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ニート、騎士団をクビになる
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はいはい、ぼくはクビになりました。宰相へ言いたいことを言ってしまったからです。
やめておけば、とは全然思いません。むしろ好都合です。ニートと戦争は相いれないものなのです。平和こそニートの生存を保証する唯一の条件なんですから。
というわけで、ぼくはこの国からも追い出されることになりました。幸いなことにジョアン兄さんやぼくの実家にはおとがめや影響はありませんでした。まあ実家が潰れてもよかったんですけどね。でもジョアン兄さんは大変悲しんでくれて、嘆願まで出すと言ってくれましたが、ぼくはそれは固く断りました。
というわけで、ぼくはあの報奨金と、それに餞別代りに騎士団からもらった甲冑を馬に積み、とぼとぼと国を出たのです。ああ、これからどうすりゃいいんだ…。
なーんちゃって
わーい自由だ平和だ勝手気ままな旅だ!頼むよ、馬。目的地はダルメシア王国。え?なんでかって?
「なあ馬。悪いやつって世の中沢山いるんだね」
馬は返事をするようにヒヒンとなきました。
「まあお互い死なないように、なるべく穏やかに、静かに、ゆーっくりと行こうね」
馬はまたなきました。なんか楽しそうです。
でも夜になるとそうは言っていられなくなりました。森には魔物。山には山賊。そして野には凶暴な竜や野生動物、おまけに盗賊まで。まったくどんだけって感じです。
日中はそりゃステルスゴーレムがいるからいいんですが、問題は就寝時です。寝込みを襲われたらもうダメです。ぼくが命令しないとゴーレムは稼働しないんですから。
そういうわけで、またまた願いをしようと思います。まあさまざまな角度から考えて、ぼく自身が強くなることも、そして就寝中も随時それが発動できるスキルと思ったのですが、あいにくそういう都合のいいものは思い浮かびません。実際にイメージがないと発動条件を満たさないのです。つまりぼくを不死身にしてとお願いしても、不死身の定義がつまり曖昧だからです。生命維持なのか頑丈な体なのか確固たるイメージがないからです。
これは困りました。
なので今回もゴーレムくんのように、なにかに頼るのが一番と考え決定しました。
というわけで、今は快適な睡眠を取れるし、それはあることも付随されていたので、すこぶる快適なニート旅になりました。
それはどういうことかと説明する前に、今回のぼくのややこしい立場を説明しなければなりません。
「と言うわけだ。今のところ、君が一番適任とこのガイリアス宰相も申しておる」
王はそうおっしゃいました。
実はあの日、宰相に連れられ王に密かに謁見していたのです。宰相はぼくのことを変に誤解して、ついに驚くべき判断をしやがりました。
ぼくをダルメシア王国への工作員、つまりスパイとして派遣しようと言うものでした。
冗談じゃない!と、最初は思いましたが、そこは悪人宰相です。ぼくが兄が大好きだと言うことを逆手に取られ、つまりまた人質というわけです。
「工作員て何やればいいんです?ぼくそういうのやったことありませんですけど」
それには宰相のヴィクトリア・ガイリアスが答えた。
「なに大したことじゃない。君も知ってる通りあの国はライネントルフ教と強い結びつきがある。君の任務はその関係をこじらせ、できれば絆を断ち切ることだ」
「そんなことぼくにできるわけないじゃないですか!」
「きみがわたしに見せた腕前は本物だ。何か不思議な力だった」
「あんたそれを確かめようと、あんなおかしな挑発を?」
宰相はにっこり笑った。
「さんざん怒らせようとしたんだが、逆にこっちが怒ってしまった。あれは不覚だったね。だがそうして君の実力も確かめられた。きっと期待通りのことを成し遂げてくれると信じている。それはわが国王もわたしも、そして君の兄さんも…」
「じゃあ、成功したらお願いを聞いてくれますか?」
それには王がうなずいた。
「いいだろう。何なりと言うがいい」
「では、ぼくにあのミントン地区を返していただけませんか?」
「ああ、あの奇跡、だな。そもそもおまえがあのようにしたところだ。異存はない。所領として取らせよう。しかしそれっぽっちでいいのか?」
「それだけあればぼくのニート生活に充分ですから」
「ニート生活?なんじゃ、それは」
「あ、いいんです。気にしないでください」
王と宰相はポカンとしていた。
そういうわけで、ぼくはリスタリアの工作員としてダルメシア王国に潜入するのです。でもまあ、いつまでやれとは言われていないし、好きなようにしていいと言われたので、これはある意味お気楽なものだともいえます。活動資金はたんまりもらえたし、向うにはすでに誰かが潜入していて、秘密組織を作っているって聞きました。まあその人たちを利用するのもありですね。
