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第八章:なんだか生活も変わった
スタンフォード視点:事の顛末と衝撃の事実と
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「やはり知られたか…」
この家は…危険な国有地にあるというだけではなく、俺が結界を施していることから、例えドラゴンが来ても全く問題がない。アリの子一匹も通さない作りだ。だから、油断した。ここで、誰かに見られるとは思っていなかったから。だから、先程から聞いている来た時期なんかを考えれば、な。
こいつを始末したほうがいいのではという考えがよぎるが…兄を守っているという事もあるし…こいつ相手に勝てるかどうかも…分からない。流石に広範囲の魔法を放てば殺せるだろうが…ユウも巻き添えを食らう可能性があるからな。
そんな事を考えているとわかっているのだろう。にやりと、王族に見せるべきではない顔で笑う。
「なんなら、もう一体、創りますか?」
「!?」
と、突拍子もない事を言ってくる。おい、そこは『殺しますか?』とか、『ルーヴェリア様がどうなってもいいんですか?』とか、そういう所だろう。…まさかワザとか?本当に考えが読めないな、こいつ。
「だって、ほら。あの子だけでは、足りないでしょうに。壊してしまう前に、多数囲っておいた方がよくありませんか?」
「余計なお世話だ」
「くす…確かに、そうですね。はい、どうぞ。こちらはあの子とご一緒に」
差し出されたポットに、維持の魔術をかける。そうして、カップに注がれたお茶を飲めば、おいしい。
「この魔術、世に出さないので?一財産どころか、国家予算超えそうなほど稼げますでしょうに」
「…今はまだいい」
「そうですか…では、結果のご報告をいたしますね」
書面でもらっていた報告の手紙をまだ見ていないと言うと、呆れられたが。
一応書面と被るところもあるが、ついでにと話された。家名は書面にあるといい、犯行の理由としては俺の妃になりたかったから、邪魔なユウを妃にできないようにしたかったと。昔から変わり映えしない手ですねぇ。と笑うが…次兄の第5妃が同様の手口を使われてたからな。あれは噂を流しただけだが…それが却って結婚するまでになったのだから、本当にどうなるかわからないよな。
また、あのスライムに関しては…どうやら一緒にいた男共が裏ギルドから購入したものらしい。まあ、そんな事だろうとは思ったが。男共は…あの女のお遊びに使われる男だったそうで。
…一応は身体の関係はないらしい。金払いがいい為、そっちに関しては女を買っていたようだ。
「で、ですね。あの女性…苗床にいただいてもいいですかね?」
「…苗床って、お前、言葉選ばなくなったな…」
「どうせもう我が君にばれてますしねぇ。ほんと、時々発動するあの勘の鋭さ、なんなんですかあれ」
いや、そんな事を俺に言われてもな…ぶつぶつと、普段アホのくせにって言うな。聞こえてるぞ。
世間的に問題なくするのなら、別に好きでもなんでもない女一人、どうなろうが知った事ではないから、任せてしまう。他にも、男共はどうするか、ギルドは?など、細かい事を決めると、帰るという。
「そうそう、貴方様の妃に関しては、我が君に聞かれない限りはいいませんのでご安心を」
「なら、聞かれれば言うという事か」
「そうですねぇ。けれど…我が君は、おばかなので」
「…失礼だな」
「貴方様も分かってると思いますけれど」
「………」
「ですので、安心してくださって結構ですよ。王太子様がお気づきになられる可能性はありますけれど…王太子様に問われても答える義務はありませんしね」
それなら、いいかな。完全には安心できないが。
「それから…あいつ、貴方様にならちゃんとおいしい料理、作りますよ」
「は?あいつって?」
「貴方様の乳母兄弟のあいつです」
「…作れるのか?」
「自分の主に毒物なんて食べさせるわけないでしょうに。あいつが言った、毒物になるっていうのは、毒を仕込む癖があるからなんですよ。給仕で、毒に当たったことありますか」
「給仕は、作る訳じゃ…」
「あいつ、ティーカップを移動させる所作一つで毒仕込みますよ」
「は?」
「給仕なんかしたらそりゃもう毒仕込み放題ですよ」
「はあ!?」
「ただ、面倒くさがりなので、教えるの嫌だったんじゃないですかね」
「………」
「それか、かわいい子なので…惚れそうなのかもしれませんね」
「なっ…」
「冗談ですよ。私からも言っておきますので、使ってやってください。おそらく、本当に何もできない子だったら、怪我させたくないとか、そういう理由ですよ。根はやさしい子なので」
面倒だった可能性も半分はあるでしょうが。と、笑う。一緒に育ったとはいえ…俺は魔術や道具なんかに傾倒していて、本ばかり読んでいたから…気が付かなかった。あいつもおとなしくしている方だったから、二人で遊ぶとしても、互いに興味ある本を一人で読んでるだけだった。もう少し、関心を持てばよかったか。
「それにしても、本当にうまく創りましたねえ…」
