転生ニートは迷宮王

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第2章

54 一般冒険者

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 地下21階はめちゃくちゃなことになっていた。具体的に言えばサボテンまみれ。『カクタス:300/300』ってなんだよ。増えすぎだろ。
 カクタスってのは俺が唯一配置してたサボテンの魔物だ。ほら、砂漠と言ったらやっぱサボテンってイメージだし……。
 お陰で見渡す限りカクタスまみれ。砂漠の階層とは言え一応迷宮だから城跡っぽい感じにしてあるんだが、城の中も勿論カクタスまみれだ。
 ……まぁこの際そこら中にカクタスがいるのは良しとしよう。緑色は目にいいって言うし。他の魔物も配置すれば多少は落ち着くだろ。
 
『サンドワーム:3,000DP』
 
 ほー、この芋虫、それなりに高いな。確かミノっちも同じくらいのDPだったし。
 っと、そういやこいつもミノっち同様身体がデカかった……まぁ壁壊して突っ込んできたり地面から突然捕食してきたりするのも面白いか。索敵とかいうスキルがあるならそれでなんとかしてくれ。
 
『スコルピオ:2,000DP』
 
 THE・サソリ。身体茶色っぽいけど暑くないのかね?
 DPはサンドワームより安い。まぁこっちはサイズより数って感じだしな。コカトリスと一緒か。
 進化次第で毒――付与される状態異常も変化するらしい。混乱とか使うスコルピオ出てきたら面白いぞ、間違いない。暑すぎてキレてる探索者には、単純な猛毒よりもそういうやつの方が効くだろうしな。
  
 罠はどうするか。折角ルセペ城を意識した部分もあることだし、ミイラとかそういう系の魔物が大量に湧くトラップでも仕掛けるとしよう。ゴーストとネタが被る? 知らん。別モンだ別モン。
 流砂とかも楽しそうだ。扉を開けたら地下に吸い込まれて……待てよ? それで階層移動ってのもつまらんし、砂漠地帯は階層毎に地下もセットで付けてみるか。
 地下は地下でアンデッド系の巣窟にするのもいいな。どうせならここに裏ボスで死霊術士ネクロマンサーとかも配置したい……が、500万DPは流石になぁ。先は長そうだ。
 
死霊術師ネクロマンサーの魂石:50万DP』
 
 なんだなんだ。城と同じ値段の石。怪しい壺みたいな?
 
『アンデッド系魔物を周囲に自動で生み出し、また一定範囲内の魔物をランダムに即時蘇生させる』
 
 ほうほうほうほう! 要するに意思のない死霊術師ネクロマンサーってことか。……石だけに……なんでもない。
 それはともかくとして、結構いいんじゃないか? 現状ボスとして配置とかは考えてなかったし、DPの方も聖騎士が迷宮にいただけでかなり増えてるし。
 よし、一個だけ買って地下ステージは統合しよう。転移門ゲートを設置して元の場所に戻れるようにしておけばいい。入った場所の記憶くらい、設定とか少しいじればなんとかなるだろ。
 
『砂漠地帯(地下)の拡張が完了しました。「死霊術師ネクロマンサーの魂石」の配置が完了しました。転移門ゲート(カスタム)の設置が完了しました』
 
 おいおいヤバいぞこの直感操作! 面倒な諸々を考えなくて良いっての、最高すぎないか? 神アプデとかいうレベルじゃないぞ? いくら貢げばいいんだ?
 
『砂漠地帯(地下)の拡張は規定面積内のためDP消費はありません』
  
 なるほどな。つまりその分のDPで地下を充実させろと。任せろ。
 とりあえずアンデッドの攻撃には毒とか付与しよう。オプションで毒付与した武器持たせればいいか。
 ちなみに何が生まれんの?
 
『スケルトン、グール、リッチ、マミー、ゴースト、ウィスプなどから完全ランダムで生み出されます。魔物数上限は300』
 
 色々いるもんだな。まぁ何も全員が状態異常付与しなくてもいいし、一番安い剣に……オプションはランダムでもいいか。オプション込みで作るとDPも馬鹿にならないし。
 合計にしろ300はデカい。宝箱を開けたら魔物が出てくるとかもやるか。
 さて、次は罠の配置だ。爆裂罠エクスプロードトラップを踏んだら落盤が起きるようにしておこう……ん?
 
