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勇者を倒してしまいました
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最初、聞き間違いだと思いました。オルフェスさんがぼくたちを町から出せないと言ったように聞こえたからです。
「あのー、勇者さん?ぼくの聞き間違いでなけりゃ…」
「何度でも言ってあげるよ。きみたちはこの町から出さない」
まあ飲み込みの早いのもニートの特技ですから、われわれの理不尽な力に危惧される勇者さんのお立場もわかります。まあ、ぼくが勇者さんだったとしても、おそらくぼくらみたいなやつらは永遠に閉じ込めておくでしょう。
「ぼく的にはこんな素晴らしいニートパラダイス、閉じ込めてくれたことへの感謝しかありませんが、気になるのは町の人たちです。勤勉でいい人たちばかりのようですが、あの方たちも永遠に閉じ込めておくのですか?」
「いい人たち?誰が?」
ああー、なるほど。そういうことね。まあこれはあくまで想像ですが、町の人たちはおそらく全員悪党、つまり山賊や盗賊の類ではないでしょうか。むかしこの町を襲いに来て、そして出られなくなった。なぜそんなことを?まあだいたい理由はわかりますけどね。
「なるほど、ここは監獄ってことなんですね…。そして看守はあなた」
「ふうん、なかなか賢いみたいだね、きみは」
肉体労働はしないかわり、頭脳労働は惜しみないんですよ、ニートは。
「だがそれがわかったからってここからは出られないよ」
勇者オルフェスさんはそう言って椅子から立ち上がった。どうやら剣をとるつもりだ。
「やっぱりぼくを殺すんですか?」
「きみを殺す?なんでだい?きみはハッキリ言って脅威じゃない。脅威なのはそのリヴァイアサンだ。幸いまだ小さい。力の振るい方はまだ知らないようだ。ここに閉じ込めておいてもやがて食い破るすべを身に着ける。生かしておけないのはそのおチビちゃんだよ。それに殺せるのは今しかないからね」
失礼なことをハッキリ言うやつだ。勇者のくせに。しかもこんなちびっ子を殺す?頭おかしいんじゃないか?まあ本体見たらそう考えてもおかしくないけどね。
「考え直した方がいいですよ?少なくてもこの子は本能的に身を守る術を知っていますからね」
「それはわかっているよ」
「じゃあなぜ?」
「さっきの逆を考えればいいんだよ」
さっきの逆?ま、まさか…。
「おとうさん、動かないでね…。動くとその首が飛んじゃうわよ?」
「デリアっ!」
いつのまにか西の魔女さんがぼくの後ろに立っていた。冷たい指がぼくの首に絡みついている。
「あんたたち、デリアをどうする気よ!」
ラフレシアは剣を抜いた。
「勝気なお嬢さんだな。これ見てわからないかな?あんたの恋人を人質に取ってるんだよ?そのおチビちゃんに手出しさせない、いや、ずっと動かずにそこにいてもらうために」
「なんでそんなことを!」
「わかってるだろ?この子は親の言うことなら何でも聞く。デリアくんが動くなと言ったら動かない。そしてデリアくんは弱虫だ。妻には逆らえない。首が落ちるからね。だからぼくは安心してリヴァイアサンの首が落とせる。おわかり?」
「あんたたちはそれでも人間なのっ!」
ほう、という顔を勇者はした。
「ぼくも妻ももう人間じゃないんだよ?魔女は悪魔との契約で人間を捨てる、ぼくは勇者となった時点で人間でなくなる。お互い至高の存在となったんだ」
人間やめただと?それ危ない意味じゃないのか?生前だろうが現世だろうが、そんなこと平気で言えるやつにろくなやつはいない。今そう確信した。
「ふん、なにが至高よ。笑わせるわ。それに生憎デリアは弱虫なんかじゃないのよ。そんなおばさん恐くないから」
な、なに言ってんの?ぼくは弱虫くんですよ?何的外れなこと言ってんだろ。そんなこと言って魔女さんの指がちょっとでも動いたら、ぼくの首は胴体くんとお別れしなきゃならないんだよ?ご飯食べてもお腹いっぱいにならないんだよ?
