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番外編

そういえば

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 ふと。庭でハーブの採集をしていて思い出した事。

「魔術とか戦闘技能とか…聞いてない」

 そう言えば、魔術の使い方というかそこら辺もまだ調べてなかったわね。このホムンクルスの身体は高性能らしいから、多少練習しておけばよかった。街であんな事になるとは思ってなかったから。
 こう、あれよね。日本は平和だったから危機感がないっていうヤツよね。


 と、いう事でスタンフォードに練習したいと言えば。

「それは構わないが…シルヴ、お前は…」
「無理っすよ~そういうのは練習すらしてないっす」
「だよな。かといって、他のやつに聞くのもな」
「魔術ならスタンフォード様が見ればいいんじゃないっすか。ここ、幸いにも魔物とかいますし」

 魔物。ああ、そうね…結界で守られてるからそんなモノを日常的に見たことないし遭遇した事ないけど、知識としては読んだわ。

「一応鈍化させる薬とかあるんで~風で拡散すれば安全にイけるっすよ」

 シルヴさんはそう言って、ことり、と小瓶をテーブルへと出す。今どこから出したのよ。

「放り投げつつ風で壊してそのまま流しても結構強力なので、広範囲に影響あるっす。一番いいのはナイフとか弓矢の先につけて攻撃するっす。ただ…」

 苦手なので。と言って、シルヴさんは笑う。

「お前、良くそれで筆頭でいられるよな」
「危険性がルーヴェリア様と違うんで、目こぼしされてたんっすね。当主、ルーヴェリア様に関する事以外は緩いんで」

 シルヴさんは、ははは。と軽く笑っているけど、スタンフォードが頭抱えてしまったわね。

「まあいい。今更言っても仕方ない。とりあえず、今やってる研究がひと段落したらでいいか」
「わかった」
「後は…魔物を倒すのに使い勝手がいいのは、土魔術だ。だからまずはその魔術構築の式を調べておけ」

 発動はさせるなよ。と注意されました。やり方だけ調べろという事ね、分かった。確かに、実際にやるのは良いけど、部屋が粉砕されたり燃えたりしたら困るしね。

「後は…土の次に氷や雷が有効なんだが、それらはコントロールが難しいと言われてるから後でいい」
「でも、スタンフォード様、氷…よね、あれ」

 そう、以前海で使ったやつ。氷で海を凍らせて、マグロを獲る、なんてとんでもない事をしてましたよね。

「あー…一応得意不得意もあってな。俺は氷が得意属性だから扱いやすい」
「そんな事言って、全属性使えるじゃないっすか」
「使えはするが、楽なのは氷だな」

 得意不得意とかあるのね~と思ってたら、使えるんかい。威力が下がるとか、術を扱う時に魔力を多く使うとか言うスタンフォードだけど、それにシルヴさんが毎回突っ込みを入れてるけど。

「王族はほんっと、おかしいっすもんねぇ」

 シルヴさんは、しみじみと呆れたかの様に言う。スタンフォード様は、そうか?と返して…

「俺は、お前のとこの当主の方がおかしいと思うが」
「あ、あれは別次元でお願いします」

 以前マグロの件で来た時の人よね。スタンフォードが化け物とか、そっちが、とか言い合いしていたのは覚えてるけど…いまいちピンとこないなぁ。
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