転生特典：錬金術師スキルを習得しました！

第1章：異世界転生

第10話 力の源、スキルの獲得

「それで、リリア。君はどうしてあの森にいたんだ？」

エルクヴィルの町に戻り、優馬たちはギルドにリリアを連れてきた。ギルド内の空いている一室を借りて、リリアの事情を聞くことにしたのだ。優馬が優しく問いかけると、リリアは不安げに俯きながら、言葉を選びつつ話し始めた。

「……私、エルフ族なんです。森の奥で暮らしていましたが……ある日、私の村が魔物に襲われて……逃げてきたんです」

「エルフ……そうか、だから耳が少し尖っているんだな」

優馬はリリアの金色の髪と長い耳を見つめながら納得した。この世界ではエルフは希少で、森と深い繋がりを持つ民族だという話をギルドで聞いていた。

「でも、どうして君が魔物に追われていたんだ？」

「それは……私、特別な『精霊の力』を持っているんです。それを狙う者がいるって、村の長老に言われて……。逃げなさいって……」

リリアは力なく言葉を続けた。その表情には、故郷を失った悲しみと不安が滲んでいる。優馬はそんな彼女を見て、思わず手を握り締めた。

「リリア、安心しろ。俺たちが君を守るから。な、コハク？」

コハクは優馬の言葉に応えるように「ワン」と鳴き、リリアに寄り添うように顔を近づけた。リリアは驚いたように目を丸くしたが、すぐにコハクのフワフワの毛を撫で、少しだけ安堵の表情を浮かべた。

「ありがとう……本当に……」

優馬はリリアの話を聞いて、彼女が持つという「精霊の力」に興味を抱いた。エルフ族と精霊は古くから深い繋がりを持つと言われており、錬金術と精霊の力を組み合わせることで、新たな技術やアイテムが生まれる可能性があったからだ。

その夜、リリアを宿に休ませた後、優馬は自分の部屋で錬金術の研究に没頭していた。リリアの話から得たヒントを基に、手持ちの素材と錬金術の書を組み合わせて新たなレシピを試行錯誤していた。

「リリアが言っていた『精霊の力』……うまく利用できれば、俺の錬金術も一段階上に進化できるかもしれない」

彼は森で集めたミスティハーブや、リリアの持っていた精霊石のかけらを使い、新たなエリクサーを調合していた。その中で一つの試作品が完成し、瓶の中で淡い緑色の液体が輝いている。

「これは……『精霊のエリクサー』か？」

瓶を手に取り、その光を確かめる。エリクサーはまるで風に揺らめくように輝き、まるで生き物のように静かに脈動している。その瞬間、優馬の脳裏にふと青白い文字が浮かび上がった。

「新スキル獲得：精霊錬金術Lv1」

【精霊のエリクサー】：精霊の力を宿したポーション。体力回復に加え、一時的に精霊の加護を受け、自然の属性を操る力を得る。
 
「新しいスキル……！　これならリリアを助けるだけじゃなく、もっと強力なポーションも作れるようになるかもな」

優馬はその可能性に胸を高鳴らせ、さっそく試してみることにした。コハクを呼び寄せ、試作した精霊のエリクサーを少しだけ与えると、彼の体がうっすらと緑色の光に包まれ、動きが軽やかになった。

「どうだ、コハク？　調子はいいか？」

コハクは満足げに優馬の方へ歩み寄り、軽く飛び跳ねて見せた。その姿は、まるで風そのものと一体になったかのようにしなやかで、動きに無駄がなかった。

「すごい……精霊の加護ってこういうことなのか。リリアの力を参考にして、もっと応用できるかもしれないな」

優馬はますます錬金術への興味を深め、リリアの力を借りることでどんな可能性が広がるのか、考えを巡らせていた。