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監獄パラダイス
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「そこの入り口から地下に行けるんじゃないの?」
頼れるミローネは目ざとく地下牢への入り口を見つけた。まったく余計なことをする。
「あのねミローネちゃん、そう前向きになられても困るんだよ、ぼくは」
「でもデリア、あんたが何とかしなくちゃならないんでしょ?」
「そのさ、しなくちゃならない、って言葉はニートにとってどれだけ重圧になるか知ってる?」
「知らんがな。って、ニートって何?あんたずいぶん前から言ってるけど」
そんなもの何が悲しくて説明せにゃならんのだ。ちゃんと説明しちゃったら自己嫌悪まっしぐらだ。
「と、とにかくぼくは気がすすまないってことだけは覚えておいてね」
「はいはい。わかったからちゃちゃっとやっつけましょうね、ニートさん」
なんかこいつぼくがラフレシアにフラれた途端、急にマウントとりだしてないか?
「いや他人にニート言われたくない」
「めんどくさいわね。ほらそこが監獄みたいよ。檻みたいのがいっぱいある」
おかしなことに見張りは誰もいなかった。監獄なんだから看守の一人ぐらいいてもいいんじゃないか?
「この奥かな?」
〈もうすぐじゃ。まっすぐ行って右に曲がったところにさらに地下に伸びる階段がある。そいつを降りろ〉
「うわっびっくりした!いきなりしゃべんないでよ!」
〈無茶言うな〉
「どうしたの、デリア?なにブツブツ言ってるのよ」
「さっきも言っただろ?変なじいさんが頭の中に直接しゃべってくるって」
「ああ、アンタ通して聞こえてくるなんか頭のおかしそうなやつね。大丈夫なの?そいつ」
〈聞こえてますよー〉
いやらしいじいさんだ。おっとこれも聞こえちゃうのかな?まあ、とにかく奥に行ってみる。通りながら見ていると、地下牢には誰も収監されていないようだ。空っぽの檻が並んでいるだけだった。
「誰もいないなあ…。この国には罪を犯す人はいないのかな?」
〈この国じゃ罪人はみな死刑じゃ。どんな軽微な罪でもな。万年食糧危機なんじゃ。罪人に無駄飯を食わせておく余裕などない。ライネントルフ教団の教皇ゼルセルになってからは一段とそれが過激になった。あいつは血も涙もない男じゃよ〉
「あんたはなんで殺されないの?」
〈わしを殺すにはこの王都を丸ごとぶっ飛ばすような魔法じゃなけりゃ無理なのだ。つまり、わしとお前を一気に殺すつもりなのだ〉
つまりこれって罠なわけ?ぼくがここに来ることを予想して、大魔導師とかいうじいさんもろとも吹き飛ばそうってことか。何なんだ!ぼくに来るなって言えば来なかったのにこんちきしょう。
「でもこの王都吹き飛ばしちゃったらまずいんじゃないの?」
〈やつらはこんな貧しい国などどうでもいいんじゃ。やつらの狙いはリスタリア王国さ〉
なんだって!ぼくの国が目当てだと?なんでまた。戦争してるけど、そんな理由があったなんて。
「でもぼくの国はそんなに豊かじゃないですよ?」
〈なんだ、お前の国だったのか。そいつは気の毒に。いやな、二三年前からうわさされておったのじゃ。ミントンというところで奇跡が起き、豊作に次ぐ豊作で村人は十倍増、さらに人口が増えてもはやリスタリアの王都さえ凌ぐというほどになっているという。そこが目当てなのだ」
なんだぼくのせいじゃないのか!ぼくが安全安心な快適ニート生活を送るために血のにじむような努力をさせて、やっと作り上げた場所が目当てだというのか!
