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宮殿での生活

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「ただ、私がご一緒できるかどうかという問題もございまして」

 修道院の話を聞いていると、ラクシュ様は残念そうにそう零す。それは、仕方ない事だとおもうわ。

「ルーヴェリア様の護衛騎士様ですもの。仕方ありませんわ」
「警邏範囲でしたら、職権使って警邏がてらご一緒出来るのですが」
「流石にそれは…叱られてしまうのでは」
「…問題なさそうですがね。ルーヴェリア様は警邏ついでに屋台で食べ歩きしますよ」

 えぇ…王族が屋台で食べ歩きするの…

「意外と屋台の方が毒の心配ないんですよ。調理人が目の前で作るので、見知った顔の屋台に行けばいいだけです」

 だから、わたくしとの初デートは、屋台で済ませたのだと言う。

「…毒の心配、必要ありまして?」
「お茶に睡眠薬を入れられていたと申し上げましたでしょう」

 た、確かに。でも、それはタウンハウスのメイドが犯人なのだし、流石に公爵とはいえ、一貴族がレストランまでどうこうできるとは思えないのだけれど。

「とはいえ、屋台を見てどういう反応するかという所は賭けでしたが、ああいう場所、結構行かれます?」
「………はい」

 ルーヴェリア様も屋台で召し上がるという話だし、言っても大丈夫かしらと思ってそう返事をすれば、なるほど。と返ってくる。

「では、後程私が知りうる限りの情報を、貴女に付けているやつらに共有しておきます。街に行くのも、きちんと私に言っていただければ、ご自由にしていただいてかまいませんし」
「よろしいのですか?」
「ええ。レイに用意させますし…警護の者は、レイが編成しますので問題ないでしょう」

 警護!?それを聞いて、王都は意外と物騒なのかしらと不安になる。

「意外といろんなところから人が来ますし、質の悪い者も、まあ…いますので。宮殿でつけているあの…双子の。あれは必ず連れてください」
「わかりました」

 そういえば、レッドとブルーは騎士の恰好してるものね。でも、騎士の恰好をした二人を連れて一緒に街に行ったら、なんだか物々しい感じにならないかしら。
 と、そう考えたけれど、そう言えばルーヴェリア様が警邏中に屋台で食べ歩きをするという話を思い出して、問題なさそうだと思いなおす。何でもありなこの状況、慣れるまで時間が掛かりそうだわ…

「では、そろそろ寝ましょう。明日に響きますよ」
「は、はい…ですが、あの」
「したい、ですか?」

 手を取られて、ベッドルームへと誘導されるけれど、そんな事を言われて顔が熱くなる。

「そ、そういう訳では」
「私としては求めて欲しい所ではあるんですが…一緒に眠るだけでいいですよ」

 うう…それはそれで恥ずかしいから遠慮したいのだけれど。さあ。と誘導されて、ベッドへと入ればしっかりと抱き込まれて…あれ?と、思う。

「…この恰好のまま寝るのですか?」
「そうですよ」
「寝苦しくございませんか?」
「いえ、全く」

 ええ…苦しくないの?いえ、恰好がね。騎士服のままなのよ。詰襟、と言っても、首元は開いていてタイが見えるけれど…タイつけたままだし…

「風呂もきちんと入ってきましたし、ご安心ください」

 いえ、気になる所、そこじゃありませんよ。
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