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3章
エリーユ×テッサ
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なんやかんやあって……。
結果的に俺たちは2匹のオルゴンリザードの討伐に成功し、報酬を手に入れた。
採取できたオルゴナイトは質も量もなかなかのものだったらしく、報酬はテッサの言う通り数千万という額になった。
その報酬の一部でレンタルしていたパワードスーツ代を払い、仕事は終了。
テッサとその友達らしき女の子は体を洗ってオルゴンリザードの唾液を落とした。
そんでもって現在、俺たちはカフェで優雅にお茶をしているわけなのだが……。
「……」
コーヒーをすすりながら、俺は目の前の光景をぼんやりと眺めた。
テーブルの向かいのソファには今、ふたりの女の子が座っている。
一人はお馴染みのテッサ。頭の両側にツノが一本ずつ生えていて、皮膚の一部が黒いウロコで覆われている。身長は155センチくらい。華奢な体格で、ちょっと気難しい感じがする女の子。
もう一人はさっき登場したばかりの新キャラ。ほのかに光を放つ金色の髪に色白の肌、エルフのような長く尖った耳を持つ。身長は165センチくらい。比較的グラマーな体格で、天真爛漫な感じがする女の子。
で、目の前に座っている二人の女の子だが……。
なんかイチャイチャしている。
「はい、あーんして下さい、テッサちゃん」フォークに刺したパンケーキをテッサに近づけながら女の子が言った。
「そういうのいいから。普通に食べさせなさいよ」嫌そうにしながらテッサはそれを避けた。
「ええー、いいじゃないですか。二人っきりの時はよくやっていたでしょう?」
「あ、あれはあんたがあまりにしつこいから……!」
「もー、そんなに照れることないじゃないですかー」
「照れてないわよ。単に嫌なだけ!」
すると女の子は突然シュンとなって暗くなった。
「そんなに嫌ですか……。私からあーんしてもらうの……」
その感情を表すかのように、ほのかに光っていた彼女の金色の髪がその輝きを失った。
どうやら彼女は表情が豊からしい。
「もう、こんな事でいちいち落ち込まないでよ!」
強く言いながらもテッサはうろたえていた。
そして女の子の落ち込みっぷりに根負けしたのか、テッサはデレた。
「しょ、しょうがないわね。一回よ。一回だけだからね」
それを聞いた女の子は笑顔の花を咲かせ、髪を金色に輝かせた。
うおっ、まぶしっ。
比喩的な意味でも文字通りの意味でも、まぶしっ。
「それじゃあ、あーん」
「あ、あーん」
女の子がテッサにパンケーキを近づけ、テッサは遠慮がちにそれを口に含んだ。
もぐもぐ。
「おいしいですか?」
食べている様子を笑顔で見守りながら、女の子が訊ねる。
「別に、自分で食べるのと変わらないわよ」
ツンとした表情を赤く染めながらテッサが言った。
その反応に満足したのか、女の子はテッサに体をすり寄せて「ふふーん」と笑う。
「な、何よ」
「別に何でもないですよー?」
な、なんだこのふわふわした空間は!
俺はいったい何を見せられているんだ!?
「あのー」俺は恐る恐る二人に話しかけた。「そろそろその子が何者なのか、教えてくれない?」
すると女の子が笑顔のまま言った。
「あはっ。あなた知らないんですか? 百合の邪魔をする男は……、消されるんですよ……?」
「ひっ!?」
笑顔の奥底に殺気が潜んでいるのを感じ、俺は体を震わせた。
ヤバイ。俺は、禁忌を犯してしまった……!?
だがその空気を破壊するようにテッサが女の子の頭を小突いた。
「何が百合よ。変な事を言わないで」
「どうして、テッサちゃん。私はこんなにも愛しているのに!」
「そんな恥ずかしいセリフ、よく普通に言えるわね」
どうやら二人の愛には偏りがあるらしい。
それからテッサは、彼女のことを俺に紹介した。
「この子はエリーユ。アーカル養成学校の私の同級生よ」
「はい、エリーユです。どうぞよろしくお願いします」
エリーユという女の子はさっきの殺気からは想像できないほど明るく、そして丁寧に挨拶をした。
思えば彼女の振る舞いには少しお嬢様っぽい雰囲気がある。
マナーや礼儀なんかはちゃんとしている子なのかもしれない。
だから俺も丁寧に挨拶を返した。
「タツルです。こちらこそよろしく」
するとエリーユは、ドヤ顔でこう言った。
「ちなみに私は、学生寮でテッサちゃんと同じ部屋でした」
「……」
何そのアピール。
もしかして、マウント?