「血のにじむような努力をさせて?」
ミローネがぼくの心の中の言葉尻をつかまえてそう言った。
「当たり前でしょ。村人くんに頑張ってもらわなきゃだったしね。ぼくは労働嫌いだから」
「クズね」
〈クズじゃな〉
じいさんにまで言われた。などと思っているうちにさらに地下へと続く階段が現れた。そこはなぜか全体が青色に光っている。
「なんだろう、これ?」
〈それがあの女豹ミランダの結界魔法じゃ。その光に触れれば瞬時に身体が溶かされる。わしもそれからは逃れられんのじゃ〉
これはあの暗黒炎と同じ系統の魔法に違いない。あいつはどうやら魔法で中性子も操れるらしい。この光の正体は強烈な中性子線だろう。そりゃ、生身の人間が触れたら肉体は崩壊するわな。
「こりゃきびしいな」
「どうして?あたしたちに魔法は効かないのよ?」
「ミローネ、この光は魔法じゃないんだ。魔法によって照射させているだけなんだよ。生身のぼくなんかはとても近づけない」
「じゃあ精霊のあたしなら…」
「やめとけ。たしかに精霊はエーテルっていう物質で出来てるらしいけど、おまえはそれに疑似肉体をまとっているんだろ?自然界にある物質で肉体を作っている以上、お前の身体もただじゃすまなくなる」
強烈な中性子線で原子や電子が弾き飛ばされてしまうのだ。
「じゃあどうすればいいのよ!もう時間ないのよ?」
「こんなものをずっと起動させておくには何か装置みたいなのが必要なはずなんだ。つきっきりで魔法かけとくわけにはいかないだろ?」
「装置?」
「魔法を継続的に発動させる機械…いや、そんなものないか…じゃあ魔石か…いや見たとこ階段しか見当たらないし…えと…そうか、ミローネを召喚したときの召喚陣!つまり魔法陣ってやつ。あれがどこかの壁に…」
「あそこじゃない?」
お、おお、なんだ。階段の終わる床にそれらしきものが。きっとあれだな。
「じゃゴーレムくん、そこの壁石でも外しちゃってあの陣に向かってぶん投げちゃいなさい!」
ゴーレムくんは重そうな壁石を壁から引っこぬき、投げた。ドドーンともの凄い音がして青い光が消えた。
「すごいわね、あんたのデカ人形」
「まあね」
褒められるとちょっとうれしい。ニートはけっして人には褒められないからね。
「べつにあんたを褒めたわけじゃないわよ」
「あそ」
ふん。まあ何とか下に降りられそうだ。真っ暗になってしまったので、ミローネに精霊の光を出してもらい、それに頼りながら降りた。
「奥に続いてるわね。あそこに扉があるけど、あれじゃない?」
ミローネが見つけたようだ。
「ふうん、鉛でドアができてるね。放射線避けかな。でもこんなんじゃ中性子線は防げない。距離があったんで助かってたんだ」
「あんたどこでそんなこと習ったの?」
「大学でだよ」
「大学?」
「いいからいいから」
ドアはなかなか開かなかった。ゴーレムくんに手伝ってもらって何とか開けた。いや、百パーゴーレムくんのお力だけどね。
「うわ、なんだこりゃ!」
広く明るい部屋だった。ああ?見ればゴージャスなソファーみたいなものとか立派な寝台、天上からは高そうなシャンデリア、テーブルには豪華な料理が並んでいる。どうなってんだ?