でもまさか、異世界に転生してスパイになるとは思いませんでした。兄には本当に心配かけて申し訳ないのですが、本当のことを言えず辛かったです。それからラフレシア。すっごく最初は怒って、そしてすっごく悲しんだようです。国を出る日、ついに見送りには来てくれませんでした。そのかわりアリアが来てくれました。ぼくと一緒に行きたいとアリアは言いましたが、ぼくはことわりました。
だってニートは誰にも縛られない生き方なんです。こんなところで一人の女の子に縛られてどうするのかっていう話です。それにアリアはいい子です。ぼくはこの先どうなるかわからないし、いやニートになるのは決定ですけど、そんな男じゃなくもっといい人と幸せになるべきだと思いました。
でも可愛くていい子だったなー。あ、ラフレシアもだけど。まあちょっと生意気だったけどね。
さあ旅を続けよう。ダルメシア王国まではまだ遠い。街道を行くと目立つので、森を行きます。魔獣がうじゃうじゃいるけどぼくは平気。
ちなみに前に獲得した錬金術師は、取り消さない限りずっとそれを保持するようなので、いろいろなものを作りました。とくに野宿をする時は、お風呂を作ったり、簡単なテントを作りました。あと、暇なので荷馬車を作ったりしてました。重い物を引かせると馬がかわいそうなので、荷馬車は電動の駆動をつけています。荷馬車の幌が太陽電池になっているので、大した出力は出ないですが、それでも馬は楽なはずです。
森の中は荷馬車は走りづらいんですが、ステルスゴーレムくんが道を瞬く間に作ってくれるので大変ありがたいです。でもゴーレムってなにで動いてるんだろう?エネルギーは何なのか、よくわかりません。まあそれでもぼくの後ろには真っすぐな道ができているので、逃げるのは便利ですね。
「ちょっと、少しは休みましょうよ」
「休むったって、きみはさっきから荷台で寝てばかりで、何もしてないじゃないか」
「あらやだ、あたしがどれだけ苦労してこの辺りを探っているのかわからなかったの?」
「わかるわけないじゃん。寝てるとこしか見てないし」
「それが素人だっていうのよ」
「なにが素人だよ。わけわかんないよ」
「つーん」
超むかつく。こいつはミローネ。精霊だ。なぜこんなやつがいるのかと言えば、これも話は前に戻らなきゃならなくなる。
初めての野営のときだ。ぼくは薪を集めたり火を起こそうとしてみたり、まあ大変だった。だってキャンプってしたことがなかったから。転生前はぼくは勉強と仕事しかしてこなかった。まあ女の子と遊んではいたけど、それ以外の遊びはしたことがない。だから実はテントも設営できないんだ。
そこで錬金術が役に立った。イメージするだけでいろいろなものができた。だが素材が石や土、木などでろくなものは作れない。まあ柵とか作れたので、小さな小屋を作ってそれで囲んでみた。あとは罠だ。木の枝とかに仕掛けて鳥を獲った。実際に捌けないので錬金術でいきなり焼き鳥にした。おかげでお腹がいっぱいになった。眠くなった。寝る。そうして夜が更けていく。
「なにかな?なんか音がする」
夜中に目が覚めた。小屋の周りに張り巡らした柵が音を立てているのだ。小窓から見て驚いた。魔獣だ。月明かりに照らされて六本足のバカでかいモンスターが何匹もいた。
「や、ヤバい。あれじゃゴーレムくん一体じゃとても無理だな」
数十匹はいそうだ。みんなをゴーレムくんが相手するのは無理っぽい。二体を相手にしてるまにこっちに来る。そうなりゃおしまいだ。
こいつは何とかしないと。ゴーレムくんをいっぱい作るか?いやあとが大変だ。ステルスで姿は見えないからと言って、そんなにいっぱいのゴーレムを連れてなんか歩けない。置いていってもいいが何だか可哀そうだ。
いっそのこと戦車でも作るか?いやいやそれもダメだ。素材がない。木の戦車じゃ弱そうだし、石じゃなんか違うと思う。貰った金貨で戦車をとも思ったが、今度は人間に見つかったらえらいことになる。大騒ぎの末、あらゆる盗賊が押し寄せてくるだろう。そこで前に考えていたのが精霊使いだ。
この世界で強力な力と言えば魔法だ。そしてそれを自由に使いこなせるのが魔法使いだ。では魔法使いになるか?答えはNOだ。この世界は魔法と魔法使いは管理されている。つまり勝手になれないのだ。
ならどうする?その答えはある。
精霊使いだ。精霊とは霊体で存在する知的生命体で、現世とは違う次元にいる者とされる。召喚術などでそれを召喚し、隷属させたり契約によってその力を振るうものだという。つまり強そうな精霊を呼び出し使役するのだ。あのゴーレムくんのように。
とはいっても精霊は未知数だ。錬金術と違ってこっちのイメージ通りにはならないかもだ。たとえ召喚に成功してもとんでもなく弱い精霊とか、逆にとんでもない凶暴なやつだったらえらいことだ。
だが今はそんなことを言っている場合じゃない。魔獣どもはどうやらぼくの存在に気がついたようだ。ぼくは決心をせざるを得ない状況だ。もうどうなっても知らん。とんでもないのが出たら暴れさせてその隙に逃げる。弱いやつだったらそいつを囮にしてこれも逃げる。いいんです。ニートに責任能力を求めてはいけないのです。責任ないのがニートなんですから!
