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第4章：精霊とともに

第31話 帰り道での穏やかな時間

神殿から出ると、夕暮れが森をオレンジ色に染めていた。木々の間から差し込む柔らかな光が、彼らの帰り道を照らしている。試練を終えた優馬たちは、自然と顔を見合わせ、安堵の笑みを浮かべた。

「ふぅ、何とか精霊王の試練を乗り越えられたな。思ったよりも大変だったけど、みんな無事でよかったよ」

優馬が笑いながらそう言うと、リリアはふと立ち止まり、木漏れ日の中で顔を上げた。

「精霊たちも、この森の全てが私たちを見守ってくれていました。だから……今度は、私たちがもっとこの森を守りたいって思うんです」

リリアの言葉に優馬は頷き、コハクもその言葉を聞いて静かに鳴いた。

「じゃあ、王都に戻ったらもう少し休息して、それからまた次の旅に出ようか。今度は王都でリリアが手に入れた新しい精霊の力を試すために、新しいレシピを考えてみるのもいいかもしれない」

「ふふ、楽しみですね。優馬さんの新しいポーション、きっとまた美味しいものができますよ」

リリアは優しく笑い、優馬の隣を歩きながらコハクの背中を撫でる。コハクはその温かな手の感触に満足そうに目を細めている。

ルナフォレストを抜け、王都に戻った優馬たちは、ギルドの仲間たちに暖かく迎えられた。受付のミリアは、彼らの無事を確認して安心した様子で、優馬たちを出迎えた。

「お帰りなさい、優馬さん、リリアちゃん、コハク。あなたたちが無事に戻ってきてくれて、本当に嬉しいわ！」

「ただいま、ミリア。リリアも精霊の力を得て、俺たちもさらに成長できたよ」

「そうなんです、ミリアさん……私たち、また一歩前に進むことができました」

リリアは精霊石を見せ、誇らしげに語る。その石は以前よりも強く輝いており、彼女の内面の成長を物語っているようだった。

「それにしても、王都の空気ってこんなに安心感があるんだな。久しぶりに戻ってきたら、なんだかホッとしたよ」

優馬は広場を見渡しながら微笑んだ。王都の活気ある街並みは、彼らの帰還を歓迎するかのように賑わっている。リリアも、その景色に懐かしさを覚え、柔らかな笑みを浮かべた。

「優馬さん、コハク、今日の晩ご飯はどうしますか？　また皆さんにお世話になったお礼として、優馬さんが腕を振るってくれると嬉しいです」

「よし、それなら今日は精霊の力を使った『精霊のシチュー』を作るか！王都の食材と、森で手に入れたものを合わせてな」

リリアとコハクはその提案に嬉しそうに頷き、ギルドのみんなも彼らの料理に期待を込めた声を上げる。こうして、彼らは王都での束の間の休息と、ほのぼのとした日常を再び楽しむことになった。