 これ、毎回同じとこに落ちてたらヌルゲーになるな?
 いくら地下マップが広いと言っても所詮は一階層分程度。こうなったら伝説の裏技を使うしかない。入るたび配置が変わるっていうアレだ。
 ……ありますよね?
 
『砂漠地帯(地下)をランダム階層に設定しますか?』
 
 イエスだ。極力この機能は使いたくなかったが仕方がない。罠やら魔物やら宝箱やらのある程度の配置は決められるし、そのあたりは微調整していこう。

 あとは……ボスか。それっぽい石像とかでもいいが今じゃないな。サソリがいるんだしサソリの尾を持つ獅子――マンティコアとかいかかでしょう。
 
『マンティコア:50,000DP』
 
 うーん、ゴーレムが10万だったしここは少し奮発して三体くらい置いとくか。決定、と。
 地下30階層はマンティコア三兄弟用に作り替えておこう。
 さて、あとは武器を作るだけ――
 
『侵入者です。数は三。音量自動調節を実行します。範囲を侵入者周囲に設定しました』
 
 まぁタイミング的には悪くないな。
 
(ゼーヴェ、探索者だ。ゴーストを配置につかせてくれ)
(承知しました)
 
 さっきの聖騎士か? いや、早すぎる。あいつらはレルアがシレンシアまで送ってくれたらしいし、また別の探索者だろう。
 モニタモニタ。ウィンドウオープン!
 
『侵入者周囲の映像を映し出します』 
 
 こんな適当な掛け声でいいのか。なんでもありだな。
 見たところ普通の冒険者ってとこだな……遂にこの迷宮が一般冒険者の耳に? 俺は今感動している。
 
「ちょっとアレン! もっと慎重に――」
「おいおい俺はCランクだぜ? 今更ゴーストごときにやられるかってんだ」 
「しかし、アリシア君の言うことにも一理あるのではないかな……騎士団の報告によれば、ここは迷宮だとかいう話じゃないか」
 
 アレンとかいうガタイがいい銀髪が、両手剣でゴーストをバッタバッタとなぎ倒していく。騎士団より対人に慣れてるのか? 傭兵として戦争してたとかかな。
 
「わかってないっすねぇ、俺は勇者様から『銀狼』って二つ名を頂いたんだ。既にBランク……いや、Aランク相当の実力があると言っても過言じゃない!」
「いや、過言じゃない……? 勇者様勇者様って言うけど、あんなのタダのガキじゃん。私より年下かも」 
 
 アリシア若いな。ツインテールだから余計そう見えてるだけかもしれないが、20代前半くらいな気がする。
 つか遠足じゃないんだぜ? 武器は弓だけ、着てるのもノースリーブ一枚っぽいし、うっかり死にそうで怖い。動きやすさ重視っつっても流石に危なすぎるだろ。
 ……まぁ、ゴスロリのくせにミノっち瞬殺するようなやつもいるしなんとも言えないけど。
 
「アリシア君の言う通りだ。勇者様に認められたからといって、驕っていてはいけないよ」
「へーへー、ラーさんがそういうなら」
 
 見たところアレンが前衛、アリシアとラーさんが後衛ってとこか。アリシアが弓メインでラーさんは魔術メインかな? まぁ安定したパーティっぽいな。ラーさんがちょくちょく鼓舞エンクルとかのバフかけてるし、慣れたパーティなんだろう。
 
「きゃっ……」
「おらおらおらおらぁ!」

 もう地上3階か。この分だと上層の魔物は相手にならなそうだ。
 少なくとも地下9階――ワイズスライムの階くらいまではノンストップで行かれる気がする。 
 
「ちっ、行き止まりかよ」
「うん、少しあの玉座が怪しいね。私が調べてみよう」
 
 前衛を張ってるのはアレンだが、リーダーはラーさんっぽいな。多分一番年上だし。
 
「あれ? ラーさんが消えた!?」
「ラストルさーん? 玉座に触れた瞬間に消えたように見えたけど」
  
 まぁ武器作りでもしながらのんびり眺めておこう。もしかすると聖騎士より先に進まれるかもしれないしな。
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