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霧の谷で
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朝、ニャンコたちと町の郊外の森で合流した。ぼくとラフレシアは幸せいっぱいな気持ちで、馬車をあやつっている。ミローネたちはまだいびきをかいて荷台でだらしなく寝ていた。
「町は、いかがでした?」
「た、楽しかったよ」
「それはようござった」
「じゃあ行こうか。北の…何とか火山に」
「アストレア火山です。ちゃんと覚えよう」
なかなか教育熱心なニャンコだ。
「っていうか、それどれくらいかかるの?」
「直線で行けば十日ほど。でも道は平坦でなく曲がりくねっています。ですからその倍、二十日ほどでしょう」
「そんなにかかるのか。じゃあまっすぐ行こうよ」
「まっすぐな道などありません。飛ぶならまだしも」
飛ぶ、かあ…それもありだな。錬金術でそういうの作れないかな?馬車に羽をつけてプロペラエンジンかジェットエンジン…まあ今は無理か。それに見合うだけの金属はないし燃料もない。ここはやっぱりゴーレムくんに…。
突如、馬車の前の道が広がり、真っすぐに伸びて行った。測量技術もないのにまっすぐな道なんて、なんて優秀なんだぼくのステルスゴーレムくんは。
「こ、これはどういう魔法で…」
あれ?ニャンコにはゴーレムは見えないのか?まあいいけどね。
「まあいいじゃん」
「ふうん、どうやらあなたにはまだ秘密があるようですね。大賢者さまはそれを知っているのでしょうかね?」
「ひ、秘密なんてないです」
「ふむ…」
「あら、それならあたし知っているわよ」
ミローネがいきなり言い出した。寝てたんじゃなかったんかーい!
「な、何を言うんだミローネちゃん」
「あたし見ちゃったもん」
「な、な何をだよ」
「ゆうべ寝てるとき、デリアがラフレシアの胸をこっそり触っていたわ」
「なななななななっ!いやいやあれは毛布をかけなおそうと!」
「それにしちゃ手の動きがなんか怪しかったわよ?」
「ばばばばばかな」
なんてことをばらすんだこいつ!
「デリア…」
「はいっ!」
ヤバい、ラフレシアが怒ってる!そりゃそうだ。女の子が寝てるときにその胸を触るなんてこりゃ痴漢だ変態だ。うわああ、嫌われる!
「もし今度さわりたくなったらちゃんと言ってね」
「え?」
「いい?ちゃんと言ってね?」
怒ってないみたいだ。よかったー!
「わかった。ちゃんと言う。でも、いいの?さわっても」
「誰がいいと言った?ちゃんと言えばぶちのめすだけで勘弁してやる。言わないでさわれば殺す」
「ひいいいい」
超怒ってるやん!
「そんなに胸触りたいんだったらあたしのさわらしたのに」
「おー、あたしもだぞ」
「あたしもあたしも」
お前らの胸がどこか探す方が大変だろ!ボケ!
「ふっふっふ、やはりデリアさまは噂通りクズでいらっしゃいますね」
「ニャンコ、その噂の出どころあとで教えてね」
あとで『一日一回』スキルで拷問…いやそれじゃペット虐待か。なら自白させる?それならいいかも。真実を知るのは神も許したもう、なんちゃって。
「デリア、道が…」
突然、ラフレシアが声をあげた。ステルスゴーレムくんが道にたたずんでいる。その先に道がない?
