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第11章：旅路の果てに見えるもの

第70話 旅立ち前の準備と別れ

次なる目的地「精霊の結晶宮」に向かうため、優馬たちは旅立ちの準備を整えることにした。この場所には、古代の精霊たちが眠っており、封印された強大な力が存在すると言われている。その封印を解くためには、彼らが神殿で手に入れた「古代の精霊の石」が重要な役割を果たすらしい。

精霊たちの異変の真の原因を突き止めるため、優馬たちは王都アルバロッサを発ち、新たな冒険の地へ向かう決意を固めていた。

翌朝、ギルドでは、仲間たちが優馬たちの旅立ちを見送るために集まっていた。優馬がリュックに最後の荷物を詰め込み終えると、ミリアが駆け寄り、心配そうな表情で彼に声をかけた。

「優馬さん、本当に行ってしまうのね……今度の旅はかなり長くなるんでしょう？」

優馬は微笑んで頷き、ギルドのみんなに感謝の気持ちを込めて言った。

「うん。精霊たちの異変の根本を解決するためには、この『精霊の結晶宮』を調査しないといけないんだ。みんなの応援があれば、どんな試練でも乗り越えられると思う」

ミリアは目に涙を浮かべながらも、彼を励ますように微笑んだ。

「優馬さん、気をつけてね。戻ってきたらまた、あなたの美味しい料理を食べさせてほしいわ」

「もちろんだよ、ミリア。その時は新しいレシピを考えておくから、楽しみにしていてくれ」

優馬は少し照れながら笑い、ミリアと固い握手を交わした。

リリアもギルドの仲間たちに別れを告げ、精霊石を掲げて軽く祈りを捧げていた。精霊たちが彼女の声に応え、優しく風が吹き抜ける。

「精霊たちも、私たちを応援してくれています。皆さん、今まで本当にありがとうございました。また戻ってきたら、精霊たちの話をたくさん聞いてくださいね」

ギルドの仲間たちはリリアに笑顔で手を振り、精霊たちの祝福が彼女と共にあることを祈った。

一方、カイはいつもの冷静な表情を保ちながらも、仲間たちに別れを告げていた。彼にとっても、今回の旅は大きな試練と挑戦となることを理解していた。

「みんな、私たちは精霊のためにこの旅を成し遂げるつもりだ。無事に戻ってくると約束しよう」

ギルドの仲間たちは真剣な眼差しでカイの言葉に頷き、彼の無事を願って励ましの言葉をかけた。

アークはいつものように軽口を叩きながらも、仲間たちに別れの挨拶をしていた。

「へっ、俺たちならどんな場所でも平気だよ。精霊の結晶宮だってちょちょいと片付けて、すぐ戻ってくるさ！」

ギルドの仲間たちも笑いながらアークに応え、彼の無鉄砲さを応援するかのように肩を叩いた。

そして、リオンもまた、仲間たちに深々とお辞儀をして別れを告げた。

「皆さん、ありがとうございました。精霊の研究を進めるためには、この結晶宮での調査が不可欠です。僕たちが精霊の異変を解決して戻ってきた時、また新しい発見を皆さんと分かち合いたいです」

ギルドの仲間たちはリオンの真摯な言葉に感謝の意を込めて拍手を送り、彼の旅の成功を祈った。

こうして、優馬、リリア、カイ、アーク、リオン、そしてコハクは、仲間たちの見送りを受けながら王都アルバロッサを後にした。精霊たちの異変の原因を探り、精霊の結晶宮へと向かう新たな旅が今、始まったのだ。

道中、リリアがふと優馬の方を向き、少し不安げな表情を浮かべた。

「優馬さん……私たち、今度の旅で本当に精霊たちを救えるのでしょうか？」

優馬は彼女の肩に手を置き、優しく微笑んで答えた。

「大丈夫だよ、リリア。俺たちは精霊の力を借りて、ここまでたどり着いたんだ。これからも精霊たちは俺たちを見守ってくれている。どんな試練が来ても、みんなで力を合わせればきっと乗り越えられるさ」

リリアはその言葉に勇気づけられ、頷いた。

「はい……精霊たちも、私たちを信じてくれています。私たちも精霊の守り手として、しっかりと彼らを守り抜きましょう」

彼らの冒険の舞台は王都からさらに遠く、未知の領域へと広がっていく。精霊の結晶宮が待ち受ける地には、どのような試練があるのか。そして、彼らは真に精霊たちを救うことができるのか。

仲間たちとの絆、精霊たちの加護、そして自らの成長を胸に、優馬たちは再び一歩を踏み出した。