「テッサちゃんと同じベッドで眠ったこともあります。うっとりとするような、とてもいい匂いでした」
「はあ……」
「テッサちゃんのウロコに触ったこともあります。ツルツルしていて、とてもいい触り心地でした」
「ほお」
「テッサちゃんの裸を見たこともあります。繊細な陶器のようで、とてもきれいでした」
「その話、詳しく」
俺は両手を組み、真剣な顔で訊ねた。
同じベッドで眠ったことがあり、ウロコに触ったことがあり、裸を見たことがある。
この三つから連想される、ある事実がある。
その辺りのこと、読者の諸君も知りたいであろう。
だから、深く突っ込ませていただく!
もしかしてお二人は、そういうご関係なのですか?
「って、何を言っているのよ!」
残念なことにテッサから待ったが入った。
そして彼女の口からありがちな事実が告げられる。
「アーカルの学生寮は大浴場なの! エリーユはその時に見ただけなんだから、変な想像しないで!」
「なーんだ、てっきりベッドの中で……」
「それ以上言うとセクハラで訴えるわよ」
俺は咄嗟に口をつぐんだ。
口は災いの元。
ごめん、読者のみんな。
健全なコンテンツを保つためにも、俺はこの辺りで引き返させていただく。
と言うわけで話題を変えることにした。
「しかし、レイアームズを使っている時点でオドの使い手だとは思っていたけれど、まさかアーカルの同級生だったとは」
「はい。テッサちゃんとは仲良くさせていただいています」
「で、なんであんたがこんなところにいるわけ? 学校はどうしたのよ?」
テッサよ、その質問は自分自身に返って来るブーメランだぞ。
そう思いつつも、俺はエリーユの答えに耳を傾けた。
「あはっ。そんなの決まっているじゃないですか。テッサちゃんに会いに来たんですよ」
「私に会いに?」
「そうです。ひと月前に行方不明になってからずっと、テッサちゃんのことを探していたんです。テッサちゃんを訪ねて三千光年です」
なんか既視感があるな……。
つまりあれか、ロージさんと同じようにテッサを探して、オドの導きとやらであの場所まで辿り着いたってことか。
あの、まさにテッサが食われるというところに。
「それにしてもいいタイミングで現れたな……」
「未来が見えますからね。ご都合主義的に登場することくらいできますよ」
「だったらピンチになる前に登場してくれよ」
「それができるなら苦労しないです。私だって、できることならもっと早くテッサちゃんに会いたかったです!」
力説された……。
まあ能力にもいろいろと制限があるのだろう。
ロージさんだって万能じゃないって言っていたし。
「テッサちゃんを見つけ出すの、とっても大変だったんですよ? どうして何も言わずに行っちゃったんですか? 今まで何をしていたんですか、テッサちゃん!?」
今度はエリーユがテッサに詰め寄った。
怒りの感情が込められているのか、エリーユの髪が少し逆立った。
やはり彼女の髪は、感情とリンクしているらしい。
「いや、それは、その……」
言い淀むテッサに、エリーユの髪は光を失った。
彼女の感情はコロコロと変わり、その都度髪の具合もコロコロと変わる。
「そんな……。私に言えないことがあるなんてショックです……。テッサちゃんとは何でも話せる仲だと思っていたのに……」
「そうね。あんたは勝手に自分のことをぺらぺらとしゃべっていたわね。でも私はそんな風に何でもかんでも話したりはしていな……」
テッサはツンとした態度で話していたが、エリーユがうるうるした瞳で自分を見つめているのに気がついて話を中断した。
天真爛漫ゆえの純朴な涙。
その涙にテッサは折れた。
「あーもう、分かったわよ。言うからそんな顔すんな!」
テッサはなんだかんだ言って、エリーユの悲しむ顔が見たくないらしい。
ツンデレか? やっぱりツンデレなのか?
それからテッサは失踪の理由やそのあいだに起きたことについて、エリーユに簡単に話した。
「ええっ! ガチャのためにそんなことを!?」
話を聞き終えてエリーユが言った。
「そうよ。何か悪い?」
そりゃ悪いでしょうよ。
さすがのエリーユもドン引きでしょうよ。
だが俺の予想はあっさりと覆される。
「それなら私も誘ってくれたらよかったのに!」
「ふぇ?」
エリーユはテッサの手を取って話を続けた。
「テッサちゃんがスペースランナーになりたいと言うのなら、私だってスペースランナーになります。それに、テッサちゃんに『スターライトファンタジー』を勧めたのはこの私ですよ? そんな私が、ガチャを引きたい気持ちを理解できないとでも思ったんですか? ガチャのためだなんて、動機としては十分です。私もそのお手伝いをします。だから、一人で勝手に行かないでください」
お前、そっち側の人間かよ!
しかもテッサを沼に誘い込んだ張本人かよ!