ということで、ぼくは願った。『一日一回何でも願いが叶うスキル』発動です!
やめておけば、とは全然思いません。むしろ好都合です。ニートと戦争は相いれないものなのです。平和こそニートの生存を保証する唯一の条件なんですから。
というわけで、ぼくはこの国からも追い出されることになりました。幸いなことにジョアン兄さんやぼくの実家にはおとがめや影響はありませんでした。まあ実家が潰れてもよかったんですけどね。でもジョアン兄さんは大変悲しんでくれて、嘆願まで出すと言ってくれましたが、ぼくはそれは固く断りました。
というわけで、ぼくはあの報奨金と、それに餞別代りに騎士団からもらった甲冑を馬に積み、とぼとぼと国を出たのです。ああ、これからどうすりゃいいんだ…。
なーんちゃって
わーい自由だ平和だ勝手気ままな旅だ!頼むよ、馬。目的地はダルメシア王国。え?なんでかって?
「なあ馬。悪いやつって世の中沢山いるんだね」
馬は返事をするようにヒヒンとなきました。
「まあお互い死なないように、なるべく穏やかに、静かに、ゆーっくりと行こうね」
馬はまたなきました。なんか楽しそうです。
でも夜になるとそうは言っていられなくなりました。森には魔物。山には山賊。そして野には凶暴な竜や野生動物、おまけに盗賊まで。まったくどんだけって感じです。
日中はそりゃステルスゴーレムがいるからいいんですが、問題は就寝時です。寝込みを襲われたらもうダメです。ぼくが命令しないとゴーレムは稼働しないんですから。
そういうわけで、またまた願いをしようと思います。まあさまざまな角度から考えて、ぼく自身が強くなることも、そして就寝中も随時それが発動できるスキルと思ったのですが、あいにくそういう都合のいいものは思い浮かびません。実際にイメージがないと発動条件を満たさないのです。つまりぼくを不死身にしてとお願いしても、不死身の定義がつまり曖昧だからです。生命維持なのか頑丈な体なのか確固たるイメージがないからです。
これは困りました。
なので今回もゴーレムくんのように、なにかに頼るのが一番と考え決定しました。
というわけで、今は快適な睡眠を取れるし、それはあることも付随されていたので、すこぶる快適なニート旅になりました。
それはどういうことかと説明する前に、今回のぼくのややこしい立場を説明しなければなりません。
「と言うわけだ。今のところ、君が一番適任とこのガイリアス宰相も申しておる」
王はそうおっしゃいました。
実はあの日、宰相に連れられ王に密かに謁見していたのです。宰相はぼくのことを変に誤解して、ついに驚くべき判断をしやがりました。
ぼくをダルメシア王国への工作員、つまりスパイとして派遣しようと言うものでした。
冗談じゃない!と、最初は思いましたが、そこは悪人宰相です。ぼくが兄が大好きだと言うことを逆手に取られ、つまりまた人質というわけです。
「工作員て何やればいいんです?ぼくそういうのやったことありませんですけど」
それには宰相のヴィクトリア・ガイリアスが答えた。
「なに大したことじゃない。君も知ってる通りあの国はライネントルフ教と強い結びつきがある。君の任務はその関係をこじらせ、できれば絆を断ち切ることだ」
「そんなことぼくにできるわけないじゃないですか!」
「きみがわたしに見せた腕前は本物だ。何か不思議な力だった」
「あんたそれを確かめようと、あんなおかしな挑発を?」
宰相はにっこり笑った。
「さんざん怒らせようとしたんだが、逆にこっちが怒ってしまった。あれは不覚だったね。だがそうして君の実力も確かめられた。きっと期待通りのことを成し遂げてくれると信じている。それはわが国王もわたしも、そして君の兄さんも…」
「じゃあ、成功したらお願いを聞いてくれますか?」
それには王がうなずいた。
「いいだろう。何なりと言うがいい」
「では、ぼくにあのミントン地区を返していただけませんか?」
「ああ、あの奇跡、だな。そもそもおまえがあのようにしたところだ。異存はない。所領として取らせよう。しかしそれっぽっちでいいのか?」
「それだけあればぼくのニート生活に充分ですから」
「ニート生活?なんじゃ、それは」
「あ、いいんです。気にしないでください」
王と宰相はポカンとしていた。
