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狐の嫁入りとは

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 あれ?と、思う。
 どうして…どこを歩いているの…これではまるで…

 花魁道中、では…

 私は…何故か、綺麗に着飾って、歩いていた。今までの記憶がない。しかも…今私は、勝手に動いている。この状況に叫びたいけれど、叫ぶことも出来ずにいる。目に入るものは街道には様々な見物者。それと、きらきらと…なにか光が舞っているけれど…これは…?

「(まさか、金箔!?)」

 黄金色をした、ひらひらと舞うもの。時折、お客様にだすお酒に使われる事もあるそれに思い当たり、驚く。店でも、上客に使われるもので、どれくらいの値がするのか分からないけれど…高価な物に違いないのに、そんなものが一面に舞っているだなんて…
 一体なにが起きているのか分からずに、なんで、どうしてと繰り返すしかない。けれど…到着したのは…先ほどお参りした、神社で。

「(な、んで)」

 神社の…障子戸が開かれていた。灯篭が灯されていて、揺らめくその屋内に…すっきりと立つ、男の人?

「お求めの麻乃でございます」
「もうよい。下がれ」
「は…」

 静かな…低い声で、下男や他の禿を下げさせたけれど…どうして、私と一緒に禿が?もちろん、私についている禿ではなくて…姐さんの禿だけど。

 下男も禿も下がり、障子戸が静かに閉められると…ゆらゆらと灯篭の火がひっそりと照らす、その室内が…しん、と静まり返る。と…はぁぁ~と、男の人が深いため息をついたとおもったら…そっと、抱き寄せられて、その腕の中にいた!?

「よかったぁ。間に合った。もうほんと、人って分からねぇな」

 んん?声質は同じだけど…すっごく軽い。

「なぁんで穂積家から身売りとかされるんだっての。ほんっと信じらんねぇ…どんだけ探したと思ってる」
「あ、の?」

 思わず声を出して、そういえば、と思う。さっきから勝手に身体が動いていたし、あの不思議な現状とか、と、聞きたいことがあったけれど…

「聞きたいことは後。ちょっと…無理したから…精気、先に貰う」
「え?」

 と、薄暗い室内に…敷布…敷布!?

「優しくしてやれるかは…お前次第だな」
「っ、んっ」

 床入りの作法とか、教えられている。けれど…そんなもの、どうでもいいとばかりに敷布に押し倒されて、上に重なってくる。

「怖い事はなぁんもねぇよ…お前は、俺の、盟約の花嫁だからな」
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