まさかの展開に驚きを隠せない。
だがエリーユからの共感、肯定、承認は、テッサの心に届いたらしい。
「エリーユ……」テッサが目を潤ませながら言った。「こんな気持ち、誰にも分かってもらえないと思ってた。だから私は誰にも告げず、学校を抜け出してスペースランナーになった。だけど……」
そこでテッサはエリーユの手を握り返し、寂しそうに微笑んだ。
「私ったらバカね。こんなに近くに分かってくれる人がいたのに、それに気がつかなかったなんて……」
「いいんですよ、テッサちゃん。私のほうこそテッサちゃんのことを分かっていませんでした。こんなことをするまで思い詰めていたなんて……。それに気づいていたら私だって……。でも私たちは今、お互いの気持ちを確かめ合いました。きっとこれは私たちに必要なステップだったんです。私はもうテッサちゃんから離れません。これからは本当に、いつも一緒ですよ」
「エリーユ……!」
「テッサちゃん……!」
二人はお互いに手を取り、見つめ合った。
すごい。ここだけ見ると障害を乗り越えて結ばれた二人みたいだ。
その乗り越えた障害って言うのがとんでもねえけどな……。
まあ、とりあえずだ。
二人の仲が深まったことを今は祝福しておこう。
それ自体は決して、悪い事ではないはずだから。
二人の愛に乾杯。
そう思いながら俺はコーヒーをすすった。
なんでこんなタイミングでコーヒーを手に取ったかって?
そりゃあお前、分かるだろう?
そういうフラグだからだよ。
「ところでテッサちゃん。ガチャと言えば」とエリーユが言った。「テッサちゃん最推しのアーニアちゃんのガチャが来ましたけど、もう引きました?」
「ぶっ!」
俺は飲んでいたコーヒーを噴き出した。
もはや伝統と言っていい、100点満点のリアクションだった。
な、なんて事を言うんだ、エリーユ! テッサは昨日、そのアーニアちゃんを引こうとして大爆死したんだぞ! その傷をえぐり、塩を塗る気か! こんなの……、こんなの……、知らなかったじゃあ済まないぞ!?
俺は恐る恐るテッサの顔を見た。
その表情をどう表現したらいいのか、俺には分からなかった。
構成要素で言えば「憤怒」「悲哀」「焦燥」あたり。
擬音で言うなら「ずももももも」って感じだ。
その表情のままテッサはエリーユの手を離し、自分のスマートノートをテーブルの上に置いた。
そして、震える声で言う。
「い、今から引くわよ。見ていなさい」
「ちょっと待ったあああああ!」
俺は身を乗り出して手を伸ばし、テッサのスマートノートを取り上げた。
理由はもちろん、ガチャを阻止するためだ。
「何をするのタツル!」
「ええい、黙れ! いったいいくらつぎ込めば気が済むんだ!」
「アーニアちゃんを引くまでに決まっているじゃない!」
「学習しないやつだな! お前はもう金を使いすぎた。ガチャはしばらく禁止だ!」
「そんなこと、なんでタツルに決められなくちゃいけないのよ!」
「お? そんなこと言っていいのか? だったら、出るところに出るぞ?」
「はあ? 何を言っているのよ」
「よーし。よく聞けよ」
テッサを止めるにはこれしかない。
俺は少し間を置き、シリアスな空気を作ってから言った。
「テッサ。宇宙船カラマリ号や聖剣エリュシオンを何の金で買ったんだっけ?」
「何の金? ええと……、借金のお金ね」
「昨日ガチャを回したお金は?」
「……借金のお金ね」
「もうひとつ質問いいかな。借金の名義は何だっけ?」
「……あなたのような勘のいい男は嫌いよ」
「えっ、まさか……、テッサちゃん?」エリーユが合いの手を入れた。
「ああ、そういうことだ。こいつはクランのお金でガチャを引いているんだよ! これは立派な横領だ! そうだろ!?」
いや、実際のところ法律に詳しくないから正確なことは知らんけど。
たぶんって言うか、ほぼ確実にダメだろ。
そしてどうやらその認識は正しかったようで、テッサは唇を噛んだ。
「くっ……」
その表情を見て俺は確信する。
テッサ、俺の勝ちだ。
いや、勝ち負けの問題じゃないんだけど。
と、その時だ。エリーユがぼそりと呟いた。
「そんな……、クランのお金を使ってまでガチャを引くなんて……」
そうだ、言ってやれエリーユ。
愛の力でテッサをガチャ欲から救ってやってくれ。
などと期待した俺がバカだった。
「クランのお金を使ってまでガチャを引くなんて、テッサちゃんの推しへの愛は本物ですね! 私、尊敬します!」
エリーユのその言葉を聞いて俺はずっこける。
想定していただけに、こうなったらヤケだと言わんばかりにオーバーリアクションでずっこける。
「お前なあ……」俺は体勢を立て直してエリーユにツッコミを入れた。「何でもかんでも肯定してんじゃねえよ。全肯定botかよ!」
「そうです。私はテッサちゃんのすべてを受け入れます!」
「歪んだ愛情だー!」
