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第2章 大聖堂都市『イストランダ』史徒文書館 7つの教会 編
20.聖ヨハネウス史徒文書館② サンマルコの書斎部屋
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サンマルコはエレベーターの最上階、36階のボタンを押した。エレベーターはどんどんと昇っていく。アイリスは、外観の建物は多くて3~4階だったことを不思議に思い、エルにこっそりと訊ねた。
「――エル…、この建物、36階もあった?」
「3階建てなんだけど、やっぱり蔵書数が多いから。――増築を繰り返しているんだよ」
僕はよく迷子になるんだけどね、と言うエルの答えは、やっぱり的を射たような、射ていないような…
エルに訊ねたことを後悔しながら、アイリスはリアードに矛先を変えた。
「――リア…」
「……おれは、迷子にはならないけどな」
リアードの答えに、アイリスは、不思議は不思議のままでよい、――ということにした。
エレベーターは36階のランプを点滅させて止まった。
「降りるのじゃ――我輩の書斎部屋じゃ」
エレベーターを降りた先に、扉が現れた。扉の左側には、大天使ミカエルの石像が立っている。
近づくと、ミカエル像はエルたちに弓矢を向けてきた。
「この者たちは、通して構わぬ」
『――しかし、第1史徒サンマルコよ、それは…』
「――よいのじゃ。どうしても、この者らに見せねばならぬものが、ある」
サンマルコが言うと、ミカエル像は弓矢を降ろし、もとの石像の形状へと戻った。
エルやリアードも、第1史徒の書斎部屋へ入るのは、初めてだった。
そもそも、第1史徒の書斎部屋に入れるのは、歴代の第1史徒のみだった。そこには、第1史徒にのみ引き継がれ、保管されている書物が、多数あるのだと、半ば噂で聞いたことがあった。
そんな秘密の書斎部屋に入れることに、エルの胸はドキドキと高鳴っていた。
サンマルコが書斎部屋の扉を開く――
まず目に入ってきたのは、部屋の中心に置かれた古い大きな地球儀で、不思議なことに、天空と海洋が動いていた。おそらく、今の地球と同じ動きをしているのだろう。
そして、部屋を円形に取り囲むように設置された、巨大な本棚に保管された、おびただしい数の書物だ。いくつかの本棚には、扉がついている上に、厳重な鍵がかけられている。書物は、先ほどロビーにあった『存在ある書物』もあれば、半透明に光る『記憶の書物』も、そこかしこに収められていた。
「――ここにある書物は、歴代の第1史徒が護ってきた――この国の、重要機密文書じゃ」
◆
「――そこのソファへ腰掛けるがよい」
サンマルコに促されて、3人は書斎机の前に設置されたソファに腰掛けた。
サンマルコは、鍵のかけられた本棚に近づき、魔法の杖先を鍵穴に向けて、唱えた。
「『――我、所望するは≪大罪の黙示録≫序章ならびに第1編、――出でよ。』」
――すると、サンマルコの手の中に、1冊の古書が収まった。
「――そなたらが昨晩、目の当たりにした書物と、同じじゃな?」
確認するまでもなく――それが間違いなく『大罪の黙示録』だと、エルは察知した。
昨晩、聖カルメア教会の地下で、ガレリア司祭が手にしていた書物と同じだ――茶黒い革表紙に金細工で周囲に月の満ち欠け、その中心に神の目。――今すぐここから逃げ出したい…そう思わずにはいられないような、禍々しい魔力を放つ書物。
エルは頷き、無意識に隣のリアードの手を、ぎゅっと握った。リアードは、サンマルコをきっと睨んだ。
「……おい、じいさん。――その本が、なんでここにあるんだよ」
「――ふむ。先ほど、聖女帝マリアの前で話したとおりじゃがな。順を追って説明しようぞ」
サンマルコは、自身の白髭を撫でながら語った。
「――この『大罪の黙示録』は、いかにも、そなたらが聖カルメア教会で聞いたとおり、我らの神、聖ヨハネウス直筆の書じゃ。
聖ヨハネウスが記したという証拠は、聖女帝マリア・テレアに向けて聖ヨハネウスが書いた書簡の筆跡と一致することからも、間違いないものじゃ」
――自分が仕える神、聖ヨハネウスとは…?