〈ようこそわが牢に!〉
壁にドアがついていて、そこからじいさんが出てきた。チラッと便器みたいなのが見えた。トイレかよ!しっかしほんとに魔法使いのような服装をしているなあ。
「いちいち思念波使うな!普通にしゃべってください!頭んなかがキンキンする!」
「おお、そうじゃった、すまん。何しろ人と直接話すのは久しぶりなもんでな」
「ここは何なんです?どうやったって牢に見えないんですけど」
「ああ?わしは魔法使いじゃぞ。なんでもできる。快適な生活をすることなどわけもない」
だったらその力使って出ろよ。
「何度も試したさ…その度に手や足を失った。まあ、魔法で修復したけどね。とにかくあの光はどうにも防げなかったのじゃ」
そうだろうね。中性子に多少なりとも知識が無きゃ、どんな魔法も無力なんだ。
「ぼくならこんな監獄なら一生出ませんけどね」
「いやー、そいつはどうかな?暇じゃぞー。やることないし。日がな一日中鼻くそほじくってみたり、ひとりしりとりを延々やってたり」
それは嫌だな。そういやネットもないんじゃ暇つぶしもできないか。ニートは暇が嫌いだ。寝て食ってる以外は何かしている。まあ、ネットでマンガ読んだりだけど。
「ここまで来れたことといい、おぬしには知恵と力がある。どうかわしと一緒にあの女豹ミランダを止めてくれ」
はあ…まあそうなるか。やっぱりぼくも参加しないとダメなんですね…。じいさんは嬉しそうに荷物をまとめ始めた。どうやらここの調度品を持って行くみたいだ。そんなの引っ越し業者に頼めよ!
頼れるミローネは目ざとく地下牢への入り口を見つけた。まったく余計なことをする。
「あのねミローネちゃん、そう前向きになられても困るんだよ、ぼくは」
「でもデリア、あんたが何とかしなくちゃならないんでしょ?」
「そのさ、しなくちゃならない、って言葉はニートにとってどれだけ重圧になるか知ってる?」
「知らんがな。って、ニートって何?あんたずいぶん前から言ってるけど」
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「と、とにかくぼくは気がすすまないってことだけは覚えておいてね」
「はいはい。わかったからちゃちゃっとやっつけましょうね、ニートさん」
なんかこいつぼくがラフレシアにフラれた途端、急にマウントとりだしてないか?
「いや他人にニート言われたくない」
「めんどくさいわね。ほらそこが監獄みたいよ。檻みたいのがいっぱいある」
おかしなことに見張りは誰もいなかった。監獄なんだから看守の一人ぐらいいてもいいんじゃないか?
「この奥かな?」
〈もうすぐじゃ。まっすぐ行って右に曲がったところにさらに地下に伸びる階段がある。そいつを降りろ〉
「うわっびっくりした!いきなりしゃべんないでよ!」
〈無茶言うな〉
「どうしたの、デリア?なにブツブツ言ってるのよ」
「さっきも言っただろ?変なじいさんが頭の中に直接しゃべってくるって」
「ああ、アンタ通して聞こえてくるなんか頭のおかしそうなやつね。大丈夫なの?そいつ」
〈聞こえてますよー〉
いやらしいじいさんだ。おっとこれも聞こえちゃうのかな?まあ、とにかく奥に行ってみる。通りながら見ていると、地下牢には誰も収監されていないようだ。空っぽの檻が並んでいるだけだった。
「誰もいないなあ…。この国には罪を犯す人はいないのかな?」
〈この国じゃ罪人はみな死刑じゃ。どんな軽微な罪でもな。万年食糧危機なんじゃ。罪人に無駄飯を食わせておく余裕などない。ライネントルフ教団の教皇ゼルセルになってからは一段とそれが過激になった。あいつは血も涙もない男じゃよ〉
「あんたはなんで殺されないの?」
〈わしを殺すにはこの王都を丸ごとぶっ飛ばすような魔法じゃなけりゃ無理なのだ。つまり、わしとお前を一気に殺すつもりなのだ〉
つまりこれって罠なわけ?ぼくがここに来ることを予想して、大魔導師とかいうじいさんもろとも吹き飛ばそうってことか。何なんだ!ぼくに来るなって言えば来なかったのにこんちきしょう。
「でもこの王都吹き飛ばしちゃったらまずいんじゃないの?」
〈やつらはこんな貧しい国などどうでもいいんじゃ。やつらの狙いはリスタリア王国さ〉
なんだって!ぼくの国が目当てだと?なんでまた。戦争してるけど、そんな理由があったなんて。
「でもぼくの国はそんなに豊かじゃないですよ?」
〈なんだ、お前の国だったのか。そいつは気の毒に。いやな、二三年前からうわさされておったのじゃ。ミントンというところで奇跡が起き、豊作に次ぐ豊作で村人は十倍増、さらに人口が増えてもはやリスタリアの王都さえ凌ぐというほどになっているという。そこが目当てなのだ」
なんだぼくのせいじゃないのか!ぼくが安全安心な快適ニート生活を送るために血のにじむような努力をさせて、やっと作り上げた場所が目当てだというのか!