「だから、テッサちゃん」とエリーユは優しくテッサに言った。「テッサちゃんが引きたいのなら、ガチャを引いていいんです。テッサちゃんが我慢することなんて一つもありません。幸い、オルゴンリザードを倒した報酬があるじゃないですか。これはテッサちゃんが汗水たらして稼いだお金。だから、テッサちゃんにも使う権利があるはずです」
「そ、そうかしら? 引いちゃってもいいかしら?」
「乗せられてんじゃねえよ。ガチャは経費じゃ落ちないぞ」
「でも、ちょっとくらいなら……。もしかしたら最初の10連で出るかもしれないし……」
「完全に死亡フラグじゃねえか!」
「でも……、でも……」そこでテッサは思い付いて言った。「そうだわ! エリーユにオドを使って引いてもらいましょう! エリーユはすごいのよ。私と違ってどんなガチャでも最初の10連で引いちゃうんだから!」
「なるほど。その手があったか」
「お願い、エリーユ。アーニアちゃんを引いて」
今度はテッサが目を潤ませて、上目遣いでエリーユにねだった。
お前、そんな表情もできたんだな。
これにはテッサラブのエリーユはたまらないだろう。
実際エリーユは「か、可愛い……」と悶絶していた。
しかし驚くべきことに、彼女はそのお願いを拒否した。
「でも、ダメですよー。愛があるのなら推しキャラは自分の力で引かなくちゃ」
「そんなあ!」
テッサはショックを受け、漫画だったら「がーん」とでも書かれそうな顔をした。
俺も少なからず驚いた。
てっきりテッサのお願いなら何でも聞くと思ったんだが……。
これじゃあ全肯定botじゃないじゃん。
「でもその代わり、テッサちゃんが自分のオドで引けるように教えてあげます。テッサちゃんも特訓すれば、私みたいにできるはずですよ」
「ほ、本当?」
「はい、本当です。さっそくやってみますか?」
「お願いするわ!」
テッサは表情を明るくして言った。
推しキャラを与えるのではなく、推しキャラの引き方を教えよ。
何でもしてあげるのではなくテッサの成長を促そうという気持ちが、エリーユにもあったんだな。
そしてエリーユの特訓は、すぐに始まった。
「それじゃあ、とりあえずガチャを引きましょうか」
「分かったわ! タツル、私のスマートノートを返してちょうだい」
「ああ、はいはい。って、おーい!」
あと少しで渡してしまうというところで、俺は手を引っ込めた。
「自然な流れでガチャを引こうとしてんじゃねえよ! オドの特訓をするんじゃなかったのか?」
「だから、これがその特訓ですよ」とエリーユが言った。「テッサちゃんは推しキャラが欲しいという自分の気持ちに翻弄されるから、思い通りにオドが使えないんです。逆に言えば、その欲望と付き合う術を身につければ引けるようになるでしょう。そのための特訓には実際にガチャを引いて、その時に発生する欲望と向き合うのが一番です。つまりガチャは、この特訓に必要不可欠なんです!」
「はあ……。まあ、なんとなく理屈は分かったよ。泳ぎの練習は水の中でする必要があるってことだな?」
「うまい例えですね。その通りです」
「それで、ガチャの海を泳げるようになるのにどれくらいかるんだ?」
「それはテッサちゃん次第だとしかー」
「やっぱりダメじゃねえか。授業料が高すぎるぞ!」
「で、でもタツル。ここで特訓しておけばこのあとずっと役に立つのよ? 先行投資だと思ってさ。ね?」
「だーかーらー」俺は凄みを利かせてテッサに言った。「なんで事業に関係ないことに投資しなくちゃいけないんだ? ああん? やるならもっと依頼をこなして、借金を返済して、給料が出るようにしろ。そしてその給料の中から自分で出してやれ」
「うっ……。わ、分かったわよ……」
俺の本気度が伝わったのか、テッサはとうとう要求を受け入れた。
それから彼女はやけ気味に、宣言するように高らかに言った。
「こうなったらじゃんじゃん依頼をこなしてやるわよ! たくさん稼いで、文句なくガチャを引けるようにしてやるわ!」
するとその勢いに乗るようにして、エリーユも宣言をした。
「張り切るテッサちゃんも素敵です! だったら私もテッサちゃんに協力します! もちろんお金なんて要りません。私はテッサちゃんと一緒にいられればそれでいいですから!」
「……ありがとう、エリーユ。悪いけどその好意に甘えさせてもらうわ。私のアーニアちゃんのために一緒に頑張りましょう!」
「はいっ!」
さも当然のように加わって来たな、エリーユ……。
まあでも、これはチャンスだろう。
ただ働きしてくれるみたいだし、オドの使い手も増えるのだ。
今日みたいにテッサとカバーし合ってくれれば、それこそじゃんじゃん依頼をこなせるかもしれない。
しかし、そのぶん暴走のリスクが高くなった気もするが……。
「言っておくけど、魔王討伐みたいな無茶な依頼はダメだからな……」
浮かれ気味な二人に俺は釘を刺しておいた。
それこそぬかに釘というやつで、まったく手応えはなかったが……。
