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第7章:霧の真実と王都の陰

第50話 新たな作戦と仲間の決意

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翌朝、ギルドの集会室に優馬たちが集まり、王都の周辺で広がる霧の調査について改めて話し合いが行われた。集会室にはギルドの冒険者たちも集まり、優馬たちの報告に耳を傾けている。

ミリアが前に立ち、緊張した面持ちで優馬たちに目を向けた。

「皆さん、改めて報告します。優馬さんたちの調査で、王都の北側に新たな霧の発生源が見つかりました。ここからは、霧の浄化と同時に、これ以上広がらないように防ぐ作戦を立てていきたいと思います」

優馬は、リュックから浄化のポーションを取り出し、仲間たちに手渡した。

「俺が新しく調合した浄化ポーションだ。前よりも強力な効果を発揮するように工夫したから、きっと霧を抑えるのに役立つはずだ」

優馬は一つ一つ説明しながら、浄化のポーションをミリアやギルドの仲間に手渡す。リリアが優しく微笑みながら説明を補足し、カイも彼らの話を聞きながら適切な助言を加えていく。

「優馬さんが作ってくれたポーションは、精霊たちの力を高める効果があります。これを使えば、霧を少しずつ浄化していくことができると思います」

リリアの言葉に、ミリアは真剣な表情で頷く。

「ありがとう、リリアちゃん。これで少しでも被害を食い止められるかもしれないわね」

「でも、気をつけてくれ。霧の中には例の影も潜んでいる。単独での行動は危険だ、チームを組んで対応してくれ」

カイの鋭い警告に、ギルドの冒険者たちも緊張感を持って頷く。優馬たちもまた、次の戦いに向けて決意を新たにしていた。

話し合いが一段落すると、優馬たちはしばしの休憩を取るためにギルドの中庭に出た。そこには朝の爽やかな風が吹き抜け、木々が静かに揺れている。

優馬は腰を下ろし、リュックから簡単な朝食を取り出した。今日は前夜に仕込んでおいた「星屑ベリーパンケーキ」だ。甘酸っぱいベリーソースをかけた一口サイズのパンケーキを、仲間たちに差し出す。

「さあ、みんな、これで少し休もう。朝から戦いの話ばかりじゃ気が滅入るだろ? たまには美味しいものでも食べて元気をつけないと」

リリアは嬉しそうにパンケーキを受け取り、香りを楽しみながら小さく一口を食べる。

「優馬さん、本当に美味しいです……ベリーの甘酸っぱさが、朝の冷たい空気にちょうど良いです」

彼女の笑顔を見て、優馬もほっとしたように頷いた。

「そっか、リリアが喜んでくれるなら、作った甲斐があったよ。カイも、コハクも、たくさん食べてくれよ」

カイは少し照れくさそうにしながらも、パンケーキを口に運ぶ。その味わい深い甘さに、一瞬だけ表情を緩める。

「君は本当に、こういう細やかな配慮ができるんだな……。これなら、戦いの前にも心が落ち着く」

彼の口調は相変わらず冷静だが、優馬にはその言葉の裏にこめられた感謝がしっかりと伝わってくる。

「まぁな、カイ。俺たちは戦いばかりじゃないからな。こうやって、仲間と一緒に過ごす時間も大事だろ?」

優馬はそう言って笑い、コハクの頭を優しく撫でる。コハクは満足げに尻尾を振り、パンケーキをぱくぱくと食べていた。

その時、ギルドの門が開き、慌ただしい足音が近づいてきた。見知った顔の冒険者が息を切らしながら、優馬たちに駆け寄ってくる。

「優馬さん、リリアさん、ミリアさん! 大変です、霧の中から新たな魔物が現れたとの報告がありました! 今、北の防衛隊が対応していますが、数が多くて手が足りません!」

「……くそ、やっぱりか。すぐに行こう!」

優馬は立ち上がり、リュックから浄化のポーションを取り出すと、リリアとカイに声をかけた。

「リリア、カイ、コハク! 俺たちも急ごう!準備はできてるか?」

「はい、優馬さん。精霊たちも準備はできています!」

「私も行こう。霧の魔物が現れたということは、霧の発生源が近い可能性が高い。ここで手を緩めるわけにはいかない」

カイも杖を握りしめ、コハクも気合いを入れたように「ワン!」と鳴いた。彼らは慌ただしくギルドを後にし、王都の北へと向かって駆け出した。

街の北側には、黒い霧が薄く広がり、その中から無数の魔物が現れ始めていた。街の防衛隊が必死に対応しているものの、魔物の数は多く、苦戦を強いられている様子だ。

「……くそっ、早く浄化しないと!」

優馬は素早く「浄化の霧」のポーションを投げ、霧の中へと青白い光を広げた。リリアは精霊石を握りしめ、精霊たちの力を借りて風を呼び起こす。

「風の精霊たち……どうか、この霧を吹き飛ばして!」

リリアの声に応じ、精霊の風が霧を切り裂き、魔物の動きを封じ込める。その隙にカイが結界を展開し、霧が広がるのを抑え込んだ。

「今のうちだ、優馬!」

カイの声に応じ、優馬は「浄化の霧」を再び投げつけ、黒い霧をさらに薄くする。浄化の光が魔物を焼き払い、辺りにはかすかな静寂が戻った。

戦いがひと段落し、優馬たちは周囲を警戒しながら息を整えた。リリアの手に光る精霊石は、どこか安心したように優しい光を放っている。

「ふぅ……何とか一息つけたな。みんな、よく頑張ってくれた」

優馬は疲れた体を支えながら、仲間たちを見回す。リリアもカイも、そしてコハクも、それぞれに達成感を感じながら、次の行動へと心を整えていた。

「でも、まだ霧の正体には辿りつけていません……。精霊たちも、完全には安心していないようです」

「その通りだ。次の手を考える必要がある。このままでは、また同じことが起きるだろう」

カイが冷静に話し、リリアも深く頷く。その時、優馬の手元で「浄化の霧」のポーションが再び微かに震えた。

「……どうやら、次の手がかりがまた動き出したみたいだな」

優馬はリュックを背負い直し、リリアとカイに向かって力強く頷いた。王都を覆う霧の謎を解き明かすため、彼らの冒険はさらに深まっていく。
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