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2章
連行されしイケメン
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その男の種族は、見たところ俺と同じヒューマンだった。年齢は20代後半といったところだろうか。髪は真っ白で体つきはスマート。服装は紳士的ながら親しみやすい雰囲気がある。特筆すべきは整った顔立ちで、はっきり言って彼はイケメンだった。
ただしこのイケメン、今はテッサを見ながら情けない顔で泣いている。
その様子からは、弱虫な感じが強烈に漂っていた。
「あ、会いたかったよ、愛しのテッサ」イケメンは涙ながらに言った。
なんなんだこの人。
まさか、テッサの恋人とか?
状況が飲み込めない俺は、とりあえずテッサの反応を確かめようとした。
その瞬間、死んだ顔だったテッサが「ヒッ!?」という短い悲鳴をあげた。
同時にテッサはその場から逃げようとした。彼女の瞬発力は凄まじい。まるできゅうりに驚いて飛び退く猫のようだ。
しかし——。
イケメンは瞬時にテッサの腕を掴み、引き止めてしまった。
「ちょ、ちょっと。いきなり逃げようとしないでよ」
イケメンの身のこなしはその泣き顔とは裏腹に、強者の風格だった。
そのやり取りからは圧倒的な力の差を感じさせた。まるで突発的に始まる負けイベント。主人公たちはレベルの違う相手になす術無くやられていく。そんな展開を思わせた。
実際、腕を掴まれたテッサの顔には絶望感が滲んでいた。
もしかして、危機的な状況なのか?
混乱しつつもそう思った、その時だった。
「離してよ変態!」テッサが叫んだ。「助けて! この人痴漢です! お尻を触ってきました!」
「ええっ!?」
テッサの叫び声によってカフェの店内は騒然となった。
聞きつけたお客さんが次々と言う。
「痴漢だって!?」
「大変だ。女の子が男に襲われているぞ!!」
「紳士の格好をしてなんてやつだ。この変態紳士め!!」
「誰か、早く警察を呼んで!!」
「ち、違います! 誤解です! 僕はですね……!」
イケメンは集まって来た人たちに弁明しようとした。しかしそんな暇もなく、いつの間にか背後に立っていた屈強な店員に彼は肩を掴まれてしまった。
「お客様。ちょっとこちらへよろしいでしょうか?」
そしてイケメンは屈強な店員に連行されていった。引きずられながら「ま、待ってください! お願いだから話を聞いて! 僕はあの子のおおおおお……!」などと叫んでいたが聞き入れてもらえず、やがて店の奥へと消えてしまった。
一連の出来事に俺は困惑し、立ち尽くした。
本当に、何が起きているんだよ。
しかし俺にも考えている暇はないらしい。
俺はすぐにテッサに腕を引っ張られた。
「今のうちに逃げるわよ!」
「な、なんで?」
「いいから!」
わけが分からないが、店内が騒然となっているうちに俺たちはカフェを出た。
ただしこのイケメン、今はテッサを見ながら情けない顔で泣いている。
その様子からは、弱虫な感じが強烈に漂っていた。
「あ、会いたかったよ、愛しのテッサ」イケメンは涙ながらに言った。
なんなんだこの人。
まさか、テッサの恋人とか?
状況が飲み込めない俺は、とりあえずテッサの反応を確かめようとした。
その瞬間、死んだ顔だったテッサが「ヒッ!?」という短い悲鳴をあげた。
同時にテッサはその場から逃げようとした。彼女の瞬発力は凄まじい。まるできゅうりに驚いて飛び退く猫のようだ。
しかし——。
イケメンは瞬時にテッサの腕を掴み、引き止めてしまった。
「ちょ、ちょっと。いきなり逃げようとしないでよ」
イケメンの身のこなしはその泣き顔とは裏腹に、強者の風格だった。
そのやり取りからは圧倒的な力の差を感じさせた。まるで突発的に始まる負けイベント。主人公たちはレベルの違う相手になす術無くやられていく。そんな展開を思わせた。
実際、腕を掴まれたテッサの顔には絶望感が滲んでいた。
もしかして、危機的な状況なのか?
混乱しつつもそう思った、その時だった。
「離してよ変態!」テッサが叫んだ。「助けて! この人痴漢です! お尻を触ってきました!」
「ええっ!?」
テッサの叫び声によってカフェの店内は騒然となった。
聞きつけたお客さんが次々と言う。
「痴漢だって!?」
「大変だ。女の子が男に襲われているぞ!!」
「紳士の格好をしてなんてやつだ。この変態紳士め!!」
「誰か、早く警察を呼んで!!」
「ち、違います! 誤解です! 僕はですね……!」
イケメンは集まって来た人たちに弁明しようとした。しかしそんな暇もなく、いつの間にか背後に立っていた屈強な店員に彼は肩を掴まれてしまった。
「お客様。ちょっとこちらへよろしいでしょうか?」
そしてイケメンは屈強な店員に連行されていった。引きずられながら「ま、待ってください! お願いだから話を聞いて! 僕はあの子のおおおおお……!」などと叫んでいたが聞き入れてもらえず、やがて店の奥へと消えてしまった。
一連の出来事に俺は困惑し、立ち尽くした。
本当に、何が起きているんだよ。
しかし俺にも考えている暇はないらしい。
俺はすぐにテッサに腕を引っ張られた。
「今のうちに逃げるわよ!」
「な、なんで?」
「いいから!」
わけが分からないが、店内が騒然となっているうちに俺たちはカフェを出た。
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