結果的に俺たちは2匹のオルゴンリザードの討伐に成功し、報酬を手に入れた。
採取できたオルゴナイトは質も量もなかなかのものだったらしく、報酬はテッサの言う通り数千万という額になった。
その報酬の一部でレンタルしていたパワードスーツ代を払い、仕事は終了。
テッサとその友達らしき女の子は体を洗ってオルゴンリザードの唾液を落とした。
そんでもって現在、俺たちはカフェで優雅にお茶をしているわけなのだが……。
「……」
コーヒーをすすりながら、俺は目の前の光景をぼんやりと眺めた。
テーブルの向かいのソファには今、ふたりの女の子が座っている。
一人はお馴染みのテッサ。頭の両側にツノが一本ずつ生えていて、皮膚の一部が黒いウロコで覆われている。身長は155センチくらい。華奢な体格で、ちょっと気難しい感じがする女の子。
もう一人はさっき登場したばかりの新キャラ。ほのかに光を放つ金色の髪に色白の肌、エルフのような長く尖った耳を持つ。身長は165センチくらい。比較的グラマーな体格で、天真爛漫な感じがする女の子。
で、目の前に座っている二人の女の子だが……。
なんかイチャイチャしている。
「はい、あーんして下さい、テッサちゃん」フォークに刺したパンケーキをテッサに近づけながら女の子が言った。
「そういうのいいから。普通に食べさせなさいよ」嫌そうにしながらテッサはそれを避けた。
「ええー、いいじゃないですか。二人っきりの時はよくやっていたでしょう?」
「あ、あれはあんたがあまりにしつこいから……!」
「もー、そんなに照れることないじゃないですかー」
「照れてないわよ。単に嫌なだけ!」
すると女の子は突然シュンとなって暗くなった。
「そんなに嫌ですか……。私からあーんしてもらうの……」
その感情を表すかのように、ほのかに光っていた彼女の金色の髪がその輝きを失った。
どうやら彼女は表情が豊からしい。
「もう、こんな事でいちいち落ち込まないでよ!」
強く言いながらもテッサはうろたえていた。
そして女の子の落ち込みっぷりに根負けしたのか、テッサはデレた。
「しょ、しょうがないわね。一回よ。一回だけだからね」
それを聞いた女の子は笑顔の花を咲かせ、髪を金色に輝かせた。
うおっ、まぶしっ。
比喩的な意味でも文字通りの意味でも、まぶしっ。
「それじゃあ、あーん」
「あ、あーん」
女の子がテッサにパンケーキを近づけ、テッサは遠慮がちにそれを口に含んだ。
もぐもぐ。
「おいしいですか?」
食べている様子を笑顔で見守りながら、女の子が訊ねる。
「別に、自分で食べるのと変わらないわよ」
ツンとした表情を赤く染めながらテッサが言った。
その反応に満足したのか、女の子はテッサに体をすり寄せて「ふふーん」と笑う。
「な、何よ」
「別に何でもないですよー?」
な、なんだこのふわふわした空間は!
俺はいったい何を見せられているんだ!?
「あのー」俺は恐る恐る二人に話しかけた。「そろそろその子が何者なのか、教えてくれない?」
すると女の子が笑顔のまま言った。
「あはっ。あなた知らないんですか? 百合の邪魔をする男は……、消されるんですよ……?」
「ひっ!?」
笑顔の奥底に殺気が潜んでいるのを感じ、俺は体を震わせた。
ヤバイ。俺は、禁忌を犯してしまった……!?
だがその空気を破壊するようにテッサが女の子の頭を小突いた。
「何が百合よ。変な事を言わないで」
「どうして、テッサちゃん。私はこんなにも愛しているのに!」
「そんな恥ずかしいセリフ、よく普通に言えるわね」
どうやら二人の愛には偏りがあるらしい。
それからテッサは、彼女のことを俺に紹介した。
「この子はエリーユ。アーカル養成学校の私の同級生よ」
「はい、エリーユです。どうぞよろしくお願いします」
エリーユという女の子はさっきの殺気からは想像できないほど明るく、そして丁寧に挨拶をした。
思えば彼女の振る舞いには少しお嬢様っぽい雰囲気がある。
マナーや礼儀なんかはちゃんとしている子なのかもしれない。
だから俺も丁寧に挨拶を返した。
「タツルです。こちらこそよろしく」
するとエリーユは、ドヤ顔でこう言った。
「ちなみに私は、学生寮でテッサちゃんと同じ部屋でした」
「……」
何そのアピール。
もしかして、マウント?
「テッサちゃんと同じベッドで眠ったこともあります。うっとりとするような、とてもいい匂いでした」
「はあ……」
「テッサちゃんのウロコに触ったこともあります。ツルツルしていて、とてもいい触り心地でした」
「ほお」
「テッサちゃんの裸を見たこともあります。繊細な陶器のようで、とてもきれいでした」
「その話、詳しく」
俺は両手を組み、真剣な顔で訊ねた。
同じベッドで眠ったことがあり、ウロコに触ったことがあり、裸を見たことがある。
この三つから連想される、ある事実がある。
その辺りのこと、読者の諸君も知りたいであろう。
だから、深く突っ込ませていただく!
