転生特典:錬金術師スキルを習得しました!【更新停止中】

雪月夜狐

文字の大きさ
上 下
30 / 112
第4章:精霊とともに

第29話 試練を越えた先での休息

しおりを挟む
試練の空間が消えると、優馬たちは元の神殿の祭壇に戻っていた。炎の獅子が消えた後も、祭壇の光は穏やかに輝き続けている。リリアは肩で息をしながら、精霊石を見つめる。

「試練の一部は突破できたみたいですね……でも、まだ終わりじゃないみたい」

「そっか。でも、とりあえず休憩しよう。リリアもコハクも、疲れてるだろう?」

優馬はリュックから手早く自作の「回復エリクサー」を取り出し、リリアとコハクに手渡す。彼らがそれを飲み干すと、体力が少しずつ回復していくのが感じられた。

「はぁ……ありがとうございます、優馬さん。あなたのポーション、本当に効きますね」

「いやいや、リリアの精霊の力があってこそだよ。俺の錬金術だけじゃ、あの獅子には太刀打ちできなかっただろうし」

優馬は肩をすくめ、リリアに笑いかけた。コハクも彼の足元に頭を擦り付け、安心した様子を見せる。

「優馬さん、次の試練もきっと一緒に越えましょうね。精霊たちも、私たちを見守ってくれているみたいですから」

リリアの言葉に、優馬も再び力強く頷いた。彼らの間に流れる信頼と絆の力は、まさに精霊の試練に立ち向かうために必要なものだと感じていた。

試練の合間の休息時間、リリアの周りには小さな精霊たちが再び集まり、彼らの頭の上でくるくると飛び回っている。その様子を見た優馬は、ふとお茶セットを取り出し、新たに手に入れた「月影の花」でお茶を淹れることにした。

「リリア、せっかくだから、精霊たちと一緒にお茶でも飲もうか」

「ふふ、精霊たちもきっと喜びますよ」

優馬が月影の花で作ったハーブティーは、香りが豊かでほんのりと甘い味が広がる。リリアがカップを差し出すと、精霊たちも小さな手でカップに触れ、興味津々といった様子だ。

「ふふ、精霊たちもこの香りが好きみたいです。優馬さんのお茶は、みんなに愛されていますね」

リリアがそう言って微笑むと、優馬も肩の力が抜けたように笑みを浮かべる。彼らは精霊たちと共に、しばしの間、穏やかな時間を楽しんだ。

「こうして試練の途中でも、リラックスできる時間があるのって大事だよな。精霊たちも、きっとそう思ってくれてるよ」

リリアはカップを握りしめ、優馬の言葉に同意するように頷いた。彼らの周りには、精霊たちの温かな光が絶え間なく輝いていた。

こうして、ほのぼのとしたひとときを過ごした後、優馬たちは次の試練に備えて再び立ち上がった。エレメンタルの泉で得た力と、仲間たちとの絆を胸に、彼らは精霊の神殿の奥へと進んでいく。

試練の先に待つ真実と新たな出会いが、彼らにどんな影響をもたらすのか――それを知るための冒険は、まだまだ続いていく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

処理中です...