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買われた日

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寒い
痛い
悲しい
そんな感情が渦巻く奴隷市場は
今日も沢山の貴族で賑わっていた。
「犬耳はいないのか」
僕がいる小屋の前に
小太りな奴隷商人と大柄な男の人が立っている。
「犬耳は人気がありましてね。あぁ、この間仕入れた、ウサギ耳はいますよ。
見た目は綺麗なんですが、性格に難がありまして。」
外から入った冷気に体を震わせ
大柄な男の人の目を見つめた。
僕を解放してくれそうだ。
「ほら、何か喋らないか。」
あまり声を出していなかった為
掠れた声しか出なかった。
それに苛ついたのか、小太りな商人は
小屋を蹴った。
「もう良い。コイツを買う。」
懐から金貨が入った袋を出し、小屋の鍵を開け、僕の手を引っ張った。
「こんな格好では、風邪をひいてしまう。これを着るといい。」
そう言って
高そうな暖かいコートを掛けてくれる。
普通、耳付きの奴隷には
こんなに優しくはしない。
観賞用として飼うか
ストレスの解消に使われたりするだけだ。
ポタポタと涙を溢すと
頭を撫でてくれた。
「一緒に帰ろう」
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