転生特典：錬金術師スキルを習得しました！

第1章：異世界転生

第6話 魔物との遭遇

魚を食べ終え、少し休憩をとった後、優馬とコハクは再び森を進んでいく。だが、その途中で不穏な気配が漂い始めた。

「コハク、なんか感じるか？」

コハクは耳をピンと立て、森の奥を睨みつけるように見つめている。そして、その視線の先から現れたのは、一匹の大きな熊のような魔物だった。だが、その姿は通常の熊とは異なり、体には青い紋様が浮かび上がり、毛はまるで岩のように硬そうだ。

「やばい、あれは……！」

優馬は咄嗟にポーションの瓶を握りしめ、コハクと共に戦闘態勢に入る。熊の魔物――「ロックベア」は、低くうなり声をあげながら、優馬たちを威嚇するように近づいてくる。

「コハク、あいつの動きを見極めてから攻撃だ！」

コハクは優馬の言葉を理解しているかのように、低く身をかがめ、鋭い目でロックベアを観察する。優馬も手元の錬金術セットを開き、すぐに使えるポーションを確認する。

「まずは……これだな！　『スロウポーション』！」

優馬は、魔物の動きを鈍らせる効果があるスロウポーションをロックベアに向かって投げつけた。瓶が砕けると、青白い霧がロックベアを包み込み、動きが明らかに鈍くなった。

「今だ、コハク！」

コハクはその隙を逃さず、鋭い爪を振りかざしてロックベアに飛びかかる。爪が硬い毛を裂き、ロックベアは怒りに満ちた咆哮を上げるが、スロウポーションの効果で反撃は遅い。

「よし、俺も支援するぞ！　『ヒートフレイム』！」

優馬が手元のセットで急いで調合した火の属性を持つ瓶をロックベアに投げつけると、瓶が砕けて炎が巻き起こり、ロックベアの周囲を焼き尽くす。ロックベアは炎に囲まれ、激しくうなり声を上げた。

「今だ、コハク、もう一撃だ！」

コハクは再び優馬の指示に従い、炎の隙間を突いてロックベアに飛びかかる。今度はその鋭い牙が魔物の首筋に深く突き刺さり、ロックベアは倒れ込むように地面に崩れ落ちた。

「はぁ……なんとか倒せたか」

優馬は息を切らしながら、戦闘が終わったことに安堵する。コハクも、少し疲れた様子を見せながら彼のそばに戻ってきた。

「ありがとう、コハク。お前のおかげで助かったよ」

コハクは優馬の手に顔を擦り付け、満足げに尻尾を振る。その姿を見て、優馬は自然と笑みがこぼれた。

ロックベアとの戦闘を経て、優馬とコハクは少しだけ成長したように感じた。森を抜けるまでの道中、優馬はさらにいくつかの新しいポーションを調合し、戦闘に備えた。コハクもまた、その鋭い感覚で魔物の気配を察知し、優馬と共に安全なルートを探しながら進んでいく。

やがて、森の中を歩き続けるうちに、道が広がり、視界が開けた場所に出た。そこから遠くには、城壁に囲まれた大きな町の姿が見える。

「おお……あれが、最初の町か」

優馬は、目の前に広がる景色に感動していた。異世界で初めての大きな町、そして王都への第一歩がそこにあった。これから新しい出会いと冒険が待っているかもしれないという期待に、彼の胸は高鳴った。

「よし、コハク。まずはあの町で情報を集めて、次に進む準備をしよう！」

コハクは優馬に寄り添うように歩きながら、町の方を見つめている。彼の琥珀色の瞳には、優馬と同じように新しい冒険への期待が映っているようだった。

こうして、優馬とコハクは王都へと向かう旅の第一歩を踏み出し、異世界の新たな冒険が動き出したのだった。