エルは、何かの間違いであってほしい……と切に願っていたが…その願いは、あっけなく打ち砕かれた。
「『大罪の黙示録』の序章と第1編は、今からちょうど120年前――偉大なる史徒ガンダレフが、第11史徒であった10歳のときに、ここ大聖堂都市イストランダの史徒文書館内で発見したのじゃ」
「えっ?史徒ガンダレフって言ったら…」
「――エルよ、そなたはガンダレフが天に召された日に、この世に誕生した…ガンダレフの生まれ変わりじゃ。
我輩は、計り知れぬ大いなる力が働いていると考えておる」
――そなたには酷な話かもしれんがのう、と付け加え、サンマルコは続けた。
「――ここにある『大罪の黙示録』序章には、こう書かれておる
――『我は、この国に生まれしすべての民の幸福を願う。民の罪を赦す。この国には、民の幸福のために、我が背負う大罪が存在する。ここに我が大罪を懺悔する。すべての罪の罰は我に――』と。
つまりは、そこに記された大罪は、神である聖ヨハネウスが罰を負い、民の幸福のために神が背負う罪じゃと…その大罪は神の名のもとに赦された、ということ、じゃ。
――そして、このとおり、第1編には聖ヨハネウスが背負いし、1つ目の大罪が記されておった……」
サンマルコの話に、3人は動揺を隠せなかった。
神が罪を背負い、人々の幸福のために罰を受けた。――つまりは、その罪は神に赦された『世界の真理』ということだ。
「……それで、第1編には、どんな大罪が書かれていたの?」
エルが、恐る恐る訊ねた。
「――それは、教えることができぬ。歴代の第1史徒が護ってきたこの国の秘密なのじゃ。我輩も、先の第1史徒であったモリーヌから引き継いでおる。他の史徒も、このことは――一切知らぬのじゃ」
『大罪の黙示録』なる聖ヨハネウス直筆の、罪の懺悔書が存在する、ということすら、教皇庁のごく一部と、歴代の第1史徒以外には、秘匿にされている。
「――序章には、『大罪の黙示録』を各編ごとに裁断したこと――そして、聖ヨハネウスの亡き後、各編を、それぞれの編に記されし罪を司るに相応しい、この国の何処かの教会や修道院に隠すことも、記されておった。
――そして昨夜、新たな展開があったのじゃ。聖カルメア教会で発見されたのが、第7編であった、ということ…つまりは、第1編と第7編の間の、残り5編が、確実に存在しておる。
――じゃが、それがどこに隠されているのかは…わからぬのじゃ」
一息を空けて――サンマルコは続けた。
「反十字教結社『ハコブネ』なる組織は……120年間、この国のごく一部の人間で護ってきた国家重要機密である、『大罪の黙示録』の存在を知っておった。
そして、第7編はやつらの手に渡っておる。――これは、聖ヨハネウス十字教国、始まって以来の危機じゃ。――聖ヨハネウス教の教えを、根幹から揺るがしかねぬ。
何としても、やつらよりも先に、残りの5編を、探し出す必要があるのじゃ」
――サンマルコの語った真実の、あまりの衝撃に言葉が見つからず、しばしの間、沈黙が続いた。
エルは――自分やリアード、アイリスが、歴史の激動に巻き込まれるのを感じた。もはや抗うことはできない――
「――エル…、この建物、36階もあった?」
「3階建てなんだけど、やっぱり蔵書数が多いから。――増築を繰り返しているんだよ」
僕はよく迷子になるんだけどね、と言うエルの答えは、やっぱり的を射たような、射ていないような…
エルに訊ねたことを後悔しながら、アイリスはリアードに矛先を変えた。
「――リア…」
「……おれは、迷子にはならないけどな」
リアードの答えに、アイリスは、不思議は不思議のままでよい、――ということにした。
エレベーターは36階のランプを点滅させて止まった。
「降りるのじゃ――我輩の書斎部屋じゃ」
エレベーターを降りた先に、扉が現れた。扉の左側には、大天使ミカエルの石像が立っている。
近づくと、ミカエル像はエルたちに弓矢を向けてきた。
「この者たちは、通して構わぬ」
『――しかし、第1史徒サンマルコよ、それは…』
「――よいのじゃ。どうしても、この者らに見せねばならぬものが、ある」
サンマルコが言うと、ミカエル像は弓矢を降ろし、もとの石像の形状へと戻った。
エルやリアードも、第1史徒の書斎部屋へ入るのは、初めてだった。
そもそも、第1史徒の書斎部屋に入れるのは、歴代の第1史徒のみだった。そこには、第1史徒にのみ引き継がれ、保管されている書物が、多数あるのだと、半ば噂で聞いたことがあった。
そんな秘密の書斎部屋に入れることに、エルの胸はドキドキと高鳴っていた。
サンマルコが書斎部屋の扉を開く――
まず目に入ってきたのは、部屋の中心に置かれた古い大きな地球儀で、不思議なことに、天空と海洋が動いていた。おそらく、今の地球と同じ動きをしているのだろう。