「血のにじむような努力をさせて?」
ミローネがぼくの心の中の言葉尻をつかまえてそう言った。
「当たり前でしょ。村人くんに頑張ってもらわなきゃだったしね。ぼくは労働嫌いだから」
「クズね」
〈クズじゃな〉
じいさんにまで言われた。などと思っているうちにさらに地下へと続く階段が現れた。そこはなぜか全体が青色に光っている。
「なんだろう、これ?」
〈それがあの女豹ミランダの結界魔法じゃ。その光に触れれば瞬時に身体が溶かされる。わしもそれからは逃れられんのじゃ〉
これはあの暗黒炎と同じ系統の魔法に違いない。あいつはどうやら魔法で中性子も操れるらしい。この光の正体は強烈な中性子線だろう。そりゃ、生身の人間が触れたら肉体は崩壊するわな。
「こりゃきびしいな」
「どうして?あたしたちに魔法は効かないのよ?」
「ミローネ、この光は魔法じゃないんだ。魔法によって照射させているだけなんだよ。生身のぼくなんかはとても近づけない」
「じゃあ精霊のあたしなら…」
「やめとけ。たしかに精霊はエーテルっていう物質で出来てるらしいけど、おまえはそれに疑似肉体をまとっているんだろ?自然界にある物質で肉体を作っている以上、お前の身体もただじゃすまなくなる」
強烈な中性子線で原子や電子が弾き飛ばされてしまうのだ。
「じゃあどうすればいいのよ!もう時間ないのよ?」
「こんなものをずっと起動させておくには何か装置みたいなのが必要なはずなんだ。つきっきりで魔法かけとくわけにはいかないだろ?」
「装置?」
「魔法を継続的に発動させる機械…いや、そんなものないか…じゃあ魔石か…いや見たとこ階段しか見当たらないし…えと…そうか、ミローネを召喚したときの召喚陣!つまり魔法陣ってやつ。あれがどこかの壁に…」
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「まあね」
褒められるとちょっとうれしい。ニートはけっして人には褒められないからね。
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ふん。まあ何とか下に降りられそうだ。真っ暗になってしまったので、ミローネに精霊の光を出してもらい、それに頼りながら降りた。
「奥に続いてるわね。あそこに扉があるけど、あれじゃない?」
ミローネが見つけたようだ。
「ふうん、鉛でドアができてるね。放射線避けかな。でもこんなんじゃ中性子線は防げない。距離があったんで助かってたんだ」
「あんたどこでそんなこと習ったの?」
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広く明るい部屋だった。ああ?見ればゴージャスなソファーみたいなものとか立派な寝台、天上からは高そうなシャンデリア、テーブルには豪華な料理が並んでいる。どうなってんだ?
〈ようこそわが牢に!〉
壁にドアがついていて、そこからじいさんが出てきた。チラッと便器みたいなのが見えた。トイレかよ!しっかしほんとに魔法使いのような服装をしているなあ。
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だったらその力使って出ろよ。
「何度も試したさ…その度に手や足を失った。まあ、魔法で修復したけどね。とにかくあの光はどうにも防げなかったのじゃ」
そうだろうね。中性子に多少なりとも知識が無きゃ、どんな魔法も無力なんだ。
「ぼくならこんな監獄なら一生出ませんけどね」
「いやー、そいつはどうかな?暇じゃぞー。やることないし。日がな一日中鼻くそほじくってみたり、ひとりしりとりを延々やってたり」
それは嫌だな。そういやネットもないんじゃ暇つぶしもできないか。ニートは暇が嫌いだ。寝て食ってる以外は何かしている。まあ、ネットでマンガ読んだりだけど。
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