転生特典:錬金術師スキルを習得しました!【更新停止中】

雪月夜狐

文字の大きさ
上 下
86 / 112
第14章:精霊の呼び声と新たなる使命

第84話 精霊の祭壇と目覚める闇

しおりを挟む
優馬たちはついに「精霊の祭壇」に到着した。そこは森の奥深くにあり、古代の力が満ち溢れる神秘的な場所だった。大きな石柱が並び、中央には精霊の力を宿すとされる水晶が輝いている。その水晶は優しい光を放っていたが、どこか不安定な様子が感じられた。

リリアは精霊石を掲げ、精霊たちの声に耳を傾けた。

「精霊たちが言っています……この場所にある力が、何かによって乱されていると。そして、その原因は“闇”にあると」

セリーヌも祈るように目を閉じ、精霊の気配を感じ取ろうとしていた。だが、その表情には不安が浮かんでいる。

「この場所、闇の力がとても強いです……私が幼い頃に触れた闇の気配に似ているかも……」

その言葉に、カイが眉をひそめ、慎重な表情で周囲を見回した。

「ということは、この場所に眠る闇の力が精霊たちの安息を乱しているのかもしれないな。我々がここに来たのは偶然ではないということだ」

優馬はセリーヌの肩に手を置き、励ますように微笑んだ。

「大丈夫だ、セリーヌ。俺たちが一緒にいる。どんな闇があっても、精霊たちと仲間たちの力で乗り越えられるさ」

セリーヌは少し安心したように頷き、精霊たちの力を信じて決意を固めた。

突然、地面が震え、精霊の祭壇に立つ水晶が暗く染まり始めた。光を放っていた水晶からは、黒い霧がゆっくりと漏れ出し、闇の力が広がっていく。

霧の中から、低く冷たい声が響いた。

「……精霊の守り手たちよ……よくぞここまで来た。しかし、汝らの力でこの闇を浄化できると思うな……」

その声と共に、闇の中から巨大な影が現れた。それは精霊たちの力を乱す原因、かつて封じられていた「闇の精霊」そのものだった。黒い霧が渦巻き、その姿は不気味で、鋭い赤い瞳が優馬たちを睨みつけている。

