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家へ引っ越してから

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「ネルア様。明日は、邸宅の方でゆっくりしていただきたいのですが」

 朝、いつもの様に身支度を整えながら、レイにそう言われる。わたくしとしては…ジョセフィーヌ様にお断りを入れる心苦しさがあるだけなので、いいけれど。あ。今はお弁当作ってます。まだ、わたくしが届けるまでは行かないけれど、4人分作って、ルーヴェリア様とラクシュ様にはメイドの誰かに届けてもらって、わたくしたちは庭園でそれを食べつつ、次は何を作ろう、なんて話をしてます。

「ジョセフィーヌ様にお断りするだけですわね。ですが、何かありますの?」
「グランシュネル公爵領から持ってきた、ネルア様のお母さまが用意してくださったドレスの洗いが終わりまして。元通り縫い上げも終わりましたので、うちの人形師が来ます」

 んんん???

「人形師が、来ますの?」
「ええ。人形に着せる、というお話しがございましたので、手配しておきました。試しに見てみては?」

 え、でも元通り縫い上げた、という事は…かなりの大きさの人形になるのでは…だって、5歳から10歳位までのドレスよ?サイズも様々あるし…

「どのサイズの、人形なのでしょうか」
「そちらは…魔術を使って作る人形ですので、人形師の心ひとつでどうにでもきますので」

 ちょっと、最高級な人形が出来てしまうではないの!

「そ、そんな高価な」
「あ。うちの一族なので気にしませんよう」
「あ。はい」

 もう、本当に、この一族なんなの…

「ついでに言うと、当主の腹心の一人ですね」
「え」
「当主からは、人形は使えるけど本体は使えない、と言われています」
「え…」
「今回は、戦闘人形を作る訳ではないので、できれば次世代の人形師に任せたい、とは言われておりますが」

 戦闘人形!?え、人形が戦うの!?そこまで出来るものなの!?

「次世代で上手く行かない場合はしっかりと当主の腹心であるそれが仕上げますので、安心してください」
「…いえ、その前に色々聞きたいのだけれど」
「私に答えられる事でしたら」

 そうよね、レイが何から何まで答えられるかという問題はあるわよね。でも…

「戦闘人形って、そんな事まで出来るものですの?」
「普通では無理でしょうね。ですので、これは秘密でお願いします」

 秘密…そうね、その方がいい、わよね。

「戦闘人形って、どれ位の事までできますの?見た目とか…」
「見た目は人と変わらない様にまで作れて一人前、と言われますね。技能に関しては、その人形師の力量にもよりますが…人と同じように動かせて見習い、お茶や食事の作法まで出来て半人前、魔術や体術を極めてお守り出来るようになって…一人前、だったはずです」

 人形を人と同じように動かせるだけでもすごいと思うのだけれど…そのように動かすのかは聞いていい物か分からないから聞かないでおくとして…

「ただ、そうやって扱う人形が、一体だけですと、一人前なだけで…その人形を何体か忘れてしまいましたが、10体か20体か…それだけ扱えるのが、当主の腹心です」

 化け物ですよ。と、レイはそう言って笑う。

「当主が…あり得ない程、研鑽を重ねますので、それを見ている周りも影響を受けるのでしょうね。おかげで当主の腹心は、皆化け物揃いで」

 いい事だけれど、それが普通になりかけているラクシュ様の目に蔑まれたら嫌だと嘆く。

「わたくし、レイもすごいと思っていますわよ」
「ありがとうございます。もっと精進しますね」

 褒めたらもっと頑張る発言されました。何故…そのままでも全然いいと思うのに。
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