そういうわけで、ぼくはリスタリアの工作員としてダルメシア王国に潜入するのです。でもまあ、いつまでやれとは言われていないし、好きなようにしていいと言われたので、これはある意味お気楽なものだともいえます。活動資金はたんまりもらえたし、向うにはすでに誰かが潜入していて、秘密組織を作っているって聞きました。まあその人たちを利用するのもありですね。
でもまさか、異世界に転生してスパイになるとは思いませんでした。兄には本当に心配かけて申し訳ないのですが、本当のことを言えず辛かったです。それからラフレシア。すっごく最初は怒って、そしてすっごく悲しんだようです。国を出る日、ついに見送りには来てくれませんでした。そのかわりアリアが来てくれました。ぼくと一緒に行きたいとアリアは言いましたが、ぼくはことわりました。
だってニートは誰にも縛られない生き方なんです。こんなところで一人の女の子に縛られてどうするのかっていう話です。それにアリアはいい子です。ぼくはこの先どうなるかわからないし、いやニートになるのは決定ですけど、そんな男じゃなくもっといい人と幸せになるべきだと思いました。
でも可愛くていい子だったなー。あ、ラフレシアもだけど。まあちょっと生意気だったけどね。
さあ旅を続けよう。ダルメシア王国まではまだ遠い。街道を行くと目立つので、森を行きます。魔獣がうじゃうじゃいるけどぼくは平気。
ちなみに前に獲得した錬金術師は、取り消さない限りずっとそれを保持するようなので、いろいろなものを作りました。とくに野宿をする時は、お風呂を作ったり、簡単なテントを作りました。あと、暇なので荷馬車を作ったりしてました。重い物を引かせると馬がかわいそうなので、荷馬車は電動の駆動をつけています。荷馬車の幌が太陽電池になっているので、大した出力は出ないですが、それでも馬は楽なはずです。
森の中は荷馬車は走りづらいんですが、ステルスゴーレムくんが道を瞬く間に作ってくれるので大変ありがたいです。でもゴーレムってなにで動いてるんだろう?エネルギーは何なのか、よくわかりません。まあそれでもぼくの後ろには真っすぐな道ができているので、逃げるのは便利ですね。
「ちょっと、少しは休みましょうよ」
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「あらやだ、あたしがどれだけ苦労してこの辺りを探っているのかわからなかったの?」
「わかるわけないじゃん。寝てるとこしか見てないし」
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「なにが素人だよ。わけわかんないよ」
「つーん」
超むかつく。こいつはミローネ。精霊だ。なぜこんなやつがいるのかと言えば、これも話は前に戻らなきゃならなくなる。
初めての野営のときだ。ぼくは薪を集めたり火を起こそうとしてみたり、まあ大変だった。だってキャンプってしたことがなかったから。転生前はぼくは勉強と仕事しかしてこなかった。まあ女の子と遊んではいたけど、それ以外の遊びはしたことがない。だから実はテントも設営できないんだ。
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この世界で強力な力と言えば魔法だ。そしてそれを自由に使いこなせるのが魔法使いだ。では魔法使いになるか?答えはNOだ。この世界は魔法と魔法使いは管理されている。つまり勝手になれないのだ。
ならどうする?その答えはある。
精霊使いだ。精霊とは霊体で存在する知的生命体で、現世とは違う次元にいる者とされる。召喚術などでそれを召喚し、隷属させたり契約によってその力を振るうものだという。つまり強そうな精霊を呼び出し使役するのだ。あのゴーレムくんのように。
とはいっても精霊は未知数だ。錬金術と違ってこっちのイメージ通りにはならないかもだ。たとえ召喚に成功してもとんでもなく弱い精霊とか、逆にとんでもない凶暴なやつだったらえらいことだ。
だが今はそんなことを言っている場合じゃない。魔獣どもはどうやらぼくの存在に気がついたようだ。ぼくは決心をせざるを得ない状況だ。もうどうなっても知らん。とんでもないのが出たら暴れさせてその隙に逃げる。弱いやつだったらそいつを囮にしてこれも逃げる。いいんです。ニートに責任能力を求めてはいけないのです。責任ないのがニートなんですから!
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