32 / 88
ベビードラゴン
しおりを挟む
「なかなか大きな町らしいな」
オッサンが馬の背から背伸びをしてそう言った。真っ白な城壁に囲まれた城塞都市のようだ。立派な教会のようなものや、古い町並みが見える。なんか古代ケルト音楽が聞こえてきそうな雰囲気だね。
「おいしい食べ物いっぱいありそうね!」
魔獣の背でミローネは期待いっぱい、という表情を浮かべてそう大声で言った。腕に白い包みを抱えている。ビスケス、という携帯食だ。ぼくのもといた世界のビスケットというのに近い。長い旅の大事な保存食だ。さっきから口を動かしているのは、そいつを貪り食っているからなんだ。
「あのさ、きみがさっきから食べているのは、旅のあいだの食料なんだよ?いまこんなところで食べちゃったら、あとあとぼくたちはなに食べて旅すればいいのか、そこんとこわかってる?」
「なによー、ケチねー。いいじゃない、少しくらい」
少しくらいじゃないから言ってるんだ!
「そうだぞ。食いもんなんて森にいっぱいある。たかが小麦粉練って焼いたものくらいで怒るな」
「そうは言うがネクロ…」
何食ってる?い、いや荷台で何食おうとしている?
「おお、これか。さっき野原で捕まえた。なかなかうまそうだ」
「いやいやいや、それなんだ?何の生物だ!」
首が長い。コウモリのような羽が生えている。硬そうな鱗に覆われている。ぼ、ぼくの異世界知識に照らすなら、そいつはもしかしてドラゴンなんじゃないのか?小さいけど。荷台にぐったりとうずくまっている。
「こいつか?たしか竜種の子供だな」
「竜種って…」
「ドラゴンにも色々いる。だから名前もそれぞれだ。テューポーン、ワイバーン、ヒュドラ―、バハムート、リンドヴルムなど数え上げたらきりがない」
「そんなにいるのか!」
「なにを驚いている。常識だぞ」
そんな常識知りません!
「じゃあそのちっちゃいのもドラゴンなのか?」
「そうだな…種類は…ベビードラゴンなんでよくわからん。小さいときはみんな同じようだからな」
どんな種類にせよとんでもないもの捕まえてくんなよ!
「そんなもん放してきなさい!」
「捨てるというのか?食べ物を粗末にしてはいけないんだぞ?」
「食べ物じゃありませんから!ベビードラゴン食べちゃいけません!」
「まあ、お前が言うなら仕方ない。だが、そういうルールは前もって教えろ」
おまえらの非常識に前もって教えるルールなどない!
「ちっ、命拾いしたな、この竜」
「ねえ、そいつなんか色がおかしくない?見たことない色だよ」
ミローネが不思議そうにのぞき込んで言う。
「そういえばそうだな。ああ、こいつはきっとリヴァイアサン種かも。珍しいな、陸地にいるなんて」
「リヴァイアサン?」
「ああ、ドラゴンの中でも最強最大最悪、と三拍子そろった終末竜だ。力や魔力はとうぜん半端ないが、知力はさらにすごいという。あたしも実物は見たことがない。普段は深海に眠っているらしいが、世界が終わるとき現れると聞いている。もっとも、こいつが世界を終わらせるという話だがな」
「どうしてそんなものがここにいる!」
「うるさいな。まったくなんだというんだ…」
ネクロは迷惑そうにそう言って続ける。
「むかしこの辺り…何万年も前は海の底だったんだろう。長い間に隆起して陸地になった。ずっと海の底にあった卵がその陸地に閉じ込められ、そうしてなにかの拍子に孵化したんだ。見ろ、生まれたてで力はない。このまま放りだしてもいずれは魔獣のエサだ。そうならあたしたちがいただいても問題はない」
「問題ありまくりだ!いいからどこかに埋めて来い!」
「ちょっと、さっきから黙って聞いてれば、なんかひどくない?」
ラフレシアが口を挟んできた。だがそうは言っても竜種で最も恐ろしいやつだっていうんじゃないか?そんなものどう考えたって厄災そのものだ!
「見ればまだ小さいし、なんか弱ってるよ?かわいそうよ」
かわいそう?はあ?ぼくにはこいつが大きくなって逆にぼくらをぼりぼり食っている、ぼくらのかわいそうな姿しか思い浮かばないんだがね!
「いいからどこかに置いてきてっ!」
「おいおい、おまえらあんまり騒ぐから、どうやらこいつが目を覚ましたみたいだぞ?あたしは知らんぞ。眠っていたからよかったが、目を覚ました以上、何が起きるかわからんからな。じゃ」
ネクロはそう言って片手をあげて消えた。
「お、おい待てっ!」
あ、あいつ逃げやがった!信じらんない。あ、ミローネまでいなくなった。オッサンも一目散に馬走らせている。薄情すぎるだろ!
