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番外編

とんでもない事実

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 さて。子供もそれぞれ旅立った。残った子は…シルヴさんの子が何人か、お世話をするのだといって残った位で。

 で。

「ねえ、スタンフォード」
「ん…なんだ、もっとか?」
「ちがっ!」

 今はいわゆるエッチ後のまったりタイムってやつですよ。こんな時に声かけた私も馬鹿だけど!でもこういう時しか二人っきりで話せないし。
 スタンフォードはくすくすと笑って、なんだと返して来る。くっそう…

「…そうやってむくれてるのも可愛いがな。なんだ」
「ちょっと、聞きたいんだけど。この…ホムンクルスの身体の事」
「ん、今更か?」
「今更って言われればそうだけど、今だから、ともいえるわね。…寿命ってあるのこの身体」

 そう、今更。だからそうスタンフォードに聞く。謎知識にも聞いてみたけど、『製作者による』という返答なのよ。一応問いかけ方を変えたりもしたんだけど、それしか返ってこなくて。だから、聞いた。
 だって…スタンフォードは、元がいいからアレだけど、目じりに皺とかね。金髪だから目立たないけど、白髪とかね。そういう年を感じさせる物が目立って来た。でも、私は…この世界に来た時から、全く変化がなくて。太ったりもないんだよ?謎すぎない!?
 話がそれた。えぇと、だからね…寿命がどうなのか、よ。まあ、不老なだけで、不死ではないとかはあるかもだけど。

「いつ言い出すかとは考えてたが。さて、どうしようかな?」
「どうしようかな、じゃないわよ。答えないつもりってこと?」
「いや?お前の気持ち次第かな」
「…どういうことよ」

 気持ち次第って意味が分からない。だからそう言えば、スタンフォードは手を振って、服を着た。お茶にしようと言って。
 ベッドルームにも小さなテーブルがスタンフォードの魔術で用意されて、お茶はあらかじめ用意されてた物だけど、席についてそれを飲みながら話を聞けば。

「そもそも、魂ってのは…まあ、とてつもない寿命がある。それに対して肉体が付いて行かないってのが実情だな」

 だから、輪廻転生するのだという。ただ、記憶までは難しいらしい。そして、私の魂を強引に引っ張ってきて、このホムンクルスの身体に入れたのはこの男なんだけど。

「ホムンクルスってのは、魔術で作った身体だからな。魔力でもって、補修なんかも自動でしてる」
「だから変化がないって事?」
「そうだな。一応は、主とリンクしていれば主と同じように変化するもんなんだが、切ってしまったしな」

 そういえば、結構初期に繋がりを切ったけど、という事は?

「不老不死になってるって事?」
「ある意味そうだな。流石に外部からの攻撃で破壊されれば別だが、魂の保護はしてあるから新たなホムンクルスに移せばいいだけだし。…で、お前はどうしたい?」
「どうって、え…」

 いきなりな質問に、意図が分からない。訳が分からなくて茫然としていると、スタンフォードはにやりと笑う。

「俺と一緒に死ぬか…永続の生を望むか」
「どう、いう…」
「ホムンクルスの身体が主に紐づくならば、その原理は何なのか、って所なんだが…調べているうちに色々と」

 どうやら、ホムンクルスの肉体、というか…その身体に流れる魔力が製作者の魔力なのだという。だから、その魔力がなくなれば、その肉体を維持できずに壊れるという事らしい。だから、スタンフォードが死ねば、魔力がなくなり次第壊れて死ぬ、と。あ、一応主が次の主へと移譲する事は可能で、手続きというか手段というかそういうのはあるらしい。
 それはともかくとして、私の魂に関してはその魂を管理している主…まあ、スタンフォードになるけど、スタンフォードが死んでいる訳だから、管理できずに輪廻に戻る、という事らしい。
 だから、一緒に死ぬか…ん?永続の生?

「永続の生っていうのは?」
「俺が、自分の魂をホムンクルスの身体に移し替える事ができないとでも?」
「できるの?」
「ああ」

 えぇ…いやまあ、私の魂をどうこうできるなら可能なのかもしれないけど…でも、こう、自分で?えぇ…
 あ、でも…魔力とかそういうのは、どうなる訳?

「魔力って、そもそもなんなのかっていう…スタンフォードの身体がホムンクルスになったら、魔力って…え、でも身体の魔力は」
「まあ、細かい事は考えなくていい。まだ先の話だしな。気になるなら今から勉強してもいいし、お前がそれらの知識があるなら…手伝って貰えれば楽だしな。まあ、お前がどうしたいかを先に決めてくれ」
「普通に死にたいって言ったら、どうするの」
「ん、別に子供達呼んで、看取らせるだけだな。お前も…まあ、俺の魔力量が多いからな。長くて一週間持てばいい方だろうが、1日~3日位で機能停止するんじゃないかな」

 死体は普通の人間と同じようにしてやる。と、また意味不明な発言をされる。

「お前が好きに決めていい。まだまだ時間はあるしな」

 盛大に悩め。と言って、スタンフォードはお茶を飲み干すと、ベッドへと横になる。まあ…まだ夜だしね。お前も来いとかいわれていますよ…私もお茶を飲み干して、言われるがままにスタンフォードの腕の中に納まる。

「俺としては、まだまだ研究したい事もあるし永続の生でもいいんだが、生に飽きたらどうにでも出来るから、そこは心配しなくていい」
「…でも、これはこれで秘密が…」
「ん…そうだな。まあ、シルヴには言っておくか。シルヴも生きててくれると楽なんだが、さて…あいつはどういう答えになるかなぁ」

 …シルヴさんまで巻き込むつもりなのか。確かにシルヴさんがいてくれるなら身の回りの事とか、街での護衛とか助かるけど…不老不死…いや、死なない訳ではないけど、そんな事考えた事なかったし。
 質問の答えがこんなだとは思いもしなかったわよ…
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