アークが短剣を構え、冷静に身構えた。

「こいつが闇の精霊か……!いいだろう、俺たちが精霊の力でこいつを倒してやる!」

リオンも慎重に杖を構え、呪文の準備を整えながら仲間たちに言った。

「闇の精霊の力は強大です。全員で力を合わせなければなりません。リリア、セリーヌ、精霊たちの力を借りてください!」

リリアは精霊石を高く掲げ、精霊たちに力を託すように祈りを捧げた。

「精霊たち、私たちに力を貸してください!この闇の力を浄化し、再び安らぎを取り戻すために!」

リリアの精霊石が輝き、光の波動が闇の精霊に向かって放たれる。しかし、闇の精霊は嘲笑を浮かべるかのようにその光を吸収し、逆に黒い霧をさらに広げてきた。

カイが冷静に状況を見極め、分析した。

「この闇の精霊は、精霊の力を吸収している……普通の方法では浄化できないかもしれない。何か特別な方法が必要だ」

その時、セリーヌが一歩前に出て、決意に満ちた声で叫んだ。

「私が試してみます。私の中には、幼い頃に触れてしまった闇の力がまだ残っています。それを使えば、この闇の精霊に対抗できるかもしれません」

優馬は驚きながらもセリーヌの目を見て、その強い意志を感じ取った。

「セリーヌ……大丈夫か?闇の力に触れることは危険だ。もし君が闇に飲まれてしまったら……」

セリーヌは微笑み、力強く頷いた。

「優馬さん、あなたがいる限り、私は闇に飲まれたりしません。精霊たちと皆さんを信じて、この力を使います」

彼女は自分の中にある闇の力を引き出し、精霊の加護と共にそれを闇の精霊に向かって放った。その瞬間、セリーヌの体が薄い光に包まれ、闇の力が精霊の光と共鳴していく。

闇の精霊が不気味な声を上げた。

「なぜ……人間が我が力を使うというのか……!?」

セリーヌは闇の精霊に向かって強い意志を込めた声で言い放った。

「あなたが持つ闇の力は、私が精霊たちと共に浄化します。もう、精霊たちの安息を乱させはしない!」

セリーヌの放った光と闇が混じり合った力が、闇の精霊に命中し、周囲に激しい光が広がった。闇の精霊はその力に打ちのめされ、形を崩しながら叫び声を上げる。

「我が闇は永遠……いずれ、再び目覚めるだろう……だが、今は……」

闇の精霊は光に包まれ、霧のように消え去った。周囲の闇が晴れると、精霊の祭壇は再び穏やかな光に包まれ、精霊たちの安らぎが戻ってきたことが感じられた。

セリーヌは力を使い果たし、その場に膝をついて息を整えたが、安堵の笑みを浮かべていた。

「……よかった、精霊たちが安らげる場所を守ることができて……」

優馬は彼女のそばに駆け寄り、優しく肩に手を置いて微笑んだ。

「セリーヌ、ありがとう。君がいたからこそ、この闇を浄化できたんだ。精霊たちもきっと君に感謝している」

リリアもセリーヌに近づき、精霊石を握りしめながら語りかけた。

「精霊たちが、セリーヌさんを称賛しています。あなたの勇気と決意が、精霊の安息を守ったと」

カイやアーク、リオンもセリーヌに感謝の言葉を送り、コハクも優しく鼻先を彼女に寄せて、元気づけるように「ワン!」と吠えた。

こうして、優馬たちは新たな仲間セリーヌと共に、精霊の祭壇に平和を取り戻すことに成功した。精霊たちの力が安定し、彼らの心にはまた一つ新たな絆が結ばれたのを感じていた。

王都アルバロッサへの帰路に着いた彼らは、精霊たちの加護を感じながら、再び歩みを進めた。セリーヌの闇の力が今後どのように活かされるか、そして新たな試練が待ち受ける未来に何が起きるのか――

しかし、優馬たちは精霊たちとの絆と仲間たちへの信頼を胸に、また一歩未来への旅路を踏み出したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない

よっしぃ
ファンタジー
俺には僅かながら魔力がある。この世界で魔力を持った人は少ないからそれだけで貴重な存在のはずなんだが、俺の場合そうじゃないらしい。 魔力があっても普通の魔法が使えない俺。 そんな俺が唯一使える魔法・・・・そんなのねーよ! 因みに俺の周囲には何故か精霊が頻繁にやってくる。 任意の精霊を召還するのは実はスキルなんだが、召喚した精霊をその場に留め使役するには魔力が必要だが、俺にスキルはないぞ。 極稀にスキルを所持している冒険者がいるが、引く手あまたでウラヤマ! そうそう俺の総魔力量は少なく、精霊が俺の周囲で顕現化しても何かをさせる程の魔力がないから直ぐに姿が消えてしまう。 そんなある日転機が訪れる。 いつもの如く精霊が俺の魔力をねだって頂いちゃう訳だが、大抵俺はその場で気を失う。 昔ひょんな事から助けた精霊が俺の所に現れたんだが、この時俺はたまたまうつ伏せで倒れた。因みに顔面ダイブで鼻血が出たのは内緒だ。 そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。 精霊曰く御礼だってさ。 どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。 何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ? どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。 俺と地脈と繋がって、魔力が無限増殖状態だったようだ。 そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。 そんなある日、1人の女性が俺とパーティーを組みたいとやってきた。 ついでに精霊に彼女が呪われているのが分かったので解呪しておいた。 そんなある日、俺は所属しているパーティーから追放されてしまった。 そりゃあ戦闘中だろうがお構いなしに地面に寝そべってしまうんだから、あいつは一体何をしているんだ!となってしまうのは仕方がないが、これでも貢献していたんだぜ? 何せそうしている間は精霊達が勝手に魔物を仕留め、素材を集めてくれるし、俺の身をしっかり守ってくれているんだが、精霊が視えないメンバーには俺がただ寝ているだけにしか見えないらしい。 因みにダンジョンのボス部屋に1人放り込まれたんだが、俺と先にパーティーを組んでいたエレンは俺を助けにボス部屋へ突入してくれた。 流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。 俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。 因みに寝そべっていなくてはいけない理由は顔面と心臓、そして掌を地面にくっつける事で地脈と繋がるらしい。地脈って何だ?

処理中です...