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結婚式準備

110:パーティーリーダー視点1

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◆◇◆あるパーティーリーダーの受難◆◇◆

 今日は、王宮から要請があった仕事を行う。ただの荷物持ち、という話だったが、信頼のおける者でなければならないという事で、最高ランクの者を揃えた。他にも、努力しても力が及ばない者だがなにかと貢献してくれている古参の者も。
 まあ、金払いがいいからな。あとは…そう、いくら街で警邏をしている第二王子様といえども魔力なしだ。今回の話だって、興味本気か何かだろうし、どうせ魔物が出れば俺たちが魔物を狩る事になるだろうしな。だから、対処が出来るようにという名目と…魔物の素材で儲けられれば、という考えもあった。

 だが…

「リーダー、あれはまずい」

 前を走る馬車が止まった事もあるが、見える魔物の群れ。同じ馬車の荷台に乗っていた仲間がそう言う。

「そうだな、おい、前の第二王子様をお守りしろ。後は街へ連絡を、」
「必要ありません」

 仲間に言われなくとも、どうすべきか瞬時に判断し、荷物持ちから守りへと気持ちを切り替え、街へ救援要請と状況の説明をさせるべく声にしたが…それを遮る、男の声。騎士、か?

「何を悠長な事を。あんなモノ、」
「よくご覧ください。すでに魔物は檻に囚われているじゃあありませんか」

 檻?どういう事だと魔物の大群へと眼を向ければ…キラキラと反射するもの…

「氷獄…あんな範囲で…」

 森を覆う程、とは言わないが…こちらへ面している場所はカバーされている様に見える。それでも横からあふれ出る可能性はあるが…巨大な岩が、空中へと現れて、それが魔物の群れへと落とされる!?
 いや、岩…土魔術だろうが、普通は地面から生成する物だぞ!?どこから土属性を持って来たんだ!?

「魔物は私共の馬車あたりまではこちらで運びますので、そこから街へと運んでくださいませ」
「い、いや…そもそも、第二王子様をお守り」
「必要ございません」
「は?」
「嬉々として魔物狩りに向かわれますし…なにより」

 筆頭が、おりますから。と、笑う。いや、その筆頭とかいうヤツの力量知らないんだが。

「力量?貴方のその眼でみているじゃあありませんか」

 檻も、岩も、どちらも筆頭の仕業です。と言われて、ぞくりとした。アレを、どちらも一人でやったっていうのか!?それなら本当に俺たちは荷物持ちだけになる…

「…街に連絡は」
「すでに向かっていますので、問題ございませんよ」

 ほかに何か…そう考えて聞くが、その回答に黙るしか出来ない。

「魔物の素材に関しましては、あちらにいるメイドにでも聞いてください。では、失礼します」

 そう言って、綺麗に礼をしたそいつは、魔術でブーストを発動すると、魔物の群れへと走っていくが…ブーストかけているとはいえ、早いな。

「リーダー…あの騎士」
「言うな。心が折れる」
「ですよねぇ。騎士っていうのはこう、決闘とか、ごろつきぐらいならなんとかなる位のモンだと思ってた」
「あの第二王子様の騎士が特別なのか、街にいるやつらが腑抜けているのかわからんが、余計な事はしないほうがよさそうだ」

 そう言って、他のやつらにも注意しておくように言って、俺はメイドへと話を聞きに向かう。
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