もしかしてお二人は、そういうご関係なのですか?
「って、何を言っているのよ!」
残念なことにテッサから待ったが入った。
そして彼女の口からありがちな事実が告げられる。
「アーカルの学生寮は大浴場なの! エリーユはその時に見ただけなんだから、変な想像しないで!」
「なーんだ、てっきりベッドの中で……」
「それ以上言うとセクハラで訴えるわよ」
俺は咄嗟に口をつぐんだ。
口は災いの元。
ごめん、読者のみんな。
健全なコンテンツを保つためにも、俺はこの辺りで引き返させていただく。
と言うわけで話題を変えることにした。
「しかし、レイアームズを使っている時点でオドの使い手だとは思っていたけれど、まさかアーカルの同級生だったとは」
「はい。テッサちゃんとは仲良くさせていただいています」
「で、なんであんたがこんなところにいるわけ? 学校はどうしたのよ?」
テッサよ、その質問は自分自身に返って来るブーメランだぞ。
そう思いつつも、俺はエリーユの答えに耳を傾けた。
「あはっ。そんなの決まっているじゃないですか。テッサちゃんに会いに来たんですよ」
「私に会いに?」
「そうです。ひと月前に行方不明になってからずっと、テッサちゃんのことを探していたんです。テッサちゃんを訪ねて三千光年です」
なんか既視感があるな……。
つまりあれか、ロージさんと同じようにテッサを探して、オドの導きとやらであの場所まで辿り着いたってことか。
あの、まさにテッサが食われるというところに。
「それにしてもいいタイミングで現れたな……」
「未来が見えますからね。ご都合主義的に登場することくらいできますよ」
「だったらピンチになる前に登場してくれよ」
「それができるなら苦労しないです。私だって、できることならもっと早くテッサちゃんに会いたかったです!」
力説された……。
まあ能力にもいろいろと制限があるのだろう。
ロージさんだって万能じゃないって言っていたし。
「テッサちゃんを見つけ出すの、とっても大変だったんですよ? どうして何も言わずに行っちゃったんですか? 今まで何をしていたんですか、テッサちゃん!?」
今度はエリーユがテッサに詰め寄った。
怒りの感情が込められているのか、エリーユの髪が少し逆立った。
やはり彼女の髪は、感情とリンクしているらしい。
「いや、それは、その……」
言い淀むテッサに、エリーユの髪は光を失った。
彼女の感情はコロコロと変わり、その都度髪の具合もコロコロと変わる。
「そんな……。私に言えないことがあるなんてショックです……。テッサちゃんとは何でも話せる仲だと思っていたのに……」
「そうね。あんたは勝手に自分のことをぺらぺらとしゃべっていたわね。でも私はそんな風に何でもかんでも話したりはしていな……」
テッサはツンとした態度で話していたが、エリーユがうるうるした瞳で自分を見つめているのに気がついて話を中断した。
天真爛漫ゆえの純朴な涙。
その涙にテッサは折れた。
「あーもう、分かったわよ。言うからそんな顔すんな!」
テッサはなんだかんだ言って、エリーユの悲しむ顔が見たくないらしい。
ツンデレか? やっぱりツンデレなのか?
それからテッサは失踪の理由やそのあいだに起きたことについて、エリーユに簡単に話した。
「ええっ! ガチャのためにそんなことを!?」
話を聞き終えてエリーユが言った。
「そうよ。何か悪い?」
そりゃ悪いでしょうよ。
さすがのエリーユもドン引きでしょうよ。
だが俺の予想はあっさりと覆される。
「それなら私も誘ってくれたらよかったのに!」
「ふぇ?」
エリーユはテッサの手を取って話を続けた。
「テッサちゃんがスペースランナーになりたいと言うのなら、私だってスペースランナーになります。それに、テッサちゃんに『スターライトファンタジー』を勧めたのはこの私ですよ? そんな私が、ガチャを引きたい気持ちを理解できないとでも思ったんですか? ガチャのためだなんて、動機としては十分です。私もそのお手伝いをします。だから、一人で勝手に行かないでください」
お前、そっち側の人間かよ!
しかもテッサを沼に誘い込んだ張本人かよ!
