18 / 54
3章
ナンパじゃない(環奈視点)
しおりを挟む
ー環奈視点ー
はっきり言ってしまえば、私は男性が苦手です。
体をいやらしい目つきで見られたりするたりすることが多くあまりいい気になれません。
中には何を勘違いするのか、仲良くもないのにすぐに馴れ馴れしくしてきたり、ボディタッチをしてくる人さえいます。もちろんそんな方は少数ですが。
そのように経験的に男性には不快にされることが多く、いつしか私は男性との接触は最低限にして生活をするようになっていました。
そして、気づけばこれまで恋愛というものを経験することなく…。
最近では友達にも心配されることが多くなってきてしまいました。
『環奈、恋は絶対したほうがいいよ!相手のことを考えるだけでドキドキしてしまったり、気がついたら、ついその人を考えてしまったり…。一緒にいるだけで心がすごく満たされるの。
きっと環奈の前にもそういう人が現れるから、もしそういう風に感じる男に会ったら絶対に逃しちゃダメだよ!』
友達にはそう言われましたが、私が本当にそんなふうに感じる人が本当に出てくるのでしょうか…?
正直なところ私の前にはそういう人は現れないだろうなと考えていました。
ーー
そんなある日。
土曜日に部活に行く時のことです。
「君可愛いね~。どう、俺とお茶でも行かない?いい店知ってるんだよ」
「…」
「あ、君ハンカチ落としたよ!おっと違った?でもせっかくこうして知り合えたんだからどこか遊びに行かない?」
「………」
通学路で平日にナンパされることは少ないですが、土曜ともなるとこういう類の人に遭遇しやすくなります。
その日は特に声をかけられる事が多く、イライラしていました。
こうして下心が透けて見える人は本当に苦手です。
そしてまたしても背後から声をかけられます。
「おい、何か落としたぞ」
「…」
またですか…。
こういう輩は無視するに限ります。
「君、財布。財布落としたよ」
「…」
「ちょっと、ロングヘアーの君!財布落としたよ!」
「……」
「財布!財布落としたって!」
「っ…!」
しつこいです!
「いい加減にしてください!もうその手のナンパは聞き飽きました!迷惑です!」
くるりと振り返るとうちの学校の制服を着た男子が一人。
迷惑であると怒鳴ったのですが、彼は本当に私の財布を拾ってくれていました…。
顔から火が出るほど恥ずかしい…。
慌てて怒鳴ってしまったことを釈明するも、彼は呆れた顔をして私に財布を渡すとそのままスタスタと歩いて行ってしまいます。
よくよく考えれば、私は彼にお礼の一言も言っていませんでした。
彼が呆れるのも当然です。
「待ってください!あの、何かお礼を!」
慌てて追いかけますが、彼は私と関わりたくないのか「いらない」とただ一言。
色々な男性に声をかけられてきましたが、どんな人でも私に何かしら私に関心を持っていたので
彼のように下心が一切見えない人は初めてでした。
そんな人にお礼も言わずに怒鳴ってしまったのかと思うと後悔しかありません。
私の馬鹿!
せめてお礼を!せめて名前でも教えてください!!
と必死に言い募ると観念したように彼はようやく名前を教えてくれた。
「村井。村井優斗です」
村井優斗君。
その名前はそれからの私の人生で決して忘れることのない名前でした。
今思えば、私は自分で気付いていなかっただけでこの時から既に彼に特別な感情を抱いていたように思います。
はっきり言ってしまえば、私は男性が苦手です。
体をいやらしい目つきで見られたりするたりすることが多くあまりいい気になれません。
中には何を勘違いするのか、仲良くもないのにすぐに馴れ馴れしくしてきたり、ボディタッチをしてくる人さえいます。もちろんそんな方は少数ですが。
そのように経験的に男性には不快にされることが多く、いつしか私は男性との接触は最低限にして生活をするようになっていました。
そして、気づけばこれまで恋愛というものを経験することなく…。
最近では友達にも心配されることが多くなってきてしまいました。
『環奈、恋は絶対したほうがいいよ!相手のことを考えるだけでドキドキしてしまったり、気がついたら、ついその人を考えてしまったり…。一緒にいるだけで心がすごく満たされるの。
きっと環奈の前にもそういう人が現れるから、もしそういう風に感じる男に会ったら絶対に逃しちゃダメだよ!』
友達にはそう言われましたが、私が本当にそんなふうに感じる人が本当に出てくるのでしょうか…?
正直なところ私の前にはそういう人は現れないだろうなと考えていました。
ーー
そんなある日。
土曜日に部活に行く時のことです。
「君可愛いね~。どう、俺とお茶でも行かない?いい店知ってるんだよ」
「…」
「あ、君ハンカチ落としたよ!おっと違った?でもせっかくこうして知り合えたんだからどこか遊びに行かない?」
「………」
通学路で平日にナンパされることは少ないですが、土曜ともなるとこういう類の人に遭遇しやすくなります。
その日は特に声をかけられる事が多く、イライラしていました。
こうして下心が透けて見える人は本当に苦手です。
そしてまたしても背後から声をかけられます。
「おい、何か落としたぞ」
「…」
またですか…。
こういう輩は無視するに限ります。
「君、財布。財布落としたよ」
「…」
「ちょっと、ロングヘアーの君!財布落としたよ!」
「……」
「財布!財布落としたって!」
「っ…!」
しつこいです!
「いい加減にしてください!もうその手のナンパは聞き飽きました!迷惑です!」
くるりと振り返るとうちの学校の制服を着た男子が一人。
迷惑であると怒鳴ったのですが、彼は本当に私の財布を拾ってくれていました…。
顔から火が出るほど恥ずかしい…。
慌てて怒鳴ってしまったことを釈明するも、彼は呆れた顔をして私に財布を渡すとそのままスタスタと歩いて行ってしまいます。
よくよく考えれば、私は彼にお礼の一言も言っていませんでした。
彼が呆れるのも当然です。
「待ってください!あの、何かお礼を!」
慌てて追いかけますが、彼は私と関わりたくないのか「いらない」とただ一言。
色々な男性に声をかけられてきましたが、どんな人でも私に何かしら私に関心を持っていたので
彼のように下心が一切見えない人は初めてでした。
そんな人にお礼も言わずに怒鳴ってしまったのかと思うと後悔しかありません。
私の馬鹿!
せめてお礼を!せめて名前でも教えてください!!
と必死に言い募ると観念したように彼はようやく名前を教えてくれた。
「村井。村井優斗です」
村井優斗君。
その名前はそれからの私の人生で決して忘れることのない名前でした。
今思えば、私は自分で気付いていなかっただけでこの時から既に彼に特別な感情を抱いていたように思います。
0
良かったら、感想とお気に入り登録をお願いします♪( ´▽`)励みになります!
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる