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結婚式準備
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レイに促されて外へと出れば、遠くで何か音と…叫び声が聞こえる。けれど…布が敷かれて、クッションやらお弁当を入れた籠もてきぱきとメイド達によって準備されているこの状態は、なんなのかしら。
「ネルア」
「ひっ」
だからなぜ背後から話しかけるの!?
「ふふ…こちらで当初の予定通り、お茶でもして待っていてください。森の中ではないですし、少々情緒に欠けますが…まあ、そこそこ花も咲いてますし」
確かに、道のところどころに花も咲いているし、木がぽつぽつとあるけれど、見通しはいい。北方向へと向けば、王都が見えるから、それほど遠くはないけれど…あの、キラキラしている格子状の物はなんなのかしら。しかも…黒っぽい何かがうごめいてますわよ。
「あ、あんなに魔物が」
いつも本を読んでいて、大人しくて会話に余り参加しない、ナターシュ=ハス=アラベス様がそう口にする。すると、他の妃達は、魔物を見たことがなかったのか、あれが魔物、と呟く。
「ラクシュ。行かないのか」
「行きますよ。ただ…数が数ですので、まずは減らしたいのですが…地形、変えてもいいと思います?」
「いいんじゃないか?魔物の被害を考えれば、街でもないし」
ルーヴェリア様が、ラクシュ様へと声を掛けるから、そちらを見れば…剣の部分が、ルーヴェリア様と同じくらいの大きな剣を…肩にとんとんと当てて、のんきな会話をしてらっしゃるけれど…え、その剣、どれだけの重量あるんですか。
「では、岩でも落としましょう。ちょっと耳、塞いでいてくださいね」
「え、俺はどうすればいいの」
「女性にはちょっと耐えられないかと思っただけですので、あんたは問題ないでしょう」
「ん、ならいい」
「ネルア。耳、塞いで?それとも私が塞ぎましょうか?」
ルーヴェリア様の剣の重量を考えてしまって、ラクシュ様の言葉を聞き洩らしてしまっていたらしい。え?と、聞き返すと、困ったように笑うラクシュ様。
「仕方ありませんね…」
そう言って手を伸ばされて、ラクシュ様の胸へと頭を押し付けられたわ。恥ずかしくて目を回してしまった、その後で…まるで、工事現場の様な音がして、びくりと身体を震わせてしまう。その後も、ごごご…と、地響きと言うか…地面も、振動してるわ。ラクシュ様に、大丈夫ですよと言われて思わずほっと息をついてしまったけれど。
「もういいでしょう」
「お前、かなりな音したぞ…こりゃ王都にまでいったかな」
「王都にはすでに一人向かわせましたし、大丈夫でしょう」
「あ、そうなの?なら、後は残ったやつを殲滅だな」
そっと離されたけれど、変わらずにのんきな会話がされる。ラクシュ様の胸元に顔を埋めていたから見えなかったけれど…見てみれば、地面に小高い山が出来上がっていて、濛々とと土煙が上がっていた。その土煙のせいで、見えていた魔物らしき黒いものが覆い隠されてしまっていた。
でも、その土煙がこちらには来ない?しかも…なんといったらいいのか、土煙が一定の場所から、上へと舞い上がって…それが、魔物の方へと流されていく。
「…信じ、られないわ…こんな、使い方…」
「我が君に、砂埃の中を歩いていただく訳にはまいりませんので。行きますよ、ルーヴェリア様」
「ん」
ラクシュ様が、なにやらぼそぼそと呟いた、と思ったら…
「当初の予定とは狂ったが…まあ、そこでゆっくりしててくれ」
と、ルーヴェリア様ののんきな声が聞こえてすぐ、二人の姿が目の前から消えた。
「ネルア」
「ひっ」
だからなぜ背後から話しかけるの!?
「ふふ…こちらで当初の予定通り、お茶でもして待っていてください。森の中ではないですし、少々情緒に欠けますが…まあ、そこそこ花も咲いてますし」
確かに、道のところどころに花も咲いているし、木がぽつぽつとあるけれど、見通しはいい。北方向へと向けば、王都が見えるから、それほど遠くはないけれど…あの、キラキラしている格子状の物はなんなのかしら。しかも…黒っぽい何かがうごめいてますわよ。
「あ、あんなに魔物が」
いつも本を読んでいて、大人しくて会話に余り参加しない、ナターシュ=ハス=アラベス様がそう口にする。すると、他の妃達は、魔物を見たことがなかったのか、あれが魔物、と呟く。
「ラクシュ。行かないのか」
「行きますよ。ただ…数が数ですので、まずは減らしたいのですが…地形、変えてもいいと思います?」
「いいんじゃないか?魔物の被害を考えれば、街でもないし」
ルーヴェリア様が、ラクシュ様へと声を掛けるから、そちらを見れば…剣の部分が、ルーヴェリア様と同じくらいの大きな剣を…肩にとんとんと当てて、のんきな会話をしてらっしゃるけれど…え、その剣、どれだけの重量あるんですか。
「では、岩でも落としましょう。ちょっと耳、塞いでいてくださいね」
「え、俺はどうすればいいの」
「女性にはちょっと耐えられないかと思っただけですので、あんたは問題ないでしょう」
「ん、ならいい」
「ネルア。耳、塞いで?それとも私が塞ぎましょうか?」
ルーヴェリア様の剣の重量を考えてしまって、ラクシュ様の言葉を聞き洩らしてしまっていたらしい。え?と、聞き返すと、困ったように笑うラクシュ様。
「仕方ありませんね…」
そう言って手を伸ばされて、ラクシュ様の胸へと頭を押し付けられたわ。恥ずかしくて目を回してしまった、その後で…まるで、工事現場の様な音がして、びくりと身体を震わせてしまう。その後も、ごごご…と、地響きと言うか…地面も、振動してるわ。ラクシュ様に、大丈夫ですよと言われて思わずほっと息をついてしまったけれど。
「もういいでしょう」
「お前、かなりな音したぞ…こりゃ王都にまでいったかな」
「王都にはすでに一人向かわせましたし、大丈夫でしょう」
「あ、そうなの?なら、後は残ったやつを殲滅だな」
そっと離されたけれど、変わらずにのんきな会話がされる。ラクシュ様の胸元に顔を埋めていたから見えなかったけれど…見てみれば、地面に小高い山が出来上がっていて、濛々とと土煙が上がっていた。その土煙のせいで、見えていた魔物らしき黒いものが覆い隠されてしまっていた。
でも、その土煙がこちらには来ない?しかも…なんといったらいいのか、土煙が一定の場所から、上へと舞い上がって…それが、魔物の方へと流されていく。
「…信じ、られないわ…こんな、使い方…」
「我が君に、砂埃の中を歩いていただく訳にはまいりませんので。行きますよ、ルーヴェリア様」
「ん」
ラクシュ様が、なにやらぼそぼそと呟いた、と思ったら…
「当初の予定とは狂ったが…まあ、そこでゆっくりしててくれ」
と、ルーヴェリア様ののんきな声が聞こえてすぐ、二人の姿が目の前から消えた。
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