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番外編
うやむやになったような
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「ウゴアアァァアア」
現れたのは、真っ黒で巨大なトカゲっぽいもの。え、なにこれ。まるでワニ…と度肝を抜かれている私の精神は置いてけぼりに、ホムンクルスの身体は勝手に動く。
「穿て」
す、とスタンフォードの前に進み出たと思ったら、そう声にしていて。物凄い音がしたと思ったら、その巨大なトカゲが宙に浮いていた。
いや、浮いているというか…土が地面から生えていて、それに貫かれた勢いで、浮いてる!?
「なるほど。ホムンクルスの習性が発揮されるのか」
それでも生命力がすごいのか、じたばたともがくその魔物。え、これ、私がやった…んだよね。無意識というか全く何も考えてなかったけど。
「かなりな威力っすけど、どれ位なんすか」
ホムンクルスの習性…自動で動いたのもそれ?でもなんで?
「王族には及ばんが、そこそこは」
主の危険を排除する為、という回答が得られたけど、主ってスタンフォードの事?危険…確かに危険ではあるのかな。こんなでっかいやつに襲われたら、人なんて簡単にやられるだろうし。
「バレたらまずくないっすか」
だって、ワニぽいって言っても、足は四つ足で立った状態で、ビルの1階位あるし。象位あるかなぁ…口は、ぱっかり開けたらかなりな大きさだし。
「俺がいるからどうにでもなるだろ。今までだって素材が必要で狩りしてたしな」
じたばたともがいていたその魔物だけど、お腹を貫かれてるから流石に弱って来た様だ。うーん無意識でコレが出来るなら、勉強できないんじゃ…?
「そっすね~…で、大丈夫っすか?」
ひょこ、と、シルヴさんが目の前に来て手をひらひら振られた。
「だい、じょうぶだけど…これじゃ、練習にならない…」
「あーそっすね。けど、威力すっごいんで、ごまかすにはスタンフォード様がいないと」
やってるうちに慣れるんじゃないっすか。と言われるけど…スタンフォードがいるとこうなってしまう、でもいないとごまかせないから、いないとダメということ?でも…
「威力すごいと、ごまかす必要がある、の?」
「今はまだな。結婚したばかりだし、なんて言えばいいのか…地位、いや、立場が安定してない女が高威力の魔術を放てるとか問題ありそうなんだよな」
この森に引きこもっているなら問題ないんだが。とスタンフォードは言う。買い物とか行きたいし、それは駄目だけど…
「自衛したくてやりたいんだけど」
そう、自衛。もう二度と攫われたり何かされたりは嫌だ。だからそう言ったんだけど…なによ、二人して顔見合わせて。
「自衛って…」
「王都では魔術使えないぞ」
は?
「自衛するなら剣とかナイフになるか。それなら誰か適任いないのか?」
「剣より体術の方がいいんじゃないっすか。どっちにしろ得意な奴たぁくさんいるっすけど、どこら辺まで情報をばらせるかじゃないっすかね」
「まあ、買い物に行く時に自衛するっていうなら、お前が付いてればいいな」
「そっすね。けど、何か武器持って、今と同じ状況になったら勝手に動きそうっすよね」
「それもそうか。なら、それも試す。武器を用意しておけ」
「はいは~い。賜りました」
勝手に話が決められて、後日、剣やナイフを持たされて色々と試されましたよ。なんで王都で魔術を使えないのか聞けば、そういう術式というか、施設があるのだという。そのおかげで他国から侵略や攻撃をされないのだとか。
なんだそれ。と思って、謎知識に問いかけてみたら、何故か反応がない。謎知識でも分からないことなのかな?
それはともかく、結果として、スタンフォードがいると自動的にそれらの魔物を武器を使ったり魔術を使ってさくっと処理してしまう事が分かりましたよ。
ちょっとグロくて気分悪くなったのは置いておくとして、こんなに動けるなら、なんであの時…と、思わなくもない。
「お前の魂が入っているから勝手な事はそうそうないとは思うが、ホムンクルスが人相手に暴走したら問題だから、そういう安全装置があるんだ。だから人に対して何かする、というなら俺の命令が必要だな。ここに引きこもってるだけだと思ってたからそこら辺も考えてなかったからなぁ」
素体の設定のままだ。と言われた。うーん。
「設定を変えてもいいんだが、ただ…記憶喪失の女が武術一流とかちょっとな」
確かにそれはそうか。それなら自衛は出来ないという事?
「そうだな。諦めてくれ」
という事で、シルヴさん任せになってしまった。
けれど、私が意気消沈していると思ったスタンフォードが、魔術の練習が出来るように場所を庭に作ってくれた。魔術でも壊れない藁…人形も設置してくれたわよ。
ただ、これ…藁、なのになんで燃えないのか謎なのよ。シルヴさんに聞いたけど、
「スタンフォード様製なら、ただの藁じゃないんじゃないっすか~」
と、かるーく返されましたよ。ということで、細かい事は追及せず、ただ謎知識を利用して魔術の練習してました。
そんな練習が出来たのも、まあ…2か月3か月位かな。妊婦なんだからとスタンフォードに止められたからよ。
性格アレなのに、意外と子煩悩だと気が付くのは、まだ先の事。
現れたのは、真っ黒で巨大なトカゲっぽいもの。え、なにこれ。まるでワニ…と度肝を抜かれている私の精神は置いてけぼりに、ホムンクルスの身体は勝手に動く。
「穿て」
す、とスタンフォードの前に進み出たと思ったら、そう声にしていて。物凄い音がしたと思ったら、その巨大なトカゲが宙に浮いていた。
いや、浮いているというか…土が地面から生えていて、それに貫かれた勢いで、浮いてる!?