まさかの展開に驚きを隠せない。
だがエリーユからの共感、肯定、承認は、テッサの心に届いたらしい。
「エリーユ……」テッサが目を潤ませながら言った。「こんな気持ち、誰にも分かってもらえないと思ってた。だから私は誰にも告げず、学校を抜け出してスペースランナーになった。だけど……」
そこでテッサはエリーユの手を握り返し、寂しそうに微笑んだ。
「私ったらバカね。こんなに近くに分かってくれる人がいたのに、それに気がつかなかったなんて……」
「いいんですよ、テッサちゃん。私のほうこそテッサちゃんのことを分かっていませんでした。こんなことをするまで思い詰めていたなんて……。それに気づいていたら私だって……。でも私たちは今、お互いの気持ちを確かめ合いました。きっとこれは私たちに必要なステップだったんです。私はもうテッサちゃんから離れません。これからは本当に、いつも一緒ですよ」
「エリーユ……!」
「テッサちゃん……!」
二人はお互いに手を取り、見つめ合った。
すごい。ここだけ見ると障害を乗り越えて結ばれた二人みたいだ。
その乗り越えた障害って言うのがとんでもねえけどな……。
まあ、とりあえずだ。
二人の仲が深まったことを今は祝福しておこう。
それ自体は決して、悪い事ではないはずだから。
二人の愛に乾杯。
そう思いながら俺はコーヒーをすすった。
なんでこんなタイミングでコーヒーを手に取ったかって?
そりゃあお前、分かるだろう?
そういうフラグだからだよ。
「ところでテッサちゃん。ガチャと言えば」とエリーユが言った。「テッサちゃん最推しのアーニアちゃんのガチャが来ましたけど、もう引きました?」
「ぶっ!」
俺は飲んでいたコーヒーを噴き出した。
もはや伝統と言っていい、100点満点のリアクションだった。
な、なんて事を言うんだ、エリーユ! テッサは昨日、そのアーニアちゃんを引こうとして大爆死したんだぞ! その傷をえぐり、塩を塗る気か! こんなの……、こんなの……、知らなかったじゃあ済まないぞ!?
俺は恐る恐るテッサの顔を見た。
その表情をどう表現したらいいのか、俺には分からなかった。
構成要素で言えば「憤怒」「悲哀」「焦燥」あたり。
擬音で言うなら「ずももももも」って感じだ。
その表情のままテッサはエリーユの手を離し、自分のスマートノートをテーブルの上に置いた。
そして、震える声で言う。
「い、今から引くわよ。見ていなさい」
「ちょっと待ったあああああ!」
俺は身を乗り出して手を伸ばし、テッサのスマートノートを取り上げた。
理由はもちろん、ガチャを阻止するためだ。
「何をするのタツル!」
「ええい、黙れ! いったいいくらつぎ込めば気が済むんだ!」
「アーニアちゃんを引くまでに決まっているじゃない!」
「学習しないやつだな! お前はもう金を使いすぎた。ガチャはしばらく禁止だ!」
「そんなこと、なんでタツルに決められなくちゃいけないのよ!」
「お? そんなこと言っていいのか? だったら、出るところに出るぞ?」
「はあ? 何を言っているのよ」
「よーし。よく聞けよ」
テッサを止めるにはこれしかない。
俺は少し間を置き、シリアスな空気を作ってから言った。
「テッサ。宇宙船カラマリ号や聖剣エリュシオンを何の金で買ったんだっけ?」
「何の金? ええと……、借金のお金ね」
「昨日ガチャを回したお金は?」
「……借金のお金ね」
「もうひとつ質問いいかな。借金の名義は何だっけ?」
「……あなたのような勘のいい男は嫌いよ」
「えっ、まさか……、テッサちゃん?」エリーユが合いの手を入れた。
「ああ、そういうことだ。こいつはクランのお金でガチャを引いているんだよ! これは立派な横領だ! そうだろ!?」
いや、実際のところ法律に詳しくないから正確なことは知らんけど。
たぶんって言うか、ほぼ確実にダメだろ。
そしてどうやらその認識は正しかったようで、テッサは唇を噛んだ。
「くっ……」
その表情を見て俺は確信する。
テッサ、俺の勝ちだ。
いや、勝ち負けの問題じゃないんだけど。
と、その時だ。エリーユがぼそりと呟いた。
「そんな……、クランのお金を使ってまでガチャを引くなんて……」
そうだ、言ってやれエリーユ。
愛の力でテッサをガチャ欲から救ってやってくれ。
などと期待した俺がバカだった。
「クランのお金を使ってまでガチャを引くなんて、テッサちゃんの推しへの愛は本物ですね! 私、尊敬します!」
エリーユのその言葉を聞いて俺はずっこける。
想定していただけに、こうなったらヤケだと言わんばかりにオーバーリアクションでずっこける。
「お前なあ……」俺は体勢を立て直してエリーユにツッコミを入れた。「何でもかんでも肯定してんじゃねえよ。全肯定botかよ!」
「そうです。私はテッサちゃんのすべてを受け入れます!」
「歪んだ愛情だー!」
