転生特典：錬金術師スキルを習得しました！

第4章：精霊とともに

第26話 精霊のいたずらと、迷子の子精霊

森の奥深くに進むと、突然あたりの空気が変わった。木々のざわめきが消え、風の流れも途絶えたかのように静まり返っている。リリアは精霊石を手に、目を細めて周囲を警戒する。

「優馬さん、何かいます……でも、敵意はないみたいです」

「ふむ……でも、警戒しておいた方がいいな。コハク、お前も準備しておいてくれ」

優馬が錬金術セットに手をかけ、コハクも低く唸り声を上げると、目の前の茂みが突然ガサガサと揺れた。すると、茂みからひょっこりと顔を出したのは、小さな光の塊だった。

その光は手のひらに乗るほどの大きさで、まるで小さな人型をした精霊のように見える。ふわふわと宙を漂い、楽しそうにクルクルと回っていた。

「リリア、あれは……？」

「たぶん、子精霊です。まだ力が弱いけれど、遊び好きでいたずらっ子なんですよ。きっと、私たちに興味を持ったんですね」

リリアは微笑みながら、子精霊に向かって手を差し伸べた。すると、子精霊は彼女の手のひらに乗り、ふわりと光を放ちながら回り始めた。

「こんにちは、君はこの森で何をしていたの？」

リリアが優しく語りかけると、子精霊はぴょんぴょんと跳ねるように答えるかのように動く。その姿を見て、優馬も少し笑ってしまった。

「なんだ、案外可愛い奴じゃないか。もしかして、俺たちにいたずらしようとしてたのか？」

リリアが「いたずらしちゃダメですよ」と優しく諭すと、子精霊はしゅんとした様子でうつむき、手のひらの上で光を小さくした。その様子に、リリアは思わずくすりと笑う。

「ふふ、でも、君がここに来た理由があるんじゃないの？　私たちに何か伝えたいことがあるのかな？」

すると、子精霊はまた勢いを取り戻し、リリアの手から飛び上がると、彼女の前でぐるぐると飛び回り始めた。

「リリア、あれ……何か案内しようとしてるのか？」

「うん、たぶん私たちに道を教えてくれているんだと思います。きっと、精霊たちが私たちを歓迎しているんですね」

子精霊はキラキラと輝きながら、先へ先へと進んでいく。それを見た優馬は、リリアとコハクに頷いて、子精霊の後を追うことにした。