「あ?」
ベビードラゴンと目が合ってしまった。まあー、トカゲのようなつぶらな瞳ですね。超恐ろしいっす。こうなったら例のスキルでやっつけるか?いやいやそんなことしたら天国契約に違反してしまう。このままぼくら食われちゃうの?そ、そうだ!
「何してるの?」
「ラフレシア落ち着いて」
「落ち着いてるわよ?」
「あ、ああそう。ぼ、ぼくはね、いやぼくたちは食われちゃうんだ」
「へえ?誰に?」
「このかたに決まっているでしょ!見て、舌なめずりしてるし」
「お腹減ってるみたいね」
「現状認識ぶっ飛んだそういう根拠のない余裕、ぼくは好きだよ」
「んもう、こんなとこでデリアったら!」
ぼくらが食われる前にこいつに何かエサを与えて、それを食っている隙に逃げるんだ。さっきミローネが食っていたビスケスが荷台にまだ一袋ある。こんな量なんかあっという間に食っちまうだろうが、ラフレシアだけでも逃げられるからね。ぼくは…まあしかたないな。ジタバタしないのもニートだからさ。
「いいね、ラフレシア。ぼくが合図したら逃げるんだ。『馬』も連れて行ってくれ。つないである皮ひもは剣で斬って」
「なんで逃げるのよ?あんたを置いて逃げるなんてできっこないでしょ?」
「それでもいいの!ぼくは何とかするし、なんとでもなるから!」
「デリア…」
ラフレシアの悲しげな顔がぼくの心をかき乱した。この子、こんないい子だっけ?
「とにかくぼくの合図を待って」
ぼくは白い袋から両手で持てるだけのビスケスをすくい上げた。香ばしい匂いがふわっと立ち昇った。ドラゴンがこんなもの食うかしら?そういう疑問もわいてきたけど、いまはこいつにすがるしかない。じゃないとラフレシアが食われちゃう。
「ほら、これ食え」
ドラゴンはきょとんとした顔をした。しかしビスケスを見ると途端に舌なめずりをしながら近寄ってきて、クンクンと匂いを嗅いだ。ああ、なんかぼくの腕ごと食われちゃいそうな雰囲気だ。すっごい鋭い歯をしている。これならそう痛くはないのかな…。
ガリッ
驚いたことにドラゴンはぼくの手から器用にビスケスだけを取って食べた。長い舌でうまく取っている。ガリガリとおいしそうに食べている。なんか目を細めているなんて、仕草がちょっとかわいいかも。い、いやそんなこと言ってる場合じゃない!
「ラフレシア、いまのうち」
「あのね、デリア?」
「な、なに?」
「ビスケス、もうなくなったみたいよ?」
「あり?」
もうこの食いしん坊さん!もっと味わって食べなさいねっ!はい万事休す来たー。この物語終了です!
「マンマ」
「え?」
ドラゴンが声を発した。そう言えば人間の赤ちゃんが一番初めにしゃべる言葉ってマンマって聞いたことある。
「かっわいいー!ねえねえ、この子赤ちゃんなんじゃない?ほーら、あたしがママよ」
「よ、よしなさい!変なことを言うと…」
「ママ…」
「きゃーっ、言ったわ!あたしのことママって。それじゃこっちはパパよ。よろしくね、おチビさん」
「パパ…」
言葉をしゃべりやがった。知能が高いのはこれで証明された。いや、証明されたってぼくらの安全が保障されたわけじゃない。危機はあいかわらず目の前にいる。
「ママ…パパ…」
そう言ってドラゴンは眠ってしまった。なんなんだ。
「ほほう、どうやらあんたたちはその子の親になっちゃったのね」
「な、なに言ってんだミローネ!ってか、いままで逃げてたんだろ!よく何ごともなかったような顔して…」
「まあまあ、しっかし良かったじゃん。食われなくて」
とりあえず危機は脱したが、危険がなくなったわけじゃないだろ。
「いまのうちにこいつ捨ててこい!」
「それは無理よ」
「な、なんでだよ!」
「竜種があんたたちを親と認めちゃったのよ?もうどうしようもないわ」
「どういう意味?それマジどういう意味?」
ミローネは呆れたように言った。
「本能よ。最初に見るのは守られているもの。だからそれはその子にとって親なの。馬を見れば馬が親。精霊なら精霊が親っていうわけね」
「じゃあ…」
「おめでとう。あんたたちはこの世で最強最悪のドラゴンのお父さんとお母さんよ」
やめてくれーっ!