「なるほど。ホムンクルスの習性が発揮されるのか」
それでも生命力がすごいのか、じたばたともがくその魔物。え、これ、私がやった…んだよね。無意識というか全く何も考えてなかったけど。
「かなりな威力っすけど、どれ位なんすか」
ホムンクルスの習性…自動で動いたのもそれ?でもなんで?
「王族には及ばんが、そこそこは」
主の危険を排除する為、という回答が得られたけど、主ってスタンフォードの事?危険…確かに危険ではあるのかな。こんなでっかいやつに襲われたら、人なんて簡単にやられるだろうし。
「バレたらまずくないっすか」
だって、ワニぽいって言っても、足は四つ足で立った状態で、ビルの1階位あるし。象位あるかなぁ…口は、ぱっかり開けたらかなりな大きさだし。
「俺がいるからどうにでもなるだろ。今までだって素材が必要で狩りしてたしな」
じたばたともがいていたその魔物だけど、お腹を貫かれてるから流石に弱って来た様だ。うーん無意識でコレが出来るなら、勉強できないんじゃ…?
「そっすね~…で、大丈夫っすか?」
ひょこ、と、シルヴさんが目の前に来て手をひらひら振られた。
「だい、じょうぶだけど…これじゃ、練習にならない…」
「あーそっすね。けど、威力すっごいんで、ごまかすにはスタンフォード様がいないと」
やってるうちに慣れるんじゃないっすか。と言われるけど…スタンフォードがいるとこうなってしまう、でもいないとごまかせないから、いないとダメということ?でも…
「威力すごいと、ごまかす必要がある、の?」
「今はまだな。結婚したばかりだし、なんて言えばいいのか…地位、いや、立場が安定してない女が高威力の魔術を放てるとか問題ありそうなんだよな」
この森に引きこもっているなら問題ないんだが。とスタンフォードは言う。買い物とか行きたいし、それは駄目だけど…
「自衛したくてやりたいんだけど」
そう、自衛。もう二度と攫われたり何かされたりは嫌だ。だからそう言ったんだけど…なによ、二人して顔見合わせて。
「自衛って…」
「王都では魔術使えないぞ」
は?
「自衛するなら剣とかナイフになるか。それなら誰か適任いないのか?」
「剣より体術の方がいいんじゃないっすか。どっちにしろ得意な奴たぁくさんいるっすけど、どこら辺まで情報をばらせるかじゃないっすかね」
「まあ、買い物に行く時に自衛するっていうなら、お前が付いてればいいな」
「そっすね。けど、何か武器持って、今と同じ状況になったら勝手に動きそうっすよね」
「それもそうか。なら、それも試す。武器を用意しておけ」
「はいは~い。賜りました」
勝手に話が決められて、後日、剣やナイフを持たされて色々と試されましたよ。なんで王都で魔術を使えないのか聞けば、そういう術式というか、施設があるのだという。そのおかげで他国から侵略や攻撃をされないのだとか。
なんだそれ。と思って、謎知識に問いかけてみたら、何故か反応がない。謎知識でも分からないことなのかな?
それはともかく、結果として、スタンフォードがいると自動的にそれらの魔物を武器を使ったり魔術を使ってさくっと処理してしまう事が分かりましたよ。
ちょっとグロくて気分悪くなったのは置いておくとして、こんなに動けるなら、なんであの時…と、思わなくもない。
「お前の魂が入っているから勝手な事はそうそうないとは思うが、ホムンクルスが人相手に暴走したら問題だから、そういう安全装置があるんだ。だから人に対して何かする、というなら俺の命令が必要だな。ここに引きこもってるだけだと思ってたからそこら辺も考えてなかったからなぁ」
素体の設定のままだ。と言われた。うーん。
「設定を変えてもいいんだが、ただ…記憶喪失の女が武術一流とかちょっとな」
確かにそれはそうか。それなら自衛は出来ないという事?
「そうだな。諦めてくれ」
という事で、シルヴさん任せになってしまった。
けれど、私が意気消沈していると思ったスタンフォードが、魔術の練習が出来るように場所を庭に作ってくれた。魔術でも壊れない藁…人形も設置してくれたわよ。
ただ、これ…藁、なのになんで燃えないのか謎なのよ。シルヴさんに聞いたけど、
「スタンフォード様製なら、ただの藁じゃないんじゃないっすか~」
と、かるーく返されましたよ。ということで、細かい事は追及せず、ただ謎知識を利用して魔術の練習してました。
そんな練習が出来たのも、まあ…2か月3か月位かな。妊婦なんだからとスタンフォードに止められたからよ。
性格アレなのに、意外と子煩悩だと気が付くのは、まだ先の事。
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