「発言してもいいですか?」
「なんだねデリアくん。でもぼくも忙しい。手短にね」
「もうそういうの、やめませんか?」
「却下だ。ぼくは勇者として世界の危機を見逃すことはできないからね」
「じゃ、もうひとつ。ダイオードって知ってます?」
「うん?なんだい?初耳だ」
「けっこう」
「なにか魔法の呪文なのかい?そいつは無駄だよ。妻の魔法の中では、あらゆる魔法も効かないんだ。もちろん君が使える精霊魔法もね」
「魔法じゃありませんよ。でもあなたも魔法を使っているんでしょ?」
「もちろんだ。ぼくは空間魔法を得意とする。妻は再生魔法だ。二つを合わせてこの町を覆ったんだ。だからぼくを倒さないと、と考えるだろうが、ぼくを倒してもここから出られない。妻と協力して結界を付与してるからね。それは永久結界さ。わかる?」
なんてことするんでしょ、このふたり。それじゃあんたらだって永遠にここから出られないじゃないか。
「お二人が何に嫌気がさしてここに引きこもろうと、ぼくには知ったことじゃないですし、関わりたくはないです。ただ、気持ちはなんとなくわかります。世に危害を及ぼすようなものとか、盗賊とか悪人を放っておけないんでしょうけど、ふつうの旅人だって入ってきますよ?そんなのもいちいち捕まえておくんですか?」
「そういう場合はこうしてちゃんと話して、記憶を消してから外に出す。印をつけるからもう旅人は二度とここに入れない」
「ますます半導体みたいです」
「なんだい、それ?」
まあいいや。もうめんどくさくなった。早くダンジョンに行かないとね。こんなとこでぼやぼやしてられない。
「お話し、とても面白かったです。もし帰り道で気が向いたら、また遊びに来ますね」
「はあ?」
勇者は変な顔をした。
「おいおい、きみはわかっているのかい?たとえこのリヴァイアサンを殺しても、きみたちにはずっとここにいてもらわなけりゃならないんだよ?きみとそのお嬢さんはともかく精霊女王とネクロマンサーは非常にまずい。きみはその二人を解放した。自由意志を持ったそれらを野放しにはできない。まったくなんてことをしてくれたんだか」
ひとを諸悪の根源みたいないい方しやがって。まったく失礼だ。まあいいけど。
「じゃ、おいとまするよ、みんな」
「そんなに死にたいのかい、弱虫くん」
「あのね、たしかにぼくは弱虫ですが、それより優先するのがニートなんですよ。ニートはね、めんどくさいことが嫌いなんです。だからこの場から立ち去るっていうんですが、なにか?」
「ニートが何かわからんが、そういう状況じゃないってきみは認識してるのか!」
「認識しているか、とはあなたの方じゃないんでしょうか?」
「なに?」
西の魔女の指の力がなくなった。手を放してくれたみたいだ。
「あ、あなた…魔法が…」
「どうしたヨゼーネ!」
「あなた感じないの?魔法が…消えてる…」
「なんだと?あっ!」
ハーイ、魔法はすべて無効とさせていただきました。まあ一時的ですけど。それに勇者の言う通り悪人は閉じ込めておくのが一番ですし、今後も頑張って世の中に平和をもたらしていてほしいですからね。ちゃんとそこんとこは評価してんですから。
「どうやった?それらしい力は使っていないはずだ」
まあ勇者がビビるのもわかります。ぼくはスキルを使いました。神さまとの契約ですから何でもありなんです。まあかなり制約あるぶっ壊れスキルなんですけどね。
「魔法はすぐ回復します。でもしばらくは町の出入りは自由です。もちろん盗賊たちも。でもあんたのことだからマーキング、というか印をつけているんでしょ?また戻ってくるような。だからぼくに責任はないですよね?じゃあお茶とお菓子ありがとうございました。美味しかったですよ、奥さん」
ぼくは深々とお辞儀をし、みんなを連れて家を出た。ああ、なんかお腹減った。宿で食事してからまた旅に出よう。
「けっきょくなんなんだ、あいつら?ぼくは倒されたのか?」
「あなたとわたしが完璧にやられた。でも負けって感じじゃなかった。うまく逃げられた、ってとこ」
「どんな力を持ってたんだろう?」
「さあ、でもあたしには一瞬、神の声が聞こえたような気がした」
「そうか…じつはぼくもだ。まあ、そういうことなら、あのおチビちゃんもうまく育てていくんだろうな。世界の危機は当面ないかな」
「そうね…デリアって子を怒らせない限り、ね」
ぼくは怒っていた。
宿屋の主人がコックと逃げたからだ。ご飯食べられない!またビスケス食わなくちゃなんないんだ!もうヤダ、こんな世界!
