転生特典:錬金術師スキルを習得しました!【更新停止中】

雪月夜狐

文字の大きさ
上 下
82 / 112
第14章:精霊の呼び声と新たなる使命

第80話 謎の光と精霊たちの予兆

しおりを挟む
王都アルバロッサに平穏が戻り、優馬たちはしばらくの間ギルドで過ごしていた。東の地での冒険と、闇の精霊との激戦を乗り越えたことで、彼らは少しの休息が必要だと感じていた。だが、そんな平穏もつかの間のものだった――ある晩、不思議な光が王都の上空に浮かび、精霊石が突如として強く輝き始めたのだ。

リリアがその光に気づき、驚いたように精霊石を握りしめた。

「この光……まるで精霊たちが何かを伝えようとしているみたい。優馬さん、精霊たちの声が聞こえてきます!」

リリアの声に、優馬や仲間たちも窓の外を見つめた。夜空に漂う光は青白く輝きながら、ゆっくりと王都の外れに向かって流れていくようだった。

「精霊たちの声……まさか、また新しい異変が起きているのか?」

カイがその光をじっと見つめ、考え深げに呟いた。リリアは精霊石に意識を集中し、精霊たちの囁きに耳を傾けていた。

「精霊たちが……彼らが安らぎを求める声が聞こえます。何か大きな力が目覚めているようです。でも、それが善意なのか、あるいは闇に包まれたものなのか……」

アークはワクワクしたように拳を握り、仲間たちに向かって言った。

「そいつは面白そうじゃねぇか! 俺たち“精霊の守り手”が、この光の謎を解きに行くしかないだろ?」

リオンも冷静に頷き、仲間たちに向けて微笑んだ。

「確かに、この光が何を示しているのか、確かめてみる価値はありますね。精霊たちが安らぎを求めるならば、私たちの力が必要なのかもしれません」

優馬は仲間たちを見渡し、再び新たな使命を胸に決意を固めた。

「よし、みんなでこの光を追ってみよう。精霊たちが何を伝えようとしているのか、俺たちで確かめに行こう!」

翌朝、優馬たちはギルドの仲間たちに事情を説明し、再び旅支度を整えた。ギルドの受付にいるミリアも、少し寂しそうな表情を浮かべながら、彼らに温かい言葉をかけた。

「また皆さんが冒険に出るのね……精霊たちが呼んでいるなら、きっと行かなくちゃならないんでしょうけど、無事に戻ってきてくださいね」

優馬はミリアに微笑み、仲間たちと共に励ましの言葉を交わした。

「ありがとう、ミリア。必ず無事に戻ってくるよ。そして、またここで美味しい料理を振る舞うから、楽しみにしていてくれ!」

ミリアは小さく笑い、優馬たちを見送った。仲間たちと別れを告げ、優馬たちは再び旅路へと出発した。

光が示している方向は、王都アルバロッサの北東に位置する「星降る丘」と呼ばれる場所だった。その場所は、古くから「精霊の安息の地」とも伝えられており、精霊たちが特別な日には姿を現すと言われている。

道中、リリアは精霊石を握りしめながら、精霊たちの声に耳を傾け続けていた。

「精霊たちが……『彼らの安息が脅かされている』と言っています。この丘には、何か重要なものが眠っているのかもしれません」

カイが真剣な表情で周囲を見渡し、静かに言った。

「星降る丘に精霊たちが集まっているとすれば、そこにあるのはおそらく強力なエネルギーの源だ。もしそれが悪用されれば、精霊たちが安息を失うこともあり得る」

アークは軽く肩をすくめながらも、前を見据えて気合を入れた。

「ま、どんな連中が待っていようと、俺たちが守り手としてバッチリ片付けてやるさ!」

リオンも決意を込めて頷き、静かに語りかけた。

「精霊たちが脅かされているならば、私たちがその原因を解決しなければなりません。私たちの使命は、精霊と人の世界を守ることですから」

そうして、優馬たちは北東にある「星降る丘」へとたどり着いた。そこには壮大な石碑が並び、星の光を集めるような神秘的な雰囲気が漂っていた。丘の頂上には、巨大な水晶が立っており、その水晶が夜空から降り注ぐ星の光を集めて輝いている。

リリアが精霊石を掲げ、静かに語りかける。

「精霊たちが、この場所で祈りを捧げることで力を取り戻していたみたいです。でも、最近になって邪悪な気配がこの地に現れ、精霊たちが近づけなくなっていると」

優馬は険しい表情を浮かべ、丘の周囲を見渡した。

「邪悪な気配か……それが精霊たちの安息を脅かしているのかもしれない。俺たちでこの地を清めて、精霊たちが安心して戻れるようにしよう」

カイが杖を構え、冷静な目で水晶を見据えた。

「この水晶には、精霊の力を増幅する働きがあるようだ。しかし、もし邪悪な存在がここに入り込んでいれば、その力が利用されている可能性もある」

その時、静寂を破るように、丘の向こうから黒い影が現れた。それは不気味な黒い霧に包まれ、冷たい赤い瞳で優馬たちを見つめていた。

「ここに何の用だ、人間どもよ。この地は闇の力に捧げられたのだ。精霊どもなど、もはや不要な存在よ」

その言葉にリリアが怒りの表情を浮かべ、精霊石を強く握りしめた。

「精霊たちを追い払うなんて許せません! あなたが精霊の安息を脅かしているのですね!」

優馬も決意を込めて前に進み、仲間たちに声をかけた。

「みんな、精霊たちのためにこの邪悪な存在を倒そう。ここで引き下がるわけにはいかない!」

アークが短剣を構え、鋭い笑みを浮かべて前に出た。

「よっしゃ、そいつは俺たちに任せとけ!精霊の守り手として、見事にお前をぶっ倒してやる!」

リオンも冷静に杖を構え、呪文を唱え始めた。

「精霊たちの安息を守るため、私たちは全力で立ち向かいます。あなたにこの地を渡すわけにはいきません!」

カイもまた、浄化の魔法を込めた杖を構え、静かに呪文を唱え始める。彼らの意志が一つになり、精霊たちの力がそれぞれの武器や魔法に宿っていくのが感じられた。

闇の存在は嘲笑を浮かべ、冷たく言い放った。

「無駄だ。私の闇は深く、精霊ごときの光では消せはしない……!」

しかし、優馬たちはその言葉にひるむことなく、精霊たちの声を信じて前に進んだ。彼らの心には、精霊たちへの信頼と、この地を守りたいという強い意志が光のように宿っていた。

こうして、星降る丘での新たな戦いが始まった。精霊と人が共に歩む未来を守るため、優馬たちは再び闇に立ち向かう。その闇の向こうに、精霊たちの真の安息と平和があると信じて。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...