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第14章：精霊の呼び声と新たなる使命

第83話 精霊の祭壇への道中とセリーヌの秘密

精霊の祭壇を目指し、優馬たちは新たな仲間セリーヌを加えて再び旅路に出た。王都アルバロッサを出発して数日、険しい山道や深い森を越えながら、彼らは目的地へと着実に歩みを進めていた。

道中、リリアがセリーヌに向かって微笑みながら話しかけた。

「セリーヌさん、あなたも精霊の声が聞こえるなんて素敵ですね。小さい頃からずっとですか？」

セリーヌは少し照れくさそうに微笑みながら、うなずいた。

「ええ、でも私の力はあなたほどではありません。リリアさんの精霊石の力には、遠く及ばないですから……」

その言葉に、リリアは優しく首を振って答えた。

「そんなことありませんよ。精霊の声を聞くことができるというだけで、十分すごいことです。きっと精霊たちも、あなたが仲間になってくれることを喜んでいます」

セリーヌは少し照れた表情でリリアに感謝しつつも、どこか浮かない表情をしているようにも見えた。優馬がその様子に気づき、セリーヌに優しく声をかけた。

「セリーヌ、何か心配事でもあるのか？　俺たちでよければ話を聞くよ」

セリーヌは一瞬躊躇したものの、意を決したように話し始めた。

「実は……私が精霊の声を聞く力を持っているのは、昔、闇に触れてしまったからなんです」

その告白に、一同は驚きと興味を持って彼女を見つめた。セリーヌは苦しげに続けた。

「幼い頃、私は闇の精霊の影響を受けてしまったことがあって……その影響で、精霊の声が聞こえるようになったのです。でも、闇の力がまだ私の中に残っているのではないかと不安なんです」

カイが冷静な目でセリーヌを見つめ、穏やかな声で答えた。

「なるほど……それが君の力の秘密か。しかし、過去の影があるからといって、必ずしもそれが悪いとは限らない。むしろ、それを乗り越えようとする君の意志こそが重要だ」

リオンも思索的な表情を浮かべ、セリーヌに向かって微笑んだ。

「闇の力が少しでも残っているとすれば、それはむしろ精霊を理解するための“架け橋”かもしれません。君が精霊と共に歩もうとしている限り、闇に支配されることはないでしょう」

セリーヌは仲間たちの言葉に励まされ、少し安心したように頷いた。

「皆さん、ありがとうございます……私も、精霊の守り手として歩み続けたいと思います」

その夜、彼らは森の中にキャンプを張り、星空の下で焚き火を囲んで休息を取ることにした。焚き火の明かりが揺れる中、優馬は浄化のポーションを作りながら、仲間たちに声をかけた。

「精霊の祭壇には、強力な精霊の力が眠っているらしい。そこで私たちがどんな試練に遭遇するか分からないけれど、今夜は体力をしっかり回復しておこう」

アークが豪快に手を叩き、リラックスした笑みを浮かべた。

「そうだな！せっかく新しい仲間もいるし、今夜はしっかりと楽しもうぜ。リリア、何か精霊とつながる方法とか、リラックスできる方法はないのか？」

リリアはアークの言葉に微笑みながら、精霊石をそっと掲げた。

「精霊たちの声を感じるためには、心を落ち着けて周りの自然に意識を向けることが大切です。皆さんも、少し目を閉じて耳を澄ましてみてください」

優馬や仲間たちはリリアの提案に従い、目を閉じて静かに耳を澄ました。夜の森には虫の鳴き声や葉擦れの音が響き、優しい風が彼らの頬を撫でていく。その中に、かすかに精霊たちの囁きが聞こえるような気がした。

セリーヌも目を閉じ、ゆっくりと呼吸を整えながらその声に耳を傾けた。やがて、彼女の表情に穏やかな笑みが浮かぶ。

「精霊たちが……私たちのことを見守ってくれています。闇の中でも、光がある限り、彼らは私たちと共にいてくれるみたいです」

優馬はその言葉に微笑み、仲間たちに向けて静かに言った。

「そうだな。精霊たちと共にいられる限り、どんな試練も乗り越えられる気がするよ。俺たちは一人じゃない――精霊と仲間たちがいる」

カイ、アーク、リオン、リリア、そしてセリーヌもその言葉に深く頷き、今夜の穏やかなひとときを静かに楽しんだ。

翌朝、彼らは朝陽を背に受けながら再び歩き始めた。目的地の「精霊の祭壇」が近づくにつれ、周囲の空気が少しずつ張り詰めてくるのを感じる。セリーヌが少し緊張した表情で仲間たちに告げた。

「精霊たちが……この先に何か強い気配があると感じているみたいです。おそらく、祭壇に近づくにつれて何らかの試練が待っているのかも」

リオンが慎重に周囲を見回しながら、冷静に言った。

「この地に眠る精霊の力を取り戻すためには、避けて通れない試練があるのでしょう。それに備えて、心と体を引き締めて進んでいきましょう」

アークも短剣を握りしめ、楽しげに笑みを浮かべた。

「いいね！試練が待ってるっていうのは、冒険者冥利に尽きるぜ。俺たちで精霊の祭壇を守り抜いてやろう！」

優馬は仲間たちに力強く頷き、最後の決意を込めて前を見据えた。

「よし、精霊たちのために、この試練を乗り越えてみせよう。みんな、共に力を合わせて進もう！」

こうして、優馬たちは新たな仲間セリーヌと共に、「精霊の祭壇」へと続く道を進み始めた。精霊たちの囁きと仲間たちの絆を胸に抱き、彼らは次なる試練に立ち向かう準備を整えていた。

精霊の祭壇に待ち受ける試練と、セリーヌが抱える闇の秘密――それらが彼らをどんな冒険へと導くのかは、まだ誰も知ることはない。しかし、優馬たちは確信していた。精霊たちとの絆と仲間たちへの信頼があれば、どんな困難も乗り越えられると。