「あのー、勇者さん?ぼくの聞き間違いでなけりゃ…」
「何度でも言ってあげるよ。きみたちはこの町から出さない」
まあ飲み込みの早いのもニートの特技ですから、われわれの理不尽な力に危惧される勇者さんのお立場もわかります。まあ、ぼくが勇者さんだったとしても、おそらくぼくらみたいなやつらは永遠に閉じ込めておくでしょう。
「ぼく的にはこんな素晴らしいニートパラダイス、閉じ込めてくれたことへの感謝しかありませんが、気になるのは町の人たちです。勤勉でいい人たちばかりのようですが、あの方たちも永遠に閉じ込めておくのですか?」
「いい人たち?誰が?」
ああー、なるほど。そういうことね。まあこれはあくまで想像ですが、町の人たちはおそらく全員悪党、つまり山賊や盗賊の類ではないでしょうか。むかしこの町を襲いに来て、そして出られなくなった。なぜそんなことを?まあだいたい理由はわかりますけどね。
「なるほど、ここは監獄ってことなんですね…。そして看守はあなた」
「ふうん、なかなか賢いみたいだね、きみは」
肉体労働はしないかわり、頭脳労働は惜しみないんですよ、ニートは。
「だがそれがわかったからってここからは出られないよ」
勇者オルフェスさんはそう言って椅子から立ち上がった。どうやら剣をとるつもりだ。
「やっぱりぼくを殺すんですか?」
「きみを殺す?なんでだい?きみはハッキリ言って脅威じゃない。脅威なのはそのリヴァイアサンだ。幸いまだ小さい。力の振るい方はまだ知らないようだ。ここに閉じ込めておいてもやがて食い破るすべを身に着ける。生かしておけないのはそのおチビちゃんだよ。それに殺せるのは今しかないからね」
失礼なことをハッキリ言うやつだ。勇者のくせに。しかもこんなちびっ子を殺す?頭おかしいんじゃないか?まあ本体見たらそう考えてもおかしくないけどね。
「考え直した方がいいですよ?少なくてもこの子は本能的に身を守る術を知っていますからね」
「それはわかっているよ」
「じゃあなぜ?」
「さっきの逆を考えればいいんだよ」
さっきの逆?ま、まさか…。
「おとうさん、動かないでね…。動くとその首が飛んじゃうわよ?」
「デリアっ!」
いつのまにか西の魔女さんがぼくの後ろに立っていた。冷たい指がぼくの首に絡みついている。
「あんたたち、デリアをどうする気よ!」
ラフレシアは剣を抜いた。
「勝気なお嬢さんだな。これ見てわからないかな?あんたの恋人を人質に取ってるんだよ?そのおチビちゃんに手出しさせない、いや、ずっと動かずにそこにいてもらうために」
「なんでそんなことを!」
「わかってるだろ?この子は親の言うことなら何でも聞く。デリアくんが動くなと言ったら動かない。そしてデリアくんは弱虫だ。妻には逆らえない。首が落ちるからね。だからぼくは安心してリヴァイアサンの首が落とせる。おわかり?」
「あんたたちはそれでも人間なのっ!」
ほう、という顔を勇者はした。
「ぼくも妻ももう人間じゃないんだよ?魔女は悪魔との契約で人間を捨てる、ぼくは勇者となった時点で人間でなくなる。お互い至高の存在となったんだ」
人間やめただと?それ危ない意味じゃないのか?生前だろうが現世だろうが、そんなこと平気で言えるやつにろくなやつはいない。今そう確信した。
「ふん、なにが至高よ。笑わせるわ。それに生憎デリアは弱虫なんかじゃないのよ。そんなおばさん恐くないから」
な、なに言ってんの?ぼくは弱虫くんですよ?何的外れなこと言ってんだろ。そんなこと言って魔女さんの指がちょっとでも動いたら、ぼくの首は胴体くんとお別れしなきゃならないんだよ?ご飯食べてもお腹いっぱいにならないんだよ?