「谷ですね…ここは霧の谷と呼ばれているところです。一年中濃い霧が谷底に漂っているのです」
ニャンコがそう言ったそこは、まるで大地の裂け目のようなところだった。深く崖がはるかに下までえぐれた大きな谷だったのだ。そしてその谷には濃い霧が立ち込めていて、谷底がまったく見えなかった。いったいどれくらいの深さがあるか、まったく見当がつかない。
「何とか渡れないかな?橋とかないの」
「この大きく開いた谷にかけられる橋ですか?そんなものつくる技術はいまのこの世界にありませんよ。これは迂回して渡れるところを探すしかないですね」
「迂回したらどれだけ時間がかかるんだ?」
「おそらく十日は余計に…」
「そんなに!?」
「ここははるか以前、氷河だったところです。それがアストレア山が火山となったせいで地熱が上昇し氷河が消え、この深く険しい谷を残した、というわけです。ですからその端に行かないとむこうに渡れるような場所がありません」
ニートに迂回などとんでもない。ただでさえニートは回り道の生き方なんだから、それをさらに迂回だなんて気が遠くなる。人生回り道で最短コース、それがニートの道なんです。え?矛盾してる?いいんです。矛盾イコールニートなんですから!などと開き直っている場合じゃない。なんとしても早くここを渡らないと、ラフレシアの病気がいつまた悪化するか…。
「ここらに橋の材料になる樹木はたくさんあるけれど、ぼくの荷馬車が通れるくらいの規模の橋だと相当大きなものになるなあ。こりゃあ何か月もかかるか…」
「どうするの、デリア。上流に向かえば浅いところがあるかもよ?」
「上流ねえ…」
見上げると巨大な山脈が目前にある。恐らく険しい山岳地帯に入ればそれもあるかも知れないけど、そこに行きつくまでのその難易度の高さの方が問題だよね。
「しょうがない。ミローネ、手伝って」
「なにすんのよ」
「橋を架けるのさ。それには君の協力が必要なのさ」
「やっとあたしの実力を認めたのは褒めてあげるわ。さっさとあの女を放り出してあたしと精霊界で暮らす覚悟ができたのね」
「そんなこと言ってねえ!橋を架けるんだ、手を貸せって言ってんのっ!」
「怒らなくてもいいじゃない。冗談よ、冗談」
「冗談は胸だけにしてくれ」
「おいおまえ、ご主人じゃなかったらいま殺しているレベルだからな、それ」
「いいから頼むよ、可愛いミローネちゃん」
「はーい」
バカの相手は疲れる。しかしとにかく橋だ。
「どうされるので?」
ニャンコが心配そうに聞いてきた。
「まあ見てて」
ぼくはみんなの見えない馬車の陰で、錬金術を使いホースを錬成した。原料のゴムはないが、長く使うわけじゃないし、それなら木の繊維で充分だ。これを荷馬車の蛇口につける。
「ミローネ、水を出すからそいつを凍らせてって」
ミローネは氷の妖精フローズン・ミローネという。水なんか瞬時に凍らせてしまう。
「さあミローネ、頼む」
「凍らせればいいのね?簡単よ。でもぎざぎざのデコボコで、とても荷馬車も、人さえも渡れないわよ?」
「それは大丈夫、まかせて」
「まあ、いいけどね」
ミローネはぼくの撒く水をどんどん凍らせていった。その上面をゴーレムくんが滑らかに削っていく。
「あら?なんか橋みたいになるのね」
「どんどん撒くからどんどん凍らせて」
「わかったわ。面白ーい!」
なかなか早く向こう岸まで届きそうだ。氷の塊を作り削る。そうしてわりと早く氷の橋が完成した。
「すごい!もう橋ができた!」
「きれーい!氷の橋なんてステキー」
「シロップかけてなめていい?」
「わたってから好きなだけなめていいよ」
「わーい」
ぼくらはそれでも恐る恐る氷の橋に荷馬車を進めた。『馬』くんの蹄が滑って歩きにくそうだ。
「もう少しだよ、頑張って、『馬』くん」
「『馬』ちゃんしっかりね」