「だから、テッサちゃん」とエリーユは優しくテッサに言った。「テッサちゃんが引きたいのなら、ガチャを引いていいんです。テッサちゃんが我慢することなんて一つもありません。幸い、オルゴンリザードを倒した報酬があるじゃないですか。これはテッサちゃんが汗水たらして稼いだお金。だから、テッサちゃんにも使う権利があるはずです」
「そ、そうかしら? 引いちゃってもいいかしら?」
「乗せられてんじゃねえよ。ガチャは経費じゃ落ちないぞ」
「でも、ちょっとくらいなら……。もしかしたら最初の10連で出るかもしれないし……」
「完全に死亡フラグじゃねえか!」
「でも……、でも……」そこでテッサは思い付いて言った。「そうだわ! エリーユにオドを使って引いてもらいましょう! エリーユはすごいのよ。私と違ってどんなガチャでも最初の10連で引いちゃうんだから!」
「なるほど。その手があったか」
「お願い、エリーユ。アーニアちゃんを引いて」
今度はテッサが目を潤ませて、上目遣いでエリーユにねだった。
お前、そんな表情もできたんだな。
これにはテッサラブのエリーユはたまらないだろう。
実際エリーユは「か、可愛い……」と悶絶していた。
しかし驚くべきことに、彼女はそのお願いを拒否した。
「でも、ダメですよー。愛があるのなら推しキャラは自分の力で引かなくちゃ」
「そんなあ!」
テッサはショックを受け、漫画だったら「がーん」とでも書かれそうな顔をした。
俺も少なからず驚いた。
てっきりテッサのお願いなら何でも聞くと思ったんだが……。
これじゃあ全肯定botじゃないじゃん。
「でもその代わり、テッサちゃんが自分のオドで引けるように教えてあげます。テッサちゃんも特訓すれば、私みたいにできるはずですよ」
「ほ、本当?」
「はい、本当です。さっそくやってみますか?」
「お願いするわ!」
テッサは表情を明るくして言った。
推しキャラを与えるのではなく、推しキャラの引き方を教えよ。
何でもしてあげるのではなくテッサの成長を促そうという気持ちが、エリーユにもあったんだな。
そしてエリーユの特訓は、すぐに始まった。
「それじゃあ、とりあえずガチャを引きましょうか」
「分かったわ! タツル、私のスマートノートを返してちょうだい」
「ああ、はいはい。って、おーい!」
あと少しで渡してしまうというところで、俺は手を引っ込めた。
「自然な流れでガチャを引こうとしてんじゃねえよ! オドの特訓をするんじゃなかったのか?」
「だから、これがその特訓ですよ」とエリーユが言った。「テッサちゃんは推しキャラが欲しいという自分の気持ちに翻弄されるから、思い通りにオドが使えないんです。逆に言えば、その欲望と付き合う術を身につければ引けるようになるでしょう。そのための特訓には実際にガチャを引いて、その時に発生する欲望と向き合うのが一番です。つまりガチャは、この特訓に必要不可欠なんです!」
「はあ……。まあ、なんとなく理屈は分かったよ。泳ぎの練習は水の中でする必要があるってことだな?」
「うまい例えですね。その通りです」
「それで、ガチャの海を泳げるようになるのにどれくらいかるんだ?」
「それはテッサちゃん次第だとしかー」
「やっぱりダメじゃねえか。授業料が高すぎるぞ!」
「で、でもタツル。ここで特訓しておけばこのあとずっと役に立つのよ? 先行投資だと思ってさ。ね?」
「だーかーらー」俺は凄みを利かせてテッサに言った。「なんで事業に関係ないことに投資しなくちゃいけないんだ? ああん? やるならもっと依頼をこなして、借金を返済して、給料が出るようにしろ。そしてその給料の中から自分で出してやれ」
「うっ……。わ、分かったわよ……」
俺の本気度が伝わったのか、テッサはとうとう要求を受け入れた。
それから彼女はやけ気味に、宣言するように高らかに言った。
「こうなったらじゃんじゃん依頼をこなしてやるわよ! たくさん稼いで、文句なくガチャを引けるようにしてやるわ!」
するとその勢いに乗るようにして、エリーユも宣言をした。
「張り切るテッサちゃんも素敵です! だったら私もテッサちゃんに協力します! もちろんお金なんて要りません。私はテッサちゃんと一緒にいられればそれでいいですから!」
「……ありがとう、エリーユ。悪いけどその好意に甘えさせてもらうわ。私のアーニアちゃんのために一緒に頑張りましょう!」
「はいっ!」
さも当然のように加わって来たな、エリーユ……。
まあでも、これはチャンスだろう。
ただ働きしてくれるみたいだし、オドの使い手も増えるのだ。
今日みたいにテッサとカバーし合ってくれれば、それこそじゃんじゃん依頼をこなせるかもしれない。
しかし、そのぶん暴走のリスクが高くなった気もするが……。
「言っておくけど、魔王討伐みたいな無茶な依頼はダメだからな……」
浮かれ気味な二人に俺は釘を刺しておいた。
それこそぬかに釘というやつで、まったく手応えはなかったが……。
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