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家へ引っ越してから

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 とりあえずは、ラクシュ様の食事事情というか、お腹事情は…ちょっと周りの人が気にしないといけないと、そういう事らしい。とはいえ、ルーヴェリア様といる時は、ルーヴェリア様のお世話の為に時間通りに用意をするそうなので安心なのだとか。
 昔、ルーヴェリア様を友達から主とした時、お世話をするだけして、きちんと食べていなかった時があったらしい。痩せて行ったその姿にルーヴェリア様が気づいて食事の方式をもとに戻したのだという。

「…なんか急にわがまま言い出したなと思ったのですが、気になさらなくても構いませんのに」
「いや、お前、毎日顔突き合わせてる俺が気づく時点でおかしいだろが」
「あんたは変な所で勘が鋭いですからねぇ」

 勘という問題ではないと思うのですが。

「で、まあ、ちゃんと食べてるのか聞いて、食事内容とか時間を吐かせて、慌てて俺の眼の前で食事を摂らせたんだが…食えと言えば言っただけ食うからな」

 二人分平らげて、三人分に差し掛かって、流石に変だと思って止めた、らしい。なんだかもう何も言えないわ。

「最初はさ、ほら、痩せてるし。二人分ならまあ、入るかなと思ったが」
「まあでも食べる人はあれくらい食べるものでしょう?」
「そりゃまあ…けど、お前腹すっげぇ出てたぞ、あの時。服の上からでもわかるってどうなの」

 服の上から…流石にそれはちょっと恐ろしいわね。

「一応、周りの者もそれ、分かってるから、色々と調整したりしてる。ネルア嬢がいるなら、こいつもネルア嬢に合わせるだろうし、神経質にならなくていいぞ」
「わかりましたわ」

 周りに合わせるという方法でなんとかしている、のね。それを聞いて安心したわ。お弁当を持って行く話をしたら、こんな実情を知らされるとか、すごい嫌なのだけれど。他に何か、そういう事、あったりしないわよね…

「…なんでも食べる、という話を聞きましたが、好みのお菓子とか、料理とか、ございませんの?」
「ありますが…レイから聞いたのでは?」
「ブランデーをたっぷりしみこませたパウンドケーキとか」
「え、なにそれ俺も食いたい」
「駄目です。二日酔いしますよ」

 ルーヴェリア様が食べたいとおっしゃるけど、そうよね、余りお酒に強くないという話だものね。ラクシュ様が駄目だと言うと、えぇ~と、残念がっているけれど…だからと言って少しだけとか妥協しないのはすごいわよね。

「…カカオ含有量が多いチョコレート、とか」
「それは食いたくない」
「私の好みの物の話なので、別に貴方に食べさせようとはしませんし」

 わたくしも好んで食べようとは思わないわね。

「聞いたのはそれだけですが…料理はどういった物が好きなのでしょうか」

 そう、お菓子はレイから聞いたけれど、料理は聞いてないわ。何でも食べるとだけしか答えてくれなかったもの。

「んー特に嫌いな物もございませんし、これといって好きな物もないと思いますね」
「そうなのですか?」

 一つくらい何かあっても良い様な。そう思って、ルーヴェリア様へと聞けば。

「子供の頃は、確かコーンポタージュ好きだったよな。毎食それにしてとか言ってたが」
「ああ、確かにそうですね。ただ、まあ…あれも一過性の物でしょうね」

 一過性…確かに何故かそれが気に入って、そればかり求めてしまう、という事はあると思うけれど…それなら、今はそういった事もない、と?

「とはいえ…ネルアが作ってくれた物なら、また別の意味で虜になりそうです」

 うっとりとそう言われて、返答に困ってしまうわ。
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