「それにしても深い霧だな。底がまるで見えないね。それになんだか暑いし…」
「それはですね…」
ニャンコが振り向いて得意げな顔をする。
「先ほども言いましたアストレア火山の地熱のせいです。熱床帯がこの谷の底にできているのです。ですからそこに流れ込む谷の水はすべて高温の蒸気となります。それがこの霧の正体です」
「え?蒸気?って水蒸気かよ!」
「いかにも」
ニャンコを先頭にぼくらと鎧くんたちが渡り切ろうとした瞬間、それは起こった。
「あのな、ニャンコ!水蒸気って高温なんだぞ!氷が溶けちゃうじゃないか!」
「あー」
それは亀裂と振動だ。そりゃそうだ。重い荷馬車に重い鎧をまとった鎧くんたち。溶けだした氷と不完全な形の氷の橋…荷重を考えればあっという間に崩壊…いやだいじょうぶだ。強烈な振動を与えなければ…渡れる…。
「フィックショーン!」
ラフレシア、それはずいぶん大きなくしゃみ、ですね…。
橋は崩壊した。全員が谷底に落ちていく…ああ、空がきれいだ…ぼくは死を覚悟、した。
「町は、いかがでした?」
「た、楽しかったよ」
「それはようござった」
「じゃあ行こうか。北の…何とか火山に」
「アストレア火山です。ちゃんと覚えよう」
なかなか教育熱心なニャンコだ。
「っていうか、それどれくらいかかるの?」
「直線で行けば十日ほど。でも道は平坦でなく曲がりくねっています。ですからその倍、二十日ほどでしょう」
「そんなにかかるのか。じゃあまっすぐ行こうよ」
「まっすぐな道などありません。飛ぶならまだしも」
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突如、馬車の前の道が広がり、真っすぐに伸びて行った。測量技術もないのにまっすぐな道なんて、なんて優秀なんだぼくのステルスゴーレムくんは。
「こ、これはどういう魔法で…」
あれ?ニャンコにはゴーレムは見えないのか?まあいいけどね。
「まあいいじゃん」
「ふうん、どうやらあなたにはまだ秘密があるようですね。大賢者さまはそれを知っているのでしょうかね?」
「ひ、秘密なんてないです」
「ふむ…」
「あら、それならあたし知っているわよ」
ミローネがいきなり言い出した。寝てたんじゃなかったんかーい!
「な、何を言うんだミローネちゃん」
「あたし見ちゃったもん」
「な、な何をだよ」
「ゆうべ寝てるとき、デリアがラフレシアの胸をこっそり触っていたわ」
「なななななななっ!いやいやあれは毛布をかけなおそうと!」
「それにしちゃ手の動きがなんか怪しかったわよ?」
「ばばばばばかな」
なんてことをばらすんだこいつ!
「デリア…」
「はいっ!」
ヤバい、ラフレシアが怒ってる!そりゃそうだ。女の子が寝てるときにその胸を触るなんてこりゃ痴漢だ変態だ。うわああ、嫌われる!
「もし今度さわりたくなったらちゃんと言ってね」
「え?」
「いい?ちゃんと言ってね?」
怒ってないみたいだ。よかったー!
「わかった。ちゃんと言う。でも、いいの?さわっても」
「誰がいいと言った?ちゃんと言えばぶちのめすだけで勘弁してやる。言わないでさわれば殺す」
「ひいいいい」
超怒ってるやん!
「そんなに胸触りたいんだったらあたしのさわらしたのに」
「おー、あたしもだぞ」
「あたしもあたしも」
お前らの胸がどこか探す方が大変だろ!ボケ!
「ふっふっふ、やはりデリアさまは噂通りクズでいらっしゃいますね」
「ニャンコ、その噂の出どころあとで教えてね」
あとで『一日一回』スキルで拷問…いやそれじゃペット虐待か。なら自白させる?それならいいかも。真実を知るのは神も許したもう、なんちゃって。
「デリア、道が…」
突然、ラフレシアが声をあげた。ステルスゴーレムくんが道にたたずんでいる。その先に道がない?