「発言してもいいですか?」
「なんだねデリアくん。でもぼくも忙しい。手短にね」
「もうそういうの、やめませんか?」
「却下だ。ぼくは勇者として世界の危機を見逃すことはできないからね」
「じゃ、もうひとつ。ダイオードって知ってます?」
「うん?なんだい?初耳だ」
「けっこう」
「なにか魔法の呪文なのかい?そいつは無駄だよ。妻の魔法の中では、あらゆる魔法も効かないんだ。もちろん君が使える精霊魔法もね」
「魔法じゃありませんよ。でもあなたも魔法を使っているんでしょ?」
「もちろんだ。ぼくは空間魔法を得意とする。妻は再生魔法だ。二つを合わせてこの町を覆ったんだ。だからぼくを倒さないと、と考えるだろうが、ぼくを倒してもここから出られない。妻と協力して結界を付与してるからね。それは永久結界さ。わかる?」
なんてことするんでしょ、このふたり。それじゃあんたらだって永遠にここから出られないじゃないか。
「お二人が何に嫌気がさしてここに引きこもろうと、ぼくには知ったことじゃないですし、関わりたくはないです。ただ、気持ちはなんとなくわかります。世に危害を及ぼすようなものとか、盗賊とか悪人を放っておけないんでしょうけど、ふつうの旅人だって入ってきますよ?そんなのもいちいち捕まえておくんですか?」
「そういう場合はこうしてちゃんと話して、記憶を消してから外に出す。印をつけるからもう旅人は二度とここに入れない」
「ますます半導体みたいです」
「なんだい、それ?」
まあいいや。もうめんどくさくなった。早くダンジョンに行かないとね。こんなとこでぼやぼやしてられない。
「お話し、とても面白かったです。もし帰り道で気が向いたら、また遊びに来ますね」
「はあ?」
勇者は変な顔をした。
「おいおい、きみはわかっているのかい?たとえこのリヴァイアサンを殺しても、きみたちにはずっとここにいてもらわなけりゃならないんだよ?きみとそのお嬢さんはともかく精霊女王とネクロマンサーは非常にまずい。きみはその二人を解放した。自由意志を持ったそれらを野放しにはできない。まったくなんてことをしてくれたんだか」
ひとを諸悪の根源みたいないい方しやがって。まったく失礼だ。まあいいけど。
「じゃ、おいとまするよ、みんな」
「そんなに死にたいのかい、弱虫くん」
「あのね、たしかにぼくは弱虫ですが、それより優先するのがニートなんですよ。ニートはね、めんどくさいことが嫌いなんです。だからこの場から立ち去るっていうんですが、なにか?」
「ニートが何かわからんが、そういう状況じゃないってきみは認識してるのか!」
「認識しているか、とはあなたの方じゃないんでしょうか?」
「なに?」
西の魔女の指の力がなくなった。手を放してくれたみたいだ。
「あ、あなた…魔法が…」
「どうしたヨゼーネ!」
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「魔法はすぐ回復します。でもしばらくは町の出入りは自由です。もちろん盗賊たちも。でもあんたのことだからマーキング、というか印をつけているんでしょ?また戻ってくるような。だからぼくに責任はないですよね?じゃあお茶とお菓子ありがとうございました。美味しかったですよ、奥さん」
ぼくは深々とお辞儀をし、みんなを連れて家を出た。ああ、なんかお腹減った。宿で食事してからまた旅に出よう。
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「あなたとわたしが完璧にやられた。でも負けって感じじゃなかった。うまく逃げられた、ってとこ」
「どんな力を持ってたんだろう?」
「さあ、でもあたしには一瞬、神の声が聞こえたような気がした」
「そうか…じつはぼくもだ。まあ、そういうことなら、あのおチビちゃんもうまく育てていくんだろうな。世界の危機は当面ないかな」
「そうね…デリアって子を怒らせない限り、ね」
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