考え込んでいたら、そう言われて…顔をあげれば、ちゃんと、愛してあげてくださいね。と…声だけ残して、消えた。
「そんな事、言われなくても」
この家は…危険な国有地にあるというだけではなく、俺が結界を施していることから、例えドラゴンが来ても全く問題がない。アリの子一匹も通さない作りだ。だから、油断した。ここで、誰かに見られるとは思っていなかったから。だから、先程から聞いている来た時期なんかを考えれば、な。
こいつを始末したほうがいいのではという考えがよぎるが…兄を守っているという事もあるし…こいつ相手に勝てるかどうかも…分からない。流石に広範囲の魔法を放てば殺せるだろうが…ユウも巻き添えを食らう可能性があるからな。
そんな事を考えているとわかっているのだろう。にやりと、王族に見せるべきではない顔で笑う。
「なんなら、もう一体、創りますか?」
「!?」
と、突拍子もない事を言ってくる。おい、そこは『殺しますか?』とか、『ルーヴェリア様がどうなってもいいんですか?』とか、そういう所だろう。…まさかワザとか?本当に考えが読めないな、こいつ。
「だって、ほら。あの子だけでは、足りないでしょうに。壊してしまう前に、多数囲っておいた方がよくありませんか?」
「余計なお世話だ」
「くす…確かに、そうですね。はい、どうぞ。こちらはあの子とご一緒に」
差し出されたポットに、維持の魔術をかける。そうして、カップに注がれたお茶を飲めば、おいしい。
「この魔術、世に出さないので?一財産どころか、国家予算超えそうなほど稼げますでしょうに」
「…今はまだいい」
「そうですか…では、結果のご報告をいたしますね」
書面でもらっていた報告の手紙をまだ見ていないと言うと、呆れられたが。
一応書面と被るところもあるが、ついでにと話された。家名は書面にあるといい、犯行の理由としては俺の妃になりたかったから、邪魔なユウを妃にできないようにしたかったと。昔から変わり映えしない手ですねぇ。と笑うが…次兄の第5妃が同様の手口を使われてたからな。あれは噂を流しただけだが…それが却って結婚するまでになったのだから、本当にどうなるかわからないよな。
また、あのスライムに関しては…どうやら一緒にいた男共が裏ギルドから購入したものらしい。まあ、そんな事だろうとは思ったが。男共は…あの女のお遊びに使われる男だったそうで。
…一応は身体の関係はないらしい。金払いがいい為、そっちに関しては女を買っていたようだ。
「で、ですね。あの女性…苗床にいただいてもいいですかね?」
「…苗床って、お前、言葉選ばなくなったな…」
「どうせもう我が君にばれてますしねぇ。ほんと、時々発動するあの勘の鋭さ、なんなんですかあれ」
いや、そんな事を俺に言われてもな…ぶつぶつと、普段アホのくせにって言うな。聞こえてるぞ。
世間的に問題なくするのなら、別に好きでもなんでもない女一人、どうなろうが知った事ではないから、任せてしまう。他にも、男共はどうするか、ギルドは?など、細かい事を決めると、帰るという。
「そうそう、貴方様の妃に関しては、我が君に聞かれない限りはいいませんのでご安心を」
「なら、聞かれれば言うという事か」
「そうですねぇ。けれど…我が君は、おばかなので」
「…失礼だな」
「貴方様も分かってると思いますけれど」
「………」
「ですので、安心してくださって結構ですよ。王太子様がお気づきになられる可能性はありますけれど…王太子様に問われても答える義務はありませんしね」
それなら、いいかな。完全には安心できないが。
「それから…あいつ、貴方様にならちゃんとおいしい料理、作りますよ」
「は?あいつって?」
「貴方様の乳母兄弟のあいつです」
「…作れるのか?」
「自分の主に毒物なんて食べさせるわけないでしょうに。あいつが言った、毒物になるっていうのは、毒を仕込む癖があるからなんですよ。給仕で、毒に当たったことありますか」
「給仕は、作る訳じゃ…」
「あいつ、ティーカップを移動させる所作一つで毒仕込みますよ」
「は?」
「給仕なんかしたらそりゃもう毒仕込み放題ですよ」
「はあ!?」
「ただ、面倒くさがりなので、教えるの嫌だったんじゃないですかね」
「………」
「それか、かわいい子なので…惚れそうなのかもしれませんね」
「なっ…」
「冗談ですよ。私からも言っておきますので、使ってやってください。おそらく、本当に何もできない子だったら、怪我させたくないとか、そういう理由ですよ。根はやさしい子なので」
面倒だった可能性も半分はあるでしょうが。と、笑う。一緒に育ったとはいえ…俺は魔術や道具なんかに傾倒していて、本ばかり読んでいたから…気が付かなかった。あいつもおとなしくしている方だったから、二人で遊ぶとしても、互いに興味ある本を一人で読んでるだけだった。もう少し、関心を持てばよかったか。
「それにしても、本当にうまく創りましたねえ…」
考え込んでいたら、そう言われて…顔をあげれば、ちゃんと、愛してあげてくださいね。と…声だけ残して、消えた。
「そんな事、言われなくても」
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