そして、部屋を円形に取り囲むように設置された、巨大な本棚に保管された、おびただしい数の書物だ。いくつかの本棚には、扉がついている上に、厳重な鍵がかけられている。書物は、先ほどロビーにあった『存在ある書物』もあれば、半透明に光る『記憶の書物』も、そこかしこに収められていた。
「――ここにある書物は、歴代の第1史徒が護ってきた――この国の、重要機密文書じゃ」
◆
「――そこのソファへ腰掛けるがよい」
サンマルコに促されて、3人は書斎机の前に設置されたソファに腰掛けた。
サンマルコは、鍵のかけられた本棚に近づき、魔法の杖先を鍵穴に向けて、唱えた。
「『――我、所望するは≪大罪の黙示録≫序章ならびに第1編、――出でよ。』」
――すると、サンマルコの手の中に、1冊の古書が収まった。
「――そなたらが昨晩、目の当たりにした書物と、同じじゃな?」
確認するまでもなく――それが間違いなく『大罪の黙示録』だと、エルは察知した。
昨晩、聖カルメア教会の地下で、ガレリア司祭が手にしていた書物と同じだ――茶黒い革表紙に金細工で周囲に月の満ち欠け、その中心に神の目。――今すぐここから逃げ出したい…そう思わずにはいられないような、禍々しい魔力を放つ書物。
エルは頷き、無意識に隣のリアードの手を、ぎゅっと握った。リアードは、サンマルコをきっと睨んだ。
「……おい、じいさん。――その本が、なんでここにあるんだよ」
「――ふむ。先ほど、聖女帝マリアの前で話したとおりじゃがな。順を追って説明しようぞ」
サンマルコは、自身の白髭を撫でながら語った。
「――この『大罪の黙示録』は、いかにも、そなたらが聖カルメア教会で聞いたとおり、我らの神、聖ヨハネウス直筆の書じゃ。
聖ヨハネウスが記したという証拠は、聖女帝マリア・テレアに向けて聖ヨハネウスが書いた書簡の筆跡と一致することからも、間違いないものじゃ」
――自分が仕える神、聖ヨハネウスとは…?
エルは、何かの間違いであってほしい……と切に願っていたが…その願いは、あっけなく打ち砕かれた。
「『大罪の黙示録』の序章と第1編は、今からちょうど120年前――偉大なる史徒ガンダレフが、第11史徒であった10歳のときに、ここ大聖堂都市イストランダの史徒文書館内で発見したのじゃ」
「えっ?史徒ガンダレフって言ったら…」
「――エルよ、そなたはガンダレフが天に召された日に、この世に誕生した…ガンダレフの生まれ変わりじゃ。
我輩は、計り知れぬ大いなる力が働いていると考えておる」
――そなたには酷な話かもしれんがのう、と付け加え、サンマルコは続けた。
「――ここにある『大罪の黙示録』序章には、こう書かれておる
――『我は、この国に生まれしすべての民の幸福を願う。民の罪を赦す。この国には、民の幸福のために、我が背負う大罪が存在する。ここに我が大罪を懺悔する。すべての罪の罰は我に――』と。
つまりは、そこに記された大罪は、神である聖ヨハネウスが罰を負い、民の幸福のために神が背負う罪じゃと…その大罪は神の名のもとに赦された、ということ、じゃ。
――そして、このとおり、第1編には聖ヨハネウスが背負いし、1つ目の大罪が記されておった……」
サンマルコの話に、3人は動揺を隠せなかった。
神が罪を背負い、人々の幸福のために罰を受けた。――つまりは、その罪は神に赦された『世界の真理』ということだ。
「……それで、第1編には、どんな大罪が書かれていたの?」
エルが、恐る恐る訊ねた。
「――それは、教えることができぬ。歴代の第1史徒が護ってきたこの国の秘密なのじゃ。我輩も、先の第1史徒であったモリーヌから引き継いでおる。他の史徒も、このことは――一切知らぬのじゃ」
『大罪の黙示録』なる聖ヨハネウス直筆の、罪の懺悔書が存在する、ということすら、教皇庁のごく一部と、歴代の第1史徒以外には、秘匿にされている。
「――序章には、『大罪の黙示録』を各編ごとに裁断したこと――そして、聖ヨハネウスの亡き後、各編を、それぞれの編に記されし罪を司るに相応しい、この国の何処かの教会や修道院に隠すことも、記されておった。
――そして昨夜、新たな展開があったのじゃ。聖カルメア教会で発見されたのが、第7編であった、ということ…つまりは、第1編と第7編の間の、残り5編が、確実に存在しておる。
――じゃが、それがどこに隠されているのかは…わからぬのじゃ」
一息を空けて――サンマルコは続けた。
「反十字教結社『ハコブネ』なる組織は……120年間、この国のごく一部の人間で護ってきた国家重要機密である、『大罪の黙示録』の存在を知っておった。
そして、第7編はやつらの手に渡っておる。――これは、聖ヨハネウス十字教国、始まって以来の危機じゃ。――聖ヨハネウス教の教えを、根幹から揺るがしかねぬ。
何としても、やつらよりも先に、残りの5編を、探し出す必要があるのじゃ」
――サンマルコの語った真実の、あまりの衝撃に言葉が見つからず、しばしの間、沈黙が続いた。
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