「谷ですね…ここは霧の谷と呼ばれているところです。一年中濃い霧が谷底に漂っているのです」
ニャンコがそう言ったそこは、まるで大地の裂け目のようなところだった。深く崖がはるかに下までえぐれた大きな谷だったのだ。そしてその谷には濃い霧が立ち込めていて、谷底がまったく見えなかった。いったいどれくらいの深さがあるか、まったく見当がつかない。
「何とか渡れないかな?橋とかないの」
「この大きく開いた谷にかけられる橋ですか?そんなものつくる技術はいまのこの世界にありませんよ。これは迂回して渡れるところを探すしかないですね」
「迂回したらどれだけ時間がかかるんだ?」
「おそらく十日は余計に…」
「そんなに!?」
「ここははるか以前、氷河だったところです。それがアストレア山が火山となったせいで地熱が上昇し氷河が消え、この深く険しい谷を残した、というわけです。ですからその端に行かないとむこうに渡れるような場所がありません」
ニートに迂回などとんでもない。ただでさえニートは回り道の生き方なんだから、それをさらに迂回だなんて気が遠くなる。人生回り道で最短コース、それがニートの道なんです。え?矛盾してる?いいんです。矛盾イコールニートなんですから!などと開き直っている場合じゃない。なんとしても早くここを渡らないと、ラフレシアの病気がいつまた悪化するか…。
「ここらに橋の材料になる樹木はたくさんあるけれど、ぼくの荷馬車が通れるくらいの規模の橋だと相当大きなものになるなあ。こりゃあ何か月もかかるか…」
「どうするの、デリア。上流に向かえば浅いところがあるかもよ?」
「上流ねえ…」
見上げると巨大な山脈が目前にある。恐らく険しい山岳地帯に入ればそれもあるかも知れないけど、そこに行きつくまでのその難易度の高さの方が問題だよね。
「しょうがない。ミローネ、手伝って」
「なにすんのよ」
「橋を架けるのさ。それには君の協力が必要なのさ」
「やっとあたしの実力を認めたのは褒めてあげるわ。さっさとあの女を放り出してあたしと精霊界で暮らす覚悟ができたのね」
「そんなこと言ってねえ!橋を架けるんだ、手を貸せって言ってんのっ!」
「怒らなくてもいいじゃない。冗談よ、冗談」
「冗談は胸だけにしてくれ」
「おいおまえ、ご主人じゃなかったらいま殺しているレベルだからな、それ」
「いいから頼むよ、可愛いミローネちゃん」
「はーい」
バカの相手は疲れる。しかしとにかく橋だ。
「どうされるので?」
ニャンコが心配そうに聞いてきた。
「まあ見てて」
ぼくはみんなの見えない馬車の陰で、錬金術を使いホースを錬成した。原料のゴムはないが、長く使うわけじゃないし、それなら木の繊維で充分だ。これを荷馬車の蛇口につける。
「ミローネ、水を出すからそいつを凍らせてって」
ミローネは氷の妖精フローズン・ミローネという。水なんか瞬時に凍らせてしまう。
「さあミローネ、頼む」
「凍らせればいいのね?簡単よ。でもぎざぎざのデコボコで、とても荷馬車も、人さえも渡れないわよ?」
「それは大丈夫、まかせて」
「まあ、いいけどね」
ミローネはぼくの撒く水をどんどん凍らせていった。その上面をゴーレムくんが滑らかに削っていく。
「あら?なんか橋みたいになるのね」
「どんどん撒くからどんどん凍らせて」
「わかったわ。面白ーい!」
なかなか早く向こう岸まで届きそうだ。氷の塊を作り削る。そうしてわりと早く氷の橋が完成した。
「すごい!もう橋ができた!」
「きれーい!氷の橋なんてステキー」
「シロップかけてなめていい?」
「わたってから好きなだけなめていいよ」
「わーい」
ぼくらはそれでも恐る恐る氷の橋に荷馬車を進めた。『馬』くんの蹄が滑って歩きにくそうだ。
「もう少しだよ、頑張って、『馬』くん」
「『馬』ちゃんしっかりね」
「それにしても深い霧だな。底がまるで見えないね。それになんだか暑いし…」
「それはですね…」
ニャンコが振り向いて得意げな顔をする。
「先ほども言いましたアストレア火山の地熱のせいです。熱床帯がこの谷の底にできているのです。ですからそこに流れ込む谷の水はすべて高温の蒸気となります。それがこの霧の正体です」
「え?蒸気?って水蒸気かよ!」
「いかにも」
ニャンコを先頭にぼくらと鎧くんたちが渡り切ろうとした瞬間、それは起こった。
「あのな、ニャンコ!水蒸気って高温なんだぞ!氷が溶けちゃうじゃないか!」
「あー」
それは亀裂と振動だ。そりゃそうだ。重い荷馬車に重い鎧をまとった鎧くんたち。溶けだした氷と不完全な形の氷の橋…荷重を考えればあっという間に崩壊…いやだいじょうぶだ。強烈な振動を与えなければ…渡れる…。
「フィックショーン!」
ラフレシア、それはずいぶん大きなくしゃみ、ですね…。
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