上手く行かなかった、らしい」
そこを何とか出来れば、いい守りになるのにと王太子様が零していたそうで。
「ラクシュ様、範囲とか、わたくし、わからないのですが」
「ネルアの場合、ジョセフィーヌ様達や子供達も傍にいる事を考慮しまして、その辺りも入ってます」
「…聞いてしまってもよろしかったのでしょうか」
「構いませんよ。ネルアだけ守ったとしても、周りの…ネルアが大切にしている人たちに犠牲が出たら、貴女が気に病むでしょうし、知っていれば安心でしょう?」
確かに、それはそうね。ジョセフィーヌ様達とも仲良くさせていただいて、良くお出かけもするもの。お出かけ先で何かあっても、これがあれば気持ちも違うわね。もちろん、レイ達もいるから大丈夫だとは思うけれど、でもレイ達も怪我とかしてほしくないもの。
◆◇◆スタンフォード視点◆◇◆
聞いて呆れる。守りの範囲に関して、ルーヴェリア兄上も入れている癖に。もうほんと、こいつルーヴェリア兄上と結婚でもすればいいのに。まあ、そんな事出来ないし、そんな気はないだろうが。
ガルヴァンヌ兄上からこいつが結婚したと手紙で知らせて来た時には、ルーヴェリア兄上を狂っているのではないかと思う程に大切にしているこいつが結婚とか、なに寝ぼけた事言ってるんだと思ったものだが…本当に愛しているらしいな。なんだあの顔。
ともかく…ガルヴァンヌ兄上から手紙で、結婚式の日程と、この魔石に関しての相談という手紙が来た時には驚いたもんだ。王家で所有している国宝級の魔石と同等のモノに、ガルヴァンヌ兄上が得意とする、反撃型の防御陣を組み込みたいと。しかも、その防御する対象に上がった名前の羅列に、意味が分からなかった。
所有者がこいつという事で、ルーヴェリア兄上が入っているのは良いとして、こいつの妻に、ルーヴェリア兄上の妻達5人と、その子供達、とか…まだ生まれてもいないそれらまで組み込むのは骨が折れるんだが。最悪生まれる度に調整が必要かもしれないが、それはそれで勉強になるからいいか。
「さて。それでは…このままこちらで少々お茶を楽しんでいてください。こいつ、しつけしなおしてきます」
「そいつがいたからといって、どうにかなる問題じゃない気がするが」
「どうにか出来るはずなんですがね。まあいいです。詳細をお聞かせする訳にはまいりませんので」
俺の筆頭であるシルヴが助けてという目で見て来るが、そっと目を逸らす。この当主をどうにか出来るのは俺でなく、ルーヴェリア兄上しかいない。その肝心なルーヴェリア兄上は、ほどほどにしろよー。なんて、気楽な感じで手を振ってるからな。
ルーヴェリア兄上は兄上で、この当主のやる事成す事、全肯定だからな…時々怒ったりするらしいが。
襟首をつかまれて、ずるずると引きずられていくそれを視界に入れない様にして、お茶を飲む。本当に、シルヴがあのうるさい女どもをなんとかできるのであれば、教育しなおしてくれるならして欲しいしな。
「で、お前、ちゃんと食べてるの?なんかまた頬痩せてるんだが」
「…食べてる」
「ほんとか?んー…」
「ちょ、何するんですか」
「やっぱり痩せてるなぁ。成長期だろうに、以前より細いって、なに」
二の腕を掴まれてそれを確認されるとは…!確かに研究が楽しいのもあるから食事がおろそかになってしまうのもある。その他に食べる意欲がないんだから、どうしても食べる回数が減ってしまうから。
「ほら、これ食え。ちょっとクリーム系と、ナッツ系持ってこさせろ」
「用意してございますので、少々お待ちを」
「ちょ、あにう、むぐ」
だからなんでそうやって口にクッキーを突っ込んでくるんだ!
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