オッサンが馬の背から背伸びをしてそう言った。真っ白な城壁に囲まれた城塞都市のようだ。立派な教会のようなものや、古い町並みが見える。なんか古代ケルト音楽が聞こえてきそうな雰囲気だね。
「おいしい食べ物いっぱいありそうね!」
魔獣の背でミローネは期待いっぱい、という表情を浮かべてそう大声で言った。腕に白い包みを抱えている。ビスケス、という携帯食だ。ぼくのもといた世界のビスケットというのに近い。長い旅の大事な保存食だ。さっきから口を動かしているのは、そいつを貪り食っているからなんだ。
「あのさ、きみがさっきから食べているのは、旅のあいだの食料なんだよ?いまこんなところで食べちゃったら、あとあとぼくたちはなに食べて旅すればいいのか、そこんとこわかってる?」
「なによー、ケチねー。いいじゃない、少しくらい」
少しくらいじゃないから言ってるんだ!
「そうだぞ。食いもんなんて森にいっぱいある。たかが小麦粉練って焼いたものくらいで怒るな」
「そうは言うがネクロ…」
何食ってる?い、いや荷台で何食おうとしている?
「おお、これか。さっき野原で捕まえた。なかなかうまそうだ」
「いやいやいや、それなんだ?何の生物だ!」
首が長い。コウモリのような羽が生えている。硬そうな鱗に覆われている。ぼ、ぼくの異世界知識に照らすなら、そいつはもしかしてドラゴンなんじゃないのか?小さいけど。荷台にぐったりとうずくまっている。
「こいつか?たしか竜種の子供だな」
「竜種って…」
「ドラゴンにも色々いる。だから名前もそれぞれだ。テューポーン、ワイバーン、ヒュドラ―、バハムート、リンドヴルムなど数え上げたらきりがない」
「そんなにいるのか!」
「なにを驚いている。常識だぞ」
そんな常識知りません!
「じゃあそのちっちゃいのもドラゴンなのか?」
「そうだな…種類は…ベビードラゴンなんでよくわからん。小さいときはみんな同じようだからな」
どんな種類にせよとんでもないもの捕まえてくんなよ!
「そんなもん放してきなさい!」
「捨てるというのか?食べ物を粗末にしてはいけないんだぞ?」
「食べ物じゃありませんから!ベビードラゴン食べちゃいけません!」
「まあ、お前が言うなら仕方ない。だが、そういうルールは前もって教えろ」
おまえらの非常識に前もって教えるルールなどない!
「ちっ、命拾いしたな、この竜」
「ねえ、そいつなんか色がおかしくない?見たことない色だよ」
ミローネが不思議そうにのぞき込んで言う。
「そういえばそうだな。ああ、こいつはきっとリヴァイアサン種かも。珍しいな、陸地にいるなんて」
「リヴァイアサン?」
「ああ、ドラゴンの中でも最強最大最悪、と三拍子そろった終末竜だ。力や魔力はとうぜん半端ないが、知力はさらにすごいという。あたしも実物は見たことがない。普段は深海に眠っているらしいが、世界が終わるとき現れると聞いている。もっとも、こいつが世界を終わらせるという話だがな」
「どうしてそんなものがここにいる!」
「うるさいな。まったくなんだというんだ…」
ネクロは迷惑そうにそう言って続ける。
「むかしこの辺り…何万年も前は海の底だったんだろう。長い間に隆起して陸地になった。ずっと海の底にあった卵がその陸地に閉じ込められ、そうしてなにかの拍子に孵化したんだ。見ろ、生まれたてで力はない。このまま放りだしてもいずれは魔獣のエサだ。そうならあたしたちがいただいても問題はない」
「問題ありまくりだ!いいからどこかに埋めて来い!」
「ちょっと、さっきから黙って聞いてれば、なんかひどくない?」
ラフレシアが口を挟んできた。だがそうは言っても竜種で最も恐ろしいやつだっていうんじゃないか?そんなものどう考えたって厄災そのものだ!
「見ればまだ小さいし、なんか弱ってるよ?かわいそうよ」
かわいそう?はあ?ぼくにはこいつが大きくなって逆にぼくらをぼりぼり食っている、ぼくらのかわいそうな姿しか思い浮かばないんだがね!
「いいからどこかに置いてきてっ!」
「おいおい、おまえらあんまり騒ぐから、どうやらこいつが目を覚ましたみたいだぞ?あたしは知らんぞ。眠っていたからよかったが、目を覚ました以上、何が起きるかわからんからな。じゃ」
ネクロはそう言って片手をあげて消えた。
「お、おい待てっ!」
あ、あいつ逃げやがった!信じらんない。あ、ミローネまでいなくなった。オッサンも一目散に馬走らせている。薄情すぎるだろ!
「あ?」
ベビードラゴンと目が合ってしまった。まあー、トカゲのようなつぶらな瞳ですね。超恐ろしいっす。こうなったら例のスキルでやっつけるか?いやいやそんなことしたら天国契約に違反してしまう。このままぼくら食われちゃうの?そ、そうだ!
「何してるの?」
「ラフレシア落ち着いて」
「落ち着いてるわよ?」
「あ、ああそう。ぼ、ぼくはね、いやぼくたちは食われちゃうんだ」
「へえ?誰に?」
「このかたに決まっているでしょ!見て、舌なめずりしてるし」
「お腹減ってるみたいね」
「現状認識ぶっ飛んだそういう根拠のない余裕、ぼくは好きだよ」
「んもう、こんなとこでデリアったら!」
ぼくらが食われる前にこいつに何かエサを与えて、それを食っている隙に逃げるんだ。さっきミローネが食っていたビスケスが荷台にまだ一袋ある。こんな量なんかあっという間に食っちまうだろうが、ラフレシアだけでも逃げられるからね。ぼくは…まあしかたないな。ジタバタしないのもニートだからさ。
「いいね、ラフレシア。ぼくが合図したら逃げるんだ。『馬』も連れて行ってくれ。つないである皮ひもは剣で斬って」
「なんで逃げるのよ?あんたを置いて逃げるなんてできっこないでしょ?」
「それでもいいの!ぼくは何とかするし、なんとでもなるから!」
「デリア…」
ラフレシアの悲しげな顔がぼくの心をかき乱した。この子、こんないい子だっけ?
「とにかくぼくの合図を待って」
ぼくは白い袋から両手で持てるだけのビスケスをすくい上げた。香ばしい匂いがふわっと立ち昇った。ドラゴンがこんなもの食うかしら?そういう疑問もわいてきたけど、いまはこいつにすがるしかない。じゃないとラフレシアが食われちゃう。
「ほら、これ食え」
ドラゴンはきょとんとした顔をした。しかしビスケスを見ると途端に舌なめずりをしながら近寄ってきて、クンクンと匂いを嗅いだ。ああ、なんかぼくの腕ごと食われちゃいそうな雰囲気だ。すっごい鋭い歯をしている。これならそう痛くはないのかな…。
ガリッ
驚いたことにドラゴンはぼくの手から器用にビスケスだけを取って食べた。長い舌でうまく取っている。ガリガリとおいしそうに食べている。なんか目を細めているなんて、仕草がちょっとかわいいかも。い、いやそんなこと言ってる場合じゃない!
「ラフレシア、いまのうち」
「あのね、デリア?」
「な、なに?」
「ビスケス、もうなくなったみたいよ?」
「あり?」
もうこの食いしん坊さん!もっと味わって食べなさいねっ!はい万事休す来たー。この物語終了です!
「マンマ」
「え?」
ドラゴンが声を発した。そう言えば人間の赤ちゃんが一番初めにしゃべる言葉ってマンマって聞いたことある。
「かっわいいー!ねえねえ、この子赤ちゃんなんじゃない?ほーら、あたしがママよ」
「よ、よしなさい!変なことを言うと…」
「ママ…」
「きゃーっ、言ったわ!あたしのことママって。それじゃこっちはパパよ。よろしくね、おチビさん」
「パパ…」
言葉をしゃべりやがった。知能が高いのはこれで証明された。いや、証明されたってぼくらの安全が保障されたわけじゃない。危機はあいかわらず目の前にいる。
「ママ…パパ…」
そう言ってドラゴンは眠ってしまった。なんなんだ。
「ほほう、どうやらあんたたちはその子の親になっちゃったのね」
「な、なに言ってんだミローネ!ってか、いままで逃げてたんだろ!よく何ごともなかったような顔して…」
「まあまあ、しっかし良かったじゃん。食われなくて」
とりあえず危機は脱したが、危険がなくなったわけじゃないだろ。
「いまのうちにこいつ捨ててこい!」
「それは無理よ」
「な、なんでだよ!」
「竜種があんたたちを親と認めちゃったのよ?もうどうしようもないわ」
「どういう意味?それマジどういう意味?」
ミローネは呆れたように言った。
「本能よ。最初に見るのは守られているもの。だからそれはその子にとって親なの。馬を見れば馬が親。精霊なら精霊が親っていうわけね」
「じゃあ…」
「おめでとう。あんたたちはこの世で最強最悪のドラゴンのお父さんとお母さんよ